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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐16‐2 1の節 冬休暇も終わり 2

 


 魔法学や錬金学は実習というか、実地があるのでナギサ的にはイベント感が強い講義。元世界でゲームをプレイしている感覚がどうしてもある。

 だが、他の魔法陣学や薬草学、神学など知識詰込みタイプの講義はいかにも“学校”で。

 これらは日々淡々と、知識を積み上げ蓄え、消化していくような状態である。

 元世界のように中間や期末テストといったものがないので、手抜きしようと思えばいくらでも可能なのだが、それはそのまま次の期で躓くことになるので手抜きはできない。先に進めなければ最終的には神官や騎士にはなれないのだから、テストなど無くても、真面目に勉強しなくてはならない仕組みになっていた。

 もっとも錬金学を目的に入学し、錬金学以外は適当に流して卒業。結果、卒業後神官見習いにならず(なれずとも)、街や村で薬師や錬金術士として働く人もそれなりにいると後から知ったのだが。




 そういえば大きく変化があった講義が一つある。ナギサの鬼門“音楽”だ。

 ナギサ本人は怠けているつもりは毛頭ないが、気が重いことには変わりない。


 歌は随分慣れてきた。音を外すことも少なくなった。この世界の音を聴き慣れてきたこともあるのだろう。

 竪琴も意外に扱えるようになってきている。こちらの世界に来て、器用になったのかと錯覚しそうになるが、教えてくれる神官が凄いのだと思う。ナギサ自身も努力している。毎夜自室で竪琴の練習の為に少しでも時間をとるようにしている。この手のものは体に覚えさせないといけないというのは、世界が違っても同じはずだから。


 慣れてきたので気も楽になりそうなものなのだが、今節から“舞”が追加された。歌の時間が削られて。ダンスではない、舞である。

 大神殿では年に何回か舞を奉納する神事がある。この奉納舞を習うわけだ。神官見習いになれば全員が必須になるので、少し早く覚えるだけだと神官はにこやかに学生達に告げる。だが、ナギサや大半の学生達は神官見習いになったときで間に合うのではと、話を最初に聞いた時に心の中で思っていた。


 一番簡単でよく舞われるものから覚えようということで、神官達が学生達の前でその舞を見せてくれた。

 学舎は大神殿所属の学校だが、初等科は違う。その為なのだろう、舞は初等科では習わないらしい。だが、街出身の者達には馴染みがある奉納舞のようで、ふんふんと舞のリズムに合わせて手や頭が軽く動いていたりする。


 奉納舞というからには厳かなものかと思ったのだが、意外に華やか。この一番簡単だと言われる舞は神に感謝を伝えるものだという。ゆるやかで複雑な動きはない。薄い紗のようなベールを頭からまとい、複数人で舞う踊りは幻想的で美しい。

 この踊りを自分が学ぶのか? と不安を覚えるが、まずは良く見て記憶しろと神官から学生達へのお言葉だった。




 △▼



 1の節も終わる頃、魔導工房から再び連絡が入った。スクロールが半分ほど売れたことを先日聞いたばかりなので、もしかしてすべて売れたのかと期待したが違った。


 スクロールではなく、モリスとナギサで作り上げたローズマリーの化粧水が売れた——完売——したという。

 その話を聞かされた時、モリスとナギサは冗談を言われているのではないかと、お互いの頬を引っ張ってしまうぐらいに驚いた。

 加えて、すぐに小物屋からも完売したのでまた入れて欲しいと連絡が入ったのだから、驚きと嬉しさは相当なもの。

 そしてこの化粧水。一番労力をかけているのはモリスだが、レシピ作成に素材集めと6人の合作のようなものである。売上を6人で分け合い、また素材集めに行く話まで進んでしまうのは当然の流れであった。



皆さま、ナギサの物語にお付き合いいただいてありがとうございます。

読んでいただけてとてもありがたく、ものすごく励みになっております。



この世界エイルタムの暦について、少し補足。

1年は12節というのは以前触れておりますが、1週間は6日、一節ひとせつは5週間、30日となっております。


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