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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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278/315

2‐27‐16 ニール

 


 神の宴も終わり、皆それぞれがいるべき場所へと戻って行った。

 皆がいなくなり、リュークを待っていたのだろうな、東屋で一人佇む君の姿が見えた。

 わたしに気づいた君は微笑んでくれた。

 その微笑みにわたしは抗うことなどできなかった。

 気付けば君の前へと足を進めていた。


 あの日、わたしは神界にはいたのだが、宴には顔を出していなかった。

 遠目に君達を見ていたんだ。


 見ながらも、ずっと迷っていた。

 君の名前を奪うことに。


 こんなことをして君を振り向かせてどうする、って自分でも解っていたんだ。

 だけど、リュークと笑い合う君の姿を見ていたら......。


 名前を奪う術構成は既に設定済み。

 あとは対象である君に触れるだけの状態だった。


 東屋で寛ぐ君の前で膝を折り、そっと君の手をとって指先へと口付けを落とした。

 それだけで十分だった。


 君は一瞬、ひどく驚いた顔をした。

 何かを感じたんだと思う。

 でも、すぐにわたしを見つめて「ありがとう」って言ってくれたんだ。


 何を言われたのか一瞬わからなかったよ。

 だって、わたしは今君の名を奪ったんだよ! って口に出して言いそうだった。

 わたしの表情が変だったんだろうな。続けて君は「どうしたの?」って。


 何も答えられなかったよ。

 その後、何を言ったか、よく覚えていない。

 リュークが来る前に、気づかれる前に、この場を立ち去らなければ。

 余程焦っていたのだろう。

 気付いた時には春宵宮ここに来ていたよ。




 封印先か?

 物に封印することも考えた。

 だけど、それはすぐに気づかれてしまう。

 女神の名を封じるに足る物など、容易には見つからない。


 仮にそんなものが神界にあれば、目立ってしまって、君自身だって違和感を覚えたはずだよ。


 では、どうしたか。

 わたし自身だ。

 わたしの中に君の名前を封印したのさ。

 これはなかなかの賭けだった。

 君の神としての力を考慮すると、封印先としてわたしが耐えうるか、ってね。

 なんとか耐えたさ。

 ただ、その状態を維持し続けるのが無理なことは、わたしにもわかっていた。


 名前の封印先を、わたしからアルタ・ルブラの種子へと移した。

 種子は生命そのもの。

 ましてやアルタ・ルブラの種子だからね。


 あの湖上の小島に種子を植えた。


 護りは二重三重にと巡らせた。

 この地下空間。クストス・サケル達もあまり近づかない場所だが、念には念を入れた。

 幻影で入り口となる洞窟は見えないようにした。

 その幻影を転移で越えれないように結界で囲った。


 ここまではわたしの術でなんとかなった。


 あとはヴァルカナの魔道具を使ったのさ。

 地下空間全体を外から窺い視られないように、転移で侵入できないようにと大結界を巡らせる。

 その状態で、アダマースに賭け勝負と見せかけた罠を仕掛けた。


 アダマースには悪いことをしたと今は思っている。

 まさか200年もかかるとは考えていなかった。

 そのアンクレットは枷ではあったが、ヴァルカナには枷の役目を終えた暁にも一級品の宝飾具であるように造ってもらったものだ。

 彼が好みそうな細工をヴァルカナにはしてもらったんだ。


 まぁ、今更何を言っても言い訳にしかならないか。


 ああ、そうだね、続きだね。


 アダマースがアンクレットを身に着けたことで、魔道具に付与されていた術式が発動したのさ。

 アンクレットは枷となり、杭に繋がれる。アダマースは力を削がれ、彼が最も動きづらい躯体からだの大きさに強制的に変じさせられた。

 彼が繋がれたことで、杭も術式を発動し、小島は不可視となった。


 わたしは術が発動した後、この場所を一度も訪れていない。

 この手に鍵を身に着けていたからね。

 これがなければ、絶対にヴァルカナの魔道具を、彼女が付与した術式を解除することなんてできないと安心していた。

 それに、アダマースを目にしたら、普通は誰も近づかないだろ。


 本当に安心しきっていた。

 春宵宮に来ることがあっても、ここを確認する必要性を感じることなく過ごしていたよ。


 だが。

 突然その鍵が消え失せた。


 慌てて来てみれば、洞窟の外の幻影と転移阻害はそのまま。

 だけど、中に入ればすべてが解除されていた。

 そして、君達が揃っていて、わたしは結界に拘束された。


 参ったよ。

 君達の会話にも驚いたし、何をどうしたらヴァルカナの魔道具を、術式を解除できるのか。

 これこそ、わたしこそ教えて欲しいよ。




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