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0‐00 狭間にて
主はただ、耳を澄ます。
彼方の嘆きを拾い、
此方の願いを聴く。
遥か、遥か遠き星々から、
すぐ近く、足元を這うものからも。
喜びの声、感謝の声——
子が生まれた、病が癒えた、想いが伝わった、と。
悲しみの声、怨嗟の声——
子を失った、不治の病にかかってしまった、永遠に生きると誓ったはずなのに、と。
主が創りし無限の世界。
上にも下にも。あちらにもこちらにも。
ひたすら聞こえてくる声に、主はただただ耳を傾ける。
そこに、救うべき声を見つける為に。
お読みいただいてありがとうございます。
ナギサの物語が始まります。のんびりとお付き合いください。