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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第三章】

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3‐1‐1 新しい学期の始まり 1

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

旧年中の応援とご愛読に心より感謝申し上げます。

本年もどうぞよろしくお願いします。


少しだけこの世界に馴染み始めたナギサです。

のんびりとお付き合いください。

 


 季節は春。

 今日から4の節、春学期の始まりである。

 春の穏やかな日差しの中、大勢の学舎生達が学舎やその周りを行き交っている。


 今日は半年に一度、学舎生達の健康診断が行われる日。

 朝早くからやってきて早々に帰る者、のんびりと友人達との再会を楽しみながら過ごす者、まだやって来ず、時間ぎりぎりに顔を出すであろう者。そんな若者達の賑わいで溢れていた。


 去年の今頃、ナギサはまだ療養棟の中にいた。

 学舎で学ぶことになるなどとは想像もしていなかった。ただ『体調を整えるように』と言われていた頃だ。

 まだ“コーマの技”の存在も、自身が魔力を持つ事すら知らなかった。


 療養棟は学舎からは遠い。この喧騒に気づくこともなく、静かに過ごしていた。

 そもそも、あの部屋にいる間は“暦”がまったくわからなかった。一日の経過はわかる。だが、今日が何の節で何日目か、ということを知らされていなかったのだ。

 それを知ることができたのは、療養棟を出てから。

 今思うとそれは何故だったのだろうと不思議なのだが、特に不自由や不満を感じなかったので、当時はそんなものだと考えていた。



 ◇



 モリス達に会えるかも、と少し余裕を持って出てきたが、人が多くてさっぱりわからない。背が高いウルサスなら見つけられるかと期待もしたが、上級生達も多く混じった中では、それも難しかった。


 ナギサは仕方なく一人、健康診断へと向かった。まずは身長体重と、お決まりの検査からだ。



 ◇



 秋学期の健康診断と同様、混雑の割にはどの検査も順調に終わり、昼過ぎには全ての検査を終えていた。

 このまま部屋に戻るのも気が進まず、やはりモリス達の顔が見たいと思ってしまう。

 そう考えると、足は自然に食堂へと向かっていた。


 同じことを考えている学舎生が多いのか、食事をするわけでもなく、席に座って誰かを待つ者がそこかしこに見られる。

 ナギサも食堂のいつもの席に座り、辺りを軽く見回すのだが、やはり見慣れた顔は見つからない。

 仕方なく先程受けた健康診断の結果を見て、時間を潰すことにした。


 健康診断の結果は、学舎支給の指輪を通して登録される。

 そして、その内容は簡単に見ることができる。秋学期の時はそのことを知らず、モリス達に後からそんな機能があることを教えられた。

 軽く魔力を込めて指輪を意識すれば、目の前にその結果が自分にしか見えない文字で浮かび上がる。

 空中に透明モニターがあるようなもの。錬金や魔法学で先生達が呪文を示す時によく使うあれだ。


 今もナギサが指輪を意識し念ずると、今日の結果が目の前に小さく表示された。もちろん去年の秋の結果も見たいと思えば表示できるので、とても便利である。


(ん? おかしい)


 去年の数値を表示し、見比べてみる。

 数値そのものが間違っているわけではなさそうだ。


(だが、納得いかない……)






「な~に、難しい顔をしてるの?」



「!」



 突然の声に驚いて顔を上げると、テーブルの向かいにはいつの間にかモリスとゴリツィアが座っていた。手元のトレイには食事が乗っている。どうやら今から昼食のようだ。


「ナギ、何か悪い結果でも出ていたの?」


「ナギったら、眉をギュッと寄せて、おばあちゃんみたいだよ!」


 今の声はモリスだろう。

 ゴリツィアは心配げに声をかけてくれるが、モリスは少し意地悪そうに笑っている。

 けれど、そんなやり取りさえも今は心地いい。久しぶりの再会が、素直に嬉しかった。


「モリス! ゴリツィア! 二人とも、元気だった?」


「もちろん!」


「うん、元気だよ」


「んと、学舎の中を探しても見つからなかったから、心配していたの。二人ともまだ戻ってきていないのかなって」


「ああ、わたしもゴリツィアも今朝こっちに戻ったの。ちょうど学舎寮で会って、ね」


「うん。それで二人で健康診断を済ませて、遅めのお昼を食べに来たところだよ」


 ゴリツィアが言うには、二人とも聖都の市壁まで村の大人に送ってもらったそうで、そのせいもあって学舎へ戻れたのは昼近くになってしまったそうだ。そしてたまたま、荷物を学舎寮へ置いて出てきたところで出会って、一緒に行動していたのだという。


「そうなんだ。てっきり二人とも、昨夜には戻っているかと思っていたよ」


「そうなんだよね。わたしは予定ではもっと早く戻って、錬金の練習をするつもりだったけど。結局、手伝いや頼まれ事のせいでギリギリになっちゃったんだよね」


 モリスが口を尖らせてぼやいている。確かに春休暇に入る前は『錬金の練習をする為に早めに戻る』と言っていた。その記憶のせいで、ナギサも「モリスは既に学舎寮にいる」と勝手に思い込んでいたのだ。だが、もし既に戻っていたのであれば、昨日か一昨日あたりに食堂で顔を合わせていたはず。そこに思い至らなかった己に、ナギサは苦笑した。




再開が遅くなってしまい、申し訳ございません。


少しプライベートがバタバタしており、更新頻度が落ちてしまうかもしれません。

できるだけ間を空けないよう頑張りますので、これからもナギサ達を応援していただけると嬉しいです!

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