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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐13‐7 試してみたい

 


「お待たせ。祖父と叔父が確認してくれるって」


 しばらくするとカエルが戻ってきた。先ほどに比べると顔色も表情も若干ましになっている。カエルの言葉に皆がカエルの下に集まり、


「大丈夫そう?」


「何か手伝うことある?」


 何ができるわけでもないのだが、何かしないと、そんな気持ちから皆が口々にカエルに声をかける。


「大丈夫だよ。祖父が気にしているのは、君達に害がなかったか、ってことだから」


「えっ? 害も何も、ナギが気付かなかったなら、わたし達普通に帰っていたわよ」


「そうそう。それこそ大丈夫よ」




「カエルレウスの友人は良い人物ばかりだな」


「あっ、おじい様! 皆、こちらが僕の祖父。おじい様、彼らが僕の友人達です!」


 カエルが間に入り、皆がカエルの祖父であるという男性と挨拶を交わす。カエルの祖父というので、かなりの高齢男性を想像していたナギサだったが、実際はそのような雰囲気ではない。キリっとした佇まいの青い瞳が印象的な紳士だ。顔つきも若々しく、まだ60歳は越えていないであろう。

 礼儀正しく受け答えをするナギサ達に、もっと気楽にしてくれればよい、浄化が必要となるようなものを前にして不安ではないかと、いろいろ気づかいの言葉をかけてくれる優しい人物だ。



(こんな風に見えるんだ)


 ナギサは一人心の中で納得する。この汚染された石に気付いた時に感じたのは黒い影。目の前の御仁を覆うのはオーラ状の美しいもや。魔力探知の特殊能力アビリティがしっかり働いているようだ。つまりそれだけ高位の人物なのだと認識し、気持ちを引き締める。



「父上、先に行かないでください!」


「アースター、お前がゆっくりしすぎなのだ」


 カエルの祖父の言葉に、ナギサが部屋の入り口へと視線を向けると、アースターがそこにいた。

 アースターにも美しいオーラが見える。だが、似ているようで二人のオーラの雰囲気は少し違う。この違いは何だろうと二人のオーラをしげしげと見比べてしまう。

 視線に気づいたのであろう、アースターがナギサの存在に気付き、


「おや、君は...... ナギサ君だったか。そうだよね?」


 と、声をかけてくる。


「お久しぶりでございます」


「あれ? ナギ、叔父上を知っているの?」


「ん、カエルの叔父様? 以前少しだけファイヌム様のお手伝いをした時に......」


 ナギサとカエルがそんなことを話していると、


「それで、どれが問題のモノなのかな?」


 と、カエルの祖父が本来の目的へと話を戻す。

 カエルが慌てて、部屋の隅にあるティーテーブルを二人に指し示した。


 ティーテーブルには凝った刺繍の縁取りが美しいドイリーが敷かれ、その上に様々な石が置かれている。どれも子供の握り拳よりも小さな石で、美しい色形をしている。ナギサも川辺や山道で見つけたら、思わず手に取ってしまいそうなものばかりだ。


 ただ、その中の一つ、艶があり美しい薄桃色の石。以前ナギサがマグナルバに浄化を試された石ととても良く似た石である。この石が汚染されているのだ。ナギサが何気なく視線をさまよわせた時、暗い影が見えた。昨夜《女神》から伝えられた魔力探知の特殊能力アビリティが正しく反応したのであろう。


 そしてナギサはもう一つ気づいていた。既にその汚染は周りを浸食し始めていることに。その石の下のドイリー、そしてそのティーテーブルが既に一部蝕まれていることが鑑定でも確認できていた。


 先ほどカエル達に伝えた時はそこまでのことは言わなかった。あまり不安を煽るのは好ましくないと考えたからだ。だが、今は神官であるアースターがいる。カエルの祖父も恐らく能力が高い。二人とも恐らく気付いているだろう。



「さてさて、誰がこれを持ち込んだのやら。これは既に何日か経っているね」


「見た目はただの美しい石ですけどね」


「でも、叔父上。家の結界がはじきますよね?」


「とりあえずは浄化するしかないか。調べるのはそれからだな。見たところ君達は特に影響を受けていないようだから、このまま馬車で送らせよう」


 ナギサ達の前で3人はこの後の方針を話しあっている。どうもこのまま浄化を行い、この石を持ち込んだ犯人捜しは後回しにするようだ。


「あの、もし、差し支えないのであれば、わたしに浄化を試させていただけないでしょうか?」





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