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ヴィルディステの物語  作者: あるかな
【第二章】

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2‐12‐11 そして、夜

 


 夕食と湯あみを終えて一息つく。

 何がどうというわけではないが、今日は一日が慌ただしく感じられた。


 あとは終課─今日一日の締め括りをすべく、祈りの間へと足を運ぶ。

 ただ聖句を唱えるだけの時間だが、自分をリセットするにはちょうどいい時間だとナギサはいつも考えている。

 今日もこの妙に浮ついた雰囲気をリセットするためにと、しっかりと祈りの聖句を口にした。




 そして...... 気づけば神の間にいた。


 《女神》が変わらぬ微笑みで迎えてくれる。


「うふ。驚かせたかしら? 特に何かというわけではないの。ただ、お礼を言いたくて」


 そう告げる《女神》の微笑みは見とれてしまうほどに柔らかく美しい。


「お礼? ですか。わたし、まだ何もできていません。名前が何処に隠されているのか、誰がそんなことをしたのか。まだ何も、まったくわかっていないですよ?」


 《女神》はゆったりと首を振る。


「ナギサ。あなたにはとても感謝しているの。この世界に来てくれたことに。わたしの手をとってくれたことを」

 とナギサの両手をその手に包み込んだ。


「あなたは風を、変化を運んでくれたわ」


「変化、を......」


 そうつぶやくナギサに《女神》は静かに頷き返す。


「あなたは気づいていないかもしれない。いえ、気づけないかもしれないわね。でも、確かに変化は起きているのよ」


 微笑む《女神》の瞳は真摯なもので、その言葉に重ねて言い返すことはとてもできなかった。






「あの、このようなことを《女神》様に伺ってもよいのかわからないのですが......」


「あら、何かしら? その尋ね方だと、わたしの名前のことではないのよね」


「はい。“シンバの盟友”という特殊能力アビリティのことなのですが」


「ああ、それは......」


 《女神》に確認すると、やはり“シンバの盟友”はあるじからの加護だと告げられた。あるじが加護を人に与えるのはとても珍しいことだとも教えられる。

 話のついで、というわけではないが、《女神》がナギサに与えた加護についても話があった。

 ナギサが既に把握している各魔力属性は《女神》からの加護によるもの。また、これとは別に“魔力探知”の特殊能力アビリティを与えられているとも。


「“魔力探知”ですか?」


 “魔力探知”とはどういうものだろう? と戸惑っていると、「最低レベルのもの」を与えたと。魔法というものに馴染んでいない状態では、あまり強いレベルで周囲の魔力探知が出来てしまうと、混乱してしまうだろうと考えたからだと言われた。


「でも、そろそろ慣れてきたわよね」


 ふわり


 《女神》の両手が仄かに光って消える。ホタルが淡く輝いて、その光を鎮める時のように。己に何か変化があったかと自問するが、特に変化は感じられない。


「あの......?」


「“魔力探知”は言葉の通り。周りの魔力を察知することができるの。人であれ魔獣であれ。もちろん物や草木も対象よ。今までは感じられるかどうか、という最低限の能力だったから、気づくことはなかったと思うわ」


 柔らかく語りかける《女神》に視線を移すと、ナギサの瞳に映る《女神》の姿に何かが見える。元の世界の雑誌等で“オーラ”と称されていたようなものが。嫌な感じはまったくせず、神なのだから当然なのだろうが、神々しくも静謐なものが《女神》の周りに漂っていた。


「《女神》様の周りに、その、何といえばいいのか......」


「ええ、それが魔力が見えているということ。あなたより魔力が少ない、技量がない、そういうものに対しては意識しないと見えないから安心して。あなたより格上のもの、同等のもの、そんなものが知れると思えばいいわ」


 神様の魔力が探知できる...... いや、これはきっと力を抑えているのだろう。人と神では力の差がありすぎる。それにここは仮の姿、アバター空間。現実に戻った時に戸惑わないように気を使ってくれたのだろう。


「事前に危機回避が可能な力と考えればよいのでしょうか?」


「そうね。ただ、あまりにも格上や、あなたのように鑑定阻害をまとっている相手には、正しく働かないの。だから、あまり頼り切ることがないようにはしてね」


(やはり格上には効かない。今の《女神》様はあえて見せていると考えたほうがいい......)


「ありがとうございます。なんだか与えて頂くばかりで何もお返しできていないのが、とても心苦しいのですが」


 この世界に来てから戸惑いは多いが、生活に困ったり、酷い目に合うこともなく、すべてを与えられたような状態で過ごしている。《女神》の手伝いを条件にこの世界に来たはずなのに、まだ何もできていないという気持ちが日々大きくなっていくナギサである。


「主とわたしはあなたから一つの未来を奪ったわ。この世界で生きるあなたには、未来の選択肢をできるだけ多く持って欲しいの」


「えっ、でも、元の世界を逃げ出したいと願ったのはわたしです。そして主の手をとったのもわたし。奪われてなどいないです」


「うふふ。最初に戻ってしまうけれど、お礼が言いたい気持ちと通じてしまうわね」




ナギサの物語にお付き合いいただいてありがとうございます。


ブクマや評価、とてもありがたく、ものすごく励みになっております。


ここで《女神》の魔力が探知できてしまうのは、《女神》が本調子でないことも一因ですが、ナギサに理解させる為にあえて魔力を抑えて見せているから。

流石に神様相手に同等とか格上、なんてことはないです。超超超格上なので、魔力探知を相当あげないと無理です。

《女神》もナギサならそれぐらい理解できるだろうと考えたうえでの行動です。


人界に降りている神々は人への影響を考えて、能力を落としているので、隠していない神様であれば人でも魔力探知可能、のはずです。


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