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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第一章】

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29/298

1‐11‐2 気になる理由




「彼女が気になるか?」


「ウォーリ、何を言っているんだよ。確かに可愛いし、綺麗な子だけど、あんな小さな子は守備範囲外だから」


「そうか、可愛いか」ウォーリがニヤリと笑みを浮かべる。


「いや、だから、そういう意味ではなくて。あの子、十歳ぐらいだろ? 僕としてはせめて十六歳、十七歳にはなっていないと流石に誘えないよ」


 慌てて否定しながらも、リュークの脳裏には、先ほど見たナギサの瞳が焼き付いていた。声をかけた瞬間に振り向いた、あのキラキラと輝く瞳。だが、言葉を交わすうちにふと覗かせた、幼い外見に似合わぬ、どこか遠くを見つめるような憂いを帯びた紅い瞳。その奥に、同年代の子供にはあり得ない深淵を見たような気がして......。


「だが、非常に楽しそうだったぞ」


 手を振り否定するリュークに向かい、ウォーリは人の悪い笑みをより深めた。


「薬草園に行ったら彼女がいただけで......。あの場所が僕のお気に入りだって、君も知っているだろ!」


「まぁ、そういうことにしておくか」


「本当に、たまたまで、薬草の話をだね......」


 大神殿に戻る道すがら、懸命に言い訳をするリュークに、ウォーリもつい言葉遊びを続けてしまう。普段はもう少し飄々と受け流しているリュークが、やたらと否定する様子が珍しく、煽ってしまう。


「ふっ、余程気に入ったようだな」


「ああ、もう、いいよ。確かに気になる子です! いったいなんなんだよ今日の君は......」


「はは、悪い悪い。子供が苦手なお前が、随分と打ち解けていたようだから、珍しいこともあると思ってな。だが、真面目な話、知っていて声をかけたのではないのか? あの子が例の少女なのだが。視たから話しかけたのではないのか?」


 ウォーリは悪ふざけが過ぎたことを謝ると、姿勢を正し、ナギサのことをリュークに語って聞かせた。

 祈りの間から学舎に入るまでの経緯は、以前リュークに説明したことがあるのだが、もう一歩踏み込んでウォーリが懸念していることを付け加えて話す。


「これまでに二度、鑑定魔法を彼女に使用したのだが、その二度ともが、阻害されてしまった。

 唯一わかったのは《女神》の加護持ちであることだけだ。他の加護の有無すら確認できないほどの鑑定阻害が施されていることが、わたしには理解できずにいる」


「彼女に施された鑑定阻害は、人の技ではないと?」


「ああ。高位の魔導士が施す隠蔽術式なら、余程のことがなければ看破できる。だが、彼女のそれは違う。術式の構成自体が違いすぎるのだ。まるでお前が組んだものを見せられているようだったよ」


 それ故に、ウォーリはナギサの年齢についても定かでないこと、外見から種族や年齢を仮定しているに過ぎないことを告げた。


 加えてこの半年ほど観察していて気づいたのだが、魔法関連の技量が並外れているように見受けられること。“コーマの技”をここに来るまでまったく知らず、それにもかかわらず、半節ほどで並みの神官ほどの技量まで身につけてしまった。魔力量もこの半年で恐ろしく増加したようで、普通の神官どころか上級魔導士並みはあると思われることも。


「......まるで、器が満たされるのを待っていたかのような、恐ろしいほどの速度だ」


 いつの間にか黙り込んだリュークを窺うと、大きく見開いていた瞳が静かに閉じられている。


(この術式は......。ああ、そういえば、そんなことを言われたような......)


「リューク? 今、何と?」


「いや、何も。大丈夫だよ、ウォーリ。彼女は味方だ......少なくとも、僕たちの敵になるような子じゃない」


 確信に満ちたその言葉。その自信が何処から来るのか、リューク自身にも実はその時はまだ、明確にはわかっていなかった。



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