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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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123/314

2‐14‐5 懸念

 


 モリスが退室するのを見届けたかと思うと、


「それで、実際は何故気づいた?」


 ナギサの居残りの口実はサラッと無視され、いきなり切り込まれた。


「えっ......」


 やはり先ほどの理由では納得していなかったようだ。

 今はマグナルバしかいない。魔力探知のことも含めて話しておくべきだろう。


「石に見覚えがあったのも本当の事なのですが、影が見えたのです。なんて言えばいいのか、その嫌な感じの」

 と説明を始めると、マグナルバの目つきが変わる。その時感じたことを思い出しながら再度説明し、マグナルバの様子を窺う。


「つまり、魔力探知で気が付いたと」


 言わずともマグナルバには解ったようだ。

 ナギサはコクリと頷くと、《女神》より魔力探知の特殊能力アビリティを賜ったことを説明する。異世界出身のことを言えない為、先日神の間で賜ったことにしておいた。


「部屋の中で他に影は見えなかったのだな?」


「はい。でも、カエルのおじい様もアースター様もいらっしゃったので、わたしが確認しなくてもお二方が再確認されたのでは?」


「もちろんお前達が帰った後に確認されたそうだ。ああそれと、アウルスが褒めていたぞ。綺麗な浄化魔法だったと」


「あ、ありがとうございます」


「で、お前は何が気になるんだ。影が視えたことが言いたいだけではないだろ?」


「石が......」


 ナギサ自身が上手く言えないのだが、何故か石自体のことが気になった。あまりにもそっくり。形状こそ違うが、質感や見た目、同じ場所から採取した石としか考えられない。

 先の練習で浄化したとき、あの石は魔力溜りの近くにあり、調査用に持ち帰ったと伝えられた。

 もし、同じ場所から採取されたのだとしたら。それはいつ? 魔力溜りの浄化前なのか、後なのか。どちらの場合でも汚染状態の石である、大問題だ。


 ナギサは自分の懸念をマグナルバに説明する。マグナルバの目が糸のように細くなり、形の良い細眉が中央に寄る。


「嫌な話だな」


「──ごめんなさい」


 座ったままであるが、思い切り頭を下げた。


「ああ、すまない。お前を責めたわけではない。この後のことはこちらで考える。また呼び出すかもしれんがな。

 それより、魔力探知のことで少しお前に講義をしようか」


「?」


 マグナルバの言葉にナギサは首をコテリと傾げる。


「魔力探知は万能ではない。これはいいな?」


 ナギサがその言葉に頷くと、マグナルバは続けて魔力探知の限界、技量による差等《女神》から既に聞いたことも含めていろいろと説明をしてくれた。

 加えて、魔力を抑えることをナギサに覚えるようにとアドバイスまでくれる。


「魔力を抑える、ですか?」


「そうだ。今わたしの魔力は視えないだろう? これはわたしが抑えているからだ。ナギサ、おまえは鑑定阻害があるから多少低めに魔力が視えるが、力がある者が視れば“鑑定阻害があってこれほど魔力があるのか”という状態だ」


「それ、嫌ですね」


「ああ。だから自身で抑えるのだ。常日頃から心がけていないと意味がないから、少し辛いかもしれないが」


 そういうとマグナルバは魔力を抑える方法をナギサに説明してくれる。

 難しい方法ではないが、常にこれを気にして生活しろというのはしんどい。

 だが、マグナルバが言うには、魔導士であれば身の保全を考えて、この力を磨いている者が多いという。魔力の色は個人差があり、個人を判別できる。魔力がはっきり視えていれば覚えられやすく、何かの時に標的になりやすい。おまけに大容量の魔力持ちなどそうそういない。鑑定阻害なり鑑定偽装なりしていても、大容量の魔力持ちということで身バレしてしまっては意味がない。偽って少なく見せるのだと。


 ナギサがアウルスやアースターの魔力が見えたことを伝えると、恐らくあの二人であれば偽装した上で抑えきれない魔力が視えているのであろうと。完全に魔力を抑えきるのは無理なので、偽装した魔力を視せている魔導士が多いとも言われた。

 ただ、あの二人は錬金術士と副神官長で、魔導士ではないがなとマグナルバが苦笑いしている。


 ナギサの場合、既に偽装がかかっているが、自身で狙ってのものではない。この偽装を適宜変更できるようにならないと、偽装自体の意味がない。なので、今は極力魔力を抑えて視える量を減らすべきだと忠告される。


 ここまで聞かされれば流石に身の危険を考える。友人達より魔力量が多いことはこの数節ほどで実感している。素直にマグナルバの教えを乞うことに決めた。

 早速と、その場でマグナルバの指導で魔力を抑える方法を試した。確かに手順というか方法は単純。ただこれを無意識のうちに続けるというのは、なかなか難しいことである。





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