自身の能力を説明するようですⅡ
「ええと、とりあえずフェニフェニは戻すからね?4人とも離れて?」
僕の掛け声で、それぞれ名残惜しそうに離れていった。カトレアとコルネリアさんは予想できたけど、シルヴィアさんと凛花さんの方は意外だったなあ。やっぱり、女の子ってかわいいものが好きなのかな?
「そういやなんだが、あいつってどうなってるんだ?超能力でできてるんだろ?」
「ああ、そのこと?それはね、別空間があって、そこに行ってもらってるんだよ。この場からは消えるけど、死ぬわけでも完全消滅するわけでもないよ。そこは安心して」
僕の言葉を受けて、明らかに4人はホッとしている。みんなフェニフェニのことを気に入ってるんだねえ。ちょっと変な感じはしたけれど、それを無視してフェニフェニを戻した。
「次に説明するのは、『重力操作』。これは持っている人が希少だから、なかなかこれの上位交換、ってものがないんだけど……あえて言うなら、『反重力』。アンチグラビティの上位交換かな」
「……ええと、申し訳ありません。その、重力、というのがよくわからないのですが………」
ん、ああそうか。こっちの世界じゃ科学が遅れていることを忘れてた。そりゃあ、重力のことだってあんまり知られちゃいないよね。
「んんとね……どう説明しよう?」
『マスター。私の言う通りに言えば大丈夫。任せて』
「あ、クーちゃん。お願いできる?」
「また新しいのが出てきたぞ………」
ジリアンさんが呆れてる。でも、あと5人いるのだけど。いちいち驚いていたら、体がもたないよ?
「クーちゃんは『重力操作』を司ってる子だよ。僕以外とはあんまり喋りたがらないかな。僕にはちゃんと対応してくれるんだけど……あ、あと冷静な子だし、いつもアドバイスしてくれるから助かってるかな」
『マスター、嬉しい。これからも頑張る』
あ、ちょっと嬉しそう。思念でクーちゃんにお願いして、重力のことを教えてもらう。
「重力、っていうのは簡単に言えば、世界が自分を引っ張る力、みたいなものかな。地面の方向に向かって引っ張られ続けているから、僕たちはジャンプしても地面に落ちてくるし、常に地面に接してるんだ」
「そうなのですか……初めて知りました」
「まあ、魔法が発達してるからね。そのせいで知られてないのかも」
この能力は凛花さんやアルヴァさんの方が想像しやすいと思う。わからない人は体感してもらえばわかりやすいかな?
「ふむ。重力はどれぐらいまで上げられるのだ?」
「ええとね、+から-の範囲まで。どっちの方向にしても、確か上限は絶対数が1000まで、だったはずだよ」
「……とんでもないな」
凛花さんも顔を引き攣らせてた。確かに、これは無茶苦茶だと自分でも思う。
「すみません。その、-というのがよくわからないのですが………」
申し訳なさそうにカトレアが言ってくる。そんなに畏まらなくてもいいんだけどね。知らなくて当然なんだから。
「じゃ、体感してみよっか。そっちの方がわかりやすいでしょ?」
「は、はあ………?」
戸惑っているカトレアの方を向き、人差し指を下に向ける。すると、カトレアはあれ、という顔をした。
「……なんだか、体が重いような………?」
「そう、それが重力の影響だよ。今はあんまり影響が出ないように、いつもの1.1倍くらいにしてるんだ」
「これで、1.1倍ですか………」
「そうだよ。サクラ連邦にいた魔族が倒れてたでしょ?あれは10倍の重力を掛けてたんだ。100倍ともなれば、人を殺せるしね」
カトレアが冷や汗をかいている。でも、こう考えればわかりやすい。
「カトレア。わかりやすく言えばね?重力が1上がるごとに、自分を1人背負っているようなものなんだ。カトレアは自分を99人背負えるかな?」
「それは……無理、だと思います。恐ろしい能力ですね………」
「まあね。指した方向によって、重力を滅茶苦茶にできるしね」
そう。この能力の本当に恐ろしいところは、重力を自在に操れる、というこの1点に尽きる。指を動かすだけで重力を操れるこの能力は、相手を立っているということでさえ難しくさせる。防御しようにも、踏ん張れなければダメージを貰うだろう。体力の消費も凄まじいはずだ。
「こんな能力があと5つも………」
「あ、-のことだったよね。こうすればわかるかな」
カトレアの周囲の重力を-0.1にする。すると、カトレアはゆっくり宙へ浮いていった。
「ええ!?これ、なんですか!?空の方に引っ張られます!」
「危ないからここまでかな。はい」
今度は重力を0にする。カトレアはさらに戸惑った。
「あの、ふわふわしているのですが……これは一体………?」
「無重力空間にしてみたんだ。今なら空も飛べるよ。あと、泳ぐこともできるんだ。ほら」
試しに自分でやってみた。その行動はみんなを驚かせることとなったようだ。
「もう無茶苦茶ですね………」
「そうかな?」
「いや、空中戦ができるようになっただけで、かなり戦術の幅は広がるからな?無重力、っていうのを使えるだけで、十分過ぎる性能なんだよ」
ジリアンさんが呆れていた。そんなになんだ。やっぱりクーちゃんは凄いんだねえ。
『マスター。もっと褒めてもいい』
『……?うん、クーちゃんは凄いね』
なんでこんなことを言われたのかはよくわからない。まあ、クーちゃんが嬉しそうにしているからいいか。そう思った。




