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第100話.通商

「レギルさん、エステリア王国側の扱い分かりますか?」

「それが、さっぱりで」


「シズタミには、この貨幣…Vonでしたっけ、こえれは10分の1として扱うように伝えてきたばかりなんですよ」

「10分の1ですか…」


「えぇ、とりあえず明日もその人が来るんですよね」

「そのように伺っているが、会ってもらえるかい?」


「えぇ、取り敢えずは、交換レートは10分の1で進めましょう」

「わかった」


-----


次の日の昼過ぎ


「あなたが、コアソリースの使者ですか?」

「そうだが、そなたは?」


「申し遅れました、サンラで貨幣について交渉を担当しております、スグルと言います」

「そうですか、あなたが今回の仕掛人でございますか」


「仕掛人ですか?、仰ってる意味が分かりませんが、これでもサンラ領民を飢えさせない為の政策ですよ」

「そうです、スグル殿の助言でサンラが救われました」

「左様ですか、しかし、サンラが新貨幣を発行したことによって我が共和国では悪影響が出始めているんですよ」


「どのような影響なのですか?」

「我が共和国の貨幣が流通できなくなったのだ」


「レギルさん、コアソリース共和国という名前はご存知でしたか?」

「すまん、何せ95年のブランクがあるので…」

「流通できなくなった責任を取ってくれるのだろうな」


「責任もなにも、サンラの貨幣なのでコアソリース共和国には関係が無いでしょう」

「サンラの貨幣を換えたことの影響とはなんなのでしょうか、伺っても?」

「貨幣が変わったことで、直接の支払いができなくなったのだ」


「え、それが普通ではないのですか?」

「そうですね、貿易に関しては他国の貨幣が市場でそのまま決済に使われることはありませんよ、相手国の貨幣もしくは共通貨幣を使うのが慣例です」

「…」


「もし、今後お取引をされる場合は、サンラおよびシズタミでは両替所でサンラEnyに換金された方が宜しいですよ」

「現在、サンラとシズタミの共通貨幣となりましたのでな、門の所と商会で換金を始めてますので、どうぞご利用ください」

「それでは手間が掛かるだろう、その手間を無くす為に、我が共和国に造幣技術を教えろ」


「似せて作る気ですか?、お断りします」

「なるほど、旧Enyに似せているのも…」

「困るのはお主らだぞ?」


「全く困りませんよ、知っています?、95年間他国と交易をしていませんので、今さらなんですよね」

「シズタミとも貨幣に関して協定を結んでいますし、貨幣の切り替えを開始していますよ。コアソリース共和国の貨幣は、サンラEnyの10分の1の価値として取り扱いますので、今後はお気をつけ下さい」

「な…、10分の1だと?ふざけるな!」


「何を怒っているのですか、貴共和国の貨幣がどのように扱われているかご存知ではないのですか?」

「私も、つい先日シズタミで知ったのですが…」

「普通に使えていただろう!」



「市場価値の無い偽金として扱われていましたよ、それだとシズタミが破綻してしまうので、恩情で10分の1の価値を付けているんですよ」

「サンラ1Enyは共和国通貨10Vonですな」

「こ、これは共和国への不敬と見なすぞ、覚えておけ!」


-----


「怒って帰って行きましたな」

「今後、何か仕掛けて来るかもしれませんね。注意してくださいね」

お読み頂きありがとうございます。

100話到達!

なお実質15話程度未満での量しかありません。

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