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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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271/315

2‐27‐9 想い 2

 


 ニールに詰め寄って、事の次第を追求したい気持ちは、ここに居る者達すべてが抱えていた。

 同じ神であるウーラニア然り、エクース然り、クラウス然りだ。

 当然、罠に掛けられ永きに渡りこの地に縛り付けられたアダマースも、その理由が知りたい。

 ファイヌムとて、この騒ぎに巻き込まれた元凶であるニール。何を考えてこんなことをしでかしたのか、是非ともその理由を語ってもらいたいと考えている。

 守り人であるリナでさえ、この喜びに溢れた常春の地で、神が悲しみを招くようなことを何故したのかが知りたかった。


 だが、今は口出しすべきではないと皆が暗黙の内にわきまえ、リューク達の様子を見守っていた。


「ねぇ、アダマースはどうしたいの?」


「ウーラニアよ、その問いの意味は?」


「そのままよ。ニールを許すの?」


「そうよのぉ......ブレスでも一吹き浴びせてやらんこともないが、それはあの二人の娘が許さぬであろうな」


 アダマースは軽く口を開け、その口奥でブレスの片鱗を覗かせるが、すぐにそれを収めると、深く溜息をつく。


「ちょっと、ここでブレスは止めてちょうだい。でも、『仲直り』って、彼女も優しいにも程があるわよね......」


 ウーラニアも肩をすくめながら軽く溜息をつく。


「それを言うなら、あの人の子も、かな? 殺されかけたのだよね? 不思議な子だな。ファイヌムも随分気に入っているようだけど、どうなんだい?」


 エクースにとってナギサは、年越し時にほんの少し見たことがあるだけの少女だ。ファイヌムが馬以外で珍しくも興味を持った人の子である。今、この場で見ているだけでも、随分大人しく引っ込み思案な少女に思える。


「気に入っているというか、気になるんですよ。大人しくて、引っ込み思案で目立たないようにしているのですが、わたしとしてはとても目を引く子供で。放っておけなくて、ついお節介を焼いてしまって。気づいたら、こうやって巻き込まれていますけど。ああ、後悔はしていませんよ。蚊帳の外にいるより、知りたいですから、わたしは」


 これはファイヌムが最初から感じていたことだ。何故か気になり、お節介を焼いているうちに巻き込まれた。馬以外に興味がないはずの自分が、この状況に不安を覚えながらも、好奇心で心躍らせている。


 《ナギサも《女神》も、ニールを咎めないんだろうな。許す、許さないではなくて》

 クラウスは思う。ナギサはニールにされたことを許してはいない。モリスを巻き込んだことで、かなり怒っているはず。だが、ナギサ自身への仕打ちについては、何故かそこまで怒っていない気がする。


 皆は様々な思いを抱き、《女神》の言葉を受けて驚き固まった二柱の神がこの後どう動くのかと、固唾を呑んで見守った。



 ◇



「! お前はこいつを許すのか!?」


「あなたは......わたしを許してくれるのですか?」


 リュークとニール、二人の声が重なる。

 驚きに、リュークは声を張り上げ、ニールは静かに尋ねるように。


「そうね、許すにはこの200年は長すぎたわ。でも、ニヒルム、あなたを咎めるつもりもないわ」


「それは、どういう......」

 二人の声が再び重なった。


「兄さま、わたしはナギサが言うとおり、兄さまにそんなことをして欲しくないの。そして、ニヒルム。わたしはあなたにもいてほしい。そして、ちゃんとお話しをしましょう。ナギサの言うとおりよね。ちゃんと口で言わないと、気持ちは伝わらないわよね」

 《女神》はふわりと微笑むと、そっとニールの手をとり、リュークの手と《女神》自身の手を重ねた。


「ねっ、これで仲直り。でも、ニヒルム、ちゃんとお話しはしてくださいね。少なくともここにいる皆には説明してほしいわ」



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