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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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258/316

2‐26‐15 ニール

 



 ——何故こんなに胸騒ぎがする......。


 ニールは娼館を出た後、一人夜の街を彷徨っていた。

 特に行先があるわけでもなく、ただ思考の渦に沈みながら歩いていた。

 明るく華やかな花街から、下町へ。

 夜に出歩くには危険な場所へと足は向く。

 特に意図して歩いているわけでもないが、滅入る気持ちに引きずられるように、足は自然と陰鬱な場所へと向かっていく。


 ——リュークは、何故あの人の子に執着するのだろう。いつものように、僅かな時を過ごす恋人を作ればいいものを。何故、それをせず、まだ子供であるあんな人の子に......。


『もっと、誠実に接してください』

 ——あの人の子も変わっているといえば、変わっている。僕に殺されそうになったのに、面と向かって意見してくる。


 ——いや、そんなことよりも。あの人の子は何故気づいたのだ。この200年、誰も気づかなかった。それなのに、突然現れて答えを突き付けてきた。



 考え歩くうちに、貧困街の奥深く、危険な場所へ入り込んでいた。


 気づけば目の前に人が立っていた。後ろにも一人。ニールは娼館帰りの身なりで、そのまま歩き回っていたのだが、無言で立つ男の手には小刀らしきものが見えた。


(ほら、人の子なんて、どうしようもないじゃないか......)


 人の目から見れば、ニールは何も手を出していない。だが、ニールを挟み撃ちにしようとしていた者達は、口の端から血を流し、その場に倒れていた。


 ニールは深く溜息をつくと、後ろを振り返ることなく歩き去った。



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