Report85: 訃告
あの夜、ゾフィから携帯電話に着信があった。そこで知らされたのは、訃報だった。
ロジーの死亡。その凶報は俺の体を切り刻み、寝る事も、食べる事でさえ……俺は出来なくなってしまう。
恐怖で手が震え、異常なほどに体温が低下していく。いくら部屋の温度を上げようとも、体の芯の部分が温まらない。
病院に行くと軽度の鬱病だ、と診断された。暫く療養が必要であり、仕事も控えるようにと言われた。
そもそも、リセッターズは現在仕事を請けられる状況ではないだろ。
いずれにせよ、休止せざるを得ない。
一日中、ベッドで寝転んでいると、カメコウから時折メールが届いた。数日に一度か二度送られてくる。
内容は下らない話で、「美味しい料理屋を見つけた!」とか「以前のクライアントがお礼を言っていたよ」とか、そんな感じだった。俺を心配しているんだろう。
カメコウは優しいな。比べて俺は……。
その翌日。リセッターズは業務を再開した。
どうやら、今はゾフィとカメコウが依頼を一身に引き受けているようだが。二人では大変だろう。
俺が加われば、少しは楽だろうか。……こんな、出来損ないの俺が?
明日にはメガミが退院し、仕事に復帰するらしい。メガミが居れば大丈夫だろう。俺は必要ないな。仲間を死なせるような人間だ。居ない方がいい。
布団にくるまり、ガスストーブをガンガン焚いた。
前にもこんな事があったっけ。……そうだ、リクセンと戦う少し前だ。
あの時は、リセッターズ解散という偽の情報を流して、その裏で耽々と、打倒リクセンの計画を進めていたんだった。
でも、今回は違う。死人が出た。しかも、俺のせいで。
会わせる顔が無い。
最早、涙も枯れ果てた。
死んだ方が良いかもしれない。




