エピローグ:永遠の誓いと平和の光
事件から数ヶ月後、アークランド王国には、穏やかな平穏が戻っていた。ヴァルガス帝国の強硬派は力を失い、リアム・オーベロン王子率いる穏健派との間で、正式に和平条約が締結された。
リアム王子は、リゼットとの婚約ではなく、ディオンとリゼットの愛を二国間の平和の最も強固な絆と認め、友好的な外交関係の確立に尽力した。彼はヴァルガスへと戻り、アークランドとの新たな時代を築くための穏健派のリーダーとなった。
リゼットの予知夢の力は、もはや「異端の呪い」ではない。国を救った「守護の光」として国民に受け入れられ、彼女は真の信頼を得た王女となった。
師との別れ
投獄されたアルフレッド団長と、ディオンは最後に面会した。
「ディオン……お前は、私を越えたな」アルフレッドは静かに言った。「私の『大義』は、力による秩序だった。だが、お前は『愛』という、より強靭な秩序を証明した」
ディオンは、師を裏切り者として糾弾することはしなかった。ただ、深く一礼した。
「あなたは、私の師です。ですが、私の忠誠は、王女の幸福にあります」
アルフレッドは小さく頷いた。彼の罪は重いが、ディオンの愛が、彼に最後まで騎士としての誇りを残させた。
エリック王子は、その聡明さと、事件を通じて示した勇気と献身により、王位継承者として国民の絶大な支持を集めた。彼は、ディオンとリゼットの関係を最も理解し、支える外交と内政の柱となった。
レオは騎士団に復帰し、ディオンの補佐役として、新たな騎士団の再建に尽力した。
すべてが落ち着いたある日、ディオンはリゼットを連れ、初めて愛を自覚したテラスへと向かった。夕日が王宮を茜色に染め、温かい光に包まれていた。
リゼットは、ディオンの騎士服に手を触れた。
「ディオン。私はもう、国の重圧を言い訳に、あなたから逃げません。あなたが私の『異端の力』を守るために、記憶を犠牲にしてくれた。その愛こそが、私のすべてです」
ディオンは、騎士の制服を脱ぎ、一人の男としてリゼットに向き合った。
「リゼット様。俺の命も、魂も、すべてはあなたのものです。俺は、あなたの騎士として、一人の男として、永遠にあなたを守り続けます」
ディオンは、その愛を言葉だけでなく、行動で示すように、リゼットを抱き寄せた。
身分や立場を超えた二人の口づけは、アークランド王国が、愛と信念の上に築かれた平和の時代へと入ったことを静かに告げる、永遠の誓いとなった。




