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自身の能力を説明するようですⅢ

 「それじゃあ、次に行くよ?……カトレア、そんなに気に入ったのなら、明日もしてあげるから。そろそろ戻って来て?」


 しばらく空を浮く感覚をみんなにも体験してもらったんだけど、カトレアが一番気に入ってたように感じる。空を飛んでみたかったのかな?いつも飛んでる僕からすれば、わからないことだったのだけど。

 カトレアは顔を赤くして、地面に戻って来た。それと同時に、『重力操作』を解除した。


 「で?お次は何なんだ?もう何が来ても、驚きゃしねえぞ」

 「んー、じゃあ、次はこの子でいいかな。『思考共有』。これは『テレパシー』の上位交換だと思ってくれていいよ」

 『はーい。お久しぶりですー』


 あ、シーちゃんの声が聞こえてきた。呼ばれて嬉しかったのかな?さっきも使ったし、重宝してるんだよね。特に、日常生活であればあるほど。


 「まず、『テレパシー』のことについて。これは言葉を発しなくても、言葉を伝えられる能力だよ。水の中でだったり、敵に作戦を知られたくないときによく使われていたかな。効果範囲は自分の視界に入る人全員、っていうのがほとんどだったね」

 「へー。じゃあ、『テレパシー』には、あんまりこっちが上とかはなかったんだ」

 「ううん。一度に何人と話せるか、どれだけ早く伝えられるかで上下はあったみたいだよ」


 下の方の人は一度自分を中継して、その後に誰かに渡す、っていうやり方らしいんだよね。直接繋げることができないから、タイムロスになっちゃうんだ。で、1人しか繋げられないとかだと、廃棄処分まっしぐらな厳しい世界だったんだよね。

 一方で、上の人は100人とかを直接繋げることができるみたい。その代わり、自身の処理能力を超えると倒れちゃうから注意が必要なんだよね。


 「『思考共有』が『テレパシー』と大きく違うことは、『テレパシー』が表面意識しか読み取れないのに対して、『思考共有』は深層意識まで読み取れることなんだ」

 「……つまり?」

 「『テレパシー』では相手に伝えたいことしか伝えられない。でも、『思考共有』なら相手が隠そうとしていることも読むことができるんだ」


 場が静寂に包まれてしまった。誰も声を出していない。どうしたんだろ?


 『それはですねー、自分の心を読まれるかもしれない、って怖がってるんですよー。得体のしれないものを怖がる傾向がありますからねー』

 「ふーん、そうなんだ。別に、悪用しないから大丈夫だよ?」

 「そ、そうですよね。しませんよね」


 カトレアが声を上げたことで、ようやく元の様子に戻った。ふう、よかった。


 「『思考共有』の効果範囲は半径500km。で、人、生き物、どちらにも使えるよ。直接繋げることもできるし、中継させることもできる。何人に使用できるかは……何人だっけ?」

 『最大で10万人までですねー。勿論、生き物枠は別にできますよー』

 「ああ、そうだった。シーちゃんに確認したんだけど、10万人までだって。生き物は別にしても大丈夫みたい」


 そう言うと、カトレアとジリアンさんが頭を抱えていた。変なこと言っちゃったかな?


 「……あのな。こっちは国一つぐらい覆われる通信を、傍受される心配なく使えるってことだぞ?しかも、軍隊全員に伝わるように!それがどんだけ凄まじいアドバンテージになるか、想像したことねえのか!?」

 「んー、いや、あんまり。だって、他の使い方してたもん」


 あの世界では、そっちは別の子に任してたんだよね。大体、いつも。そりゃあ、少しはやったけど。


 「……他にどんな使い道があるってんだ?」

 「情報の強制引き出し。深層意識まで読めるから、拷問する必要もないんだよ」


 ジリアンさんは天を仰いでた。そんなに大変なことだったのかな?


 「……嘘すらつけない。おまけに、だんまりも不可。そりゃあ、重宝もされるよな。敵を捕らえりゃ、ぜってえに情報得られるんだからよ………」

 「く、暗い話はともかくとして!その、シーちゃんとは誰ですか!?」


 カトレアが無理矢理に話を繋げてきた。笑い方も無理があるのがわかる。そんなに大変な能力だったのかあ。話す人には注意しよう。


 「シーちゃんは『思考共有』の子だよ。おっとりしてて、語尾を伸ばすような話し方が特徴かな。あとは優しそうな声だよ。いつも仲介役に入ってるし」

 「そ、そうなんですかー………」

 「あの、一ついいでしょうか?もしかして、ゾラン兄上が先ほど苦しんでいたのは………」


 カトレアに代わって、シルヴィアさんが話しかけてくる。うん、シルヴィアさんは鋭いねえ。


 「そうだよ。『思考共有』の効果。一人の脳に、30人を超えるだけの深層意識を詰め込んだら。普通は気が触れるだろうね。短い時間だから助かりはしたんだけど」


 シルヴィアさんのお兄さんが顔を青くしていた。今更だけど、とんでもないことをされていたのだと思っているのかもしれない。


 「……あの、もしかしてですが………この能力を悪用した場合………?」

 「うん。人を殺すことができるよ」


 人間の脳みその容量なんて、たかが知れている。パソコンや携帯端末の方がよほど上なのだから。もし大量の情報が一気に脳内に流れ込んで来たら?脳みそはパンクして、一気に死ぬ。仮に生き残れたとしても、脳は駄目になるのだから、植物状態になることは想像だに易い。

 けど、この能力の本当に恐ろしいところはそこじゃない。この能力は敵の数が多ければ多いほど、凶悪になるところ。全員の意識を一度に繋げれば、その敵たちは全滅できるんだから。大規模殲滅用能力とも言えるのだから。

 みんなが青くなっているのを見て、これは次に移った方がいいのかな?と思った。

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