自身の能力を説明するようですⅠ
で、お城に戻って来たよ。自分で歩く、っていうことを知ってからだと、やっぱり便利に感じるよね。指を鳴らせば一瞬だもの。
「それじゃ、能力のことを話そうかな。まずそもそもの話だけど、僕の体が弱いっていうのはこの能力のせいだよ。7つの能力と引き換えに、普通の人と比べてかなり低いステータスになってるんだよ」
「なるほど……では、そのせいで満足に魔法も使えなかったのですね………」
「うん、そうだよ。まあ、それを知ったのはむこうの世界での話だけど」
あれ、とシルヴィアさんが首を傾げた。
「むこうの世界でもステータスやスキルを知れたのですか?」
「ううん。知ったのはこの能力だったからだよ。あとは元々僕と親和性が高かったからだね」
ただ、超能力の正体を知っている人はむこうじゃいないとは思うけど。僕が知れたのだって、偶然の産物だしね。
「僕の体は超能力とかなりの親和性があってね。確かシンクロ率が130%をオーバーしてたかな?そのおかげで、声が聞こえるんだ」
「声、ですか?」
「そう。実は超能力は神様からの贈り物でね。それをどれだけ体に取り込めるかで使える数が変わってくるんだ。で、あまりにも拾い過ぎて、尚且つやたらと相性が良かった僕はそれぞれの声まで聞こえるようになっちゃった、ってわけ」
みんな個性があって面白いんだよね。しょっちゅう喧嘩しているのはやめてほしいけど。
「ええと……とりあえず、そろそろ能力の紹介に行きませんか?日が暮れちゃいますよ?」
カトレアが空を見て、そう言ってくる。ふと見れば、太陽が傾いて沈みそうだった。うん、これは急いだ方がよさそうかな。
「それじゃ、能力を紹介してくよ。まずはさっき見せた『操炎』。『発火能力』の完全上位交換、って思ってくれていいかな。まあ、僕の超能力ってこんなのばっかだけど」
「ええ………?」
「仕方ないじゃない。贈られた物からどれだけ引き出せるのかも、超能力には関係してるんだから。大体の人は10~20%引き出せれば、かなりの能力者。僕の場合は100%以上引き出せるから異常、って言われてた」
だから、普通の人と比べたらとんでもない威力になってたり、汎用性が凄まじかったりするのだけど。みんなから《悪夢》って呼ばれたのも、そこら辺が理由だと思う。
「たぶん、みんなが知らないだろうから、普通の『発火能力』がどうかなのかから教えるよ。『発火能力』は普通、炎弾を撃ち出したり、物に火を点けたりする能力だよ。最大温度はせいぜいが1200℃とかそれぐらいだったかな?」
「……さっきお前、3000℃とか言ってなかったか?」
「うん。そこが『操炎』が『発火能力』と違う、って言われるところ。あくまで『発火能力』は火を点ける能力なのに対して、『操炎』は火を操る能力だからね。最大温度は……何℃だっけ?」
がくっ、とみんなが転びそうになっている。いや、だっていちいち覚えてはいられないしねえ。
『ねえねえ、ソーちゃん。何℃だったっけ?上限』
『んおー?あー、あたしの能力か。上限は3万℃だわな。んで、下限が0℃まで』
『ありがとー、ちょっとあれ使うから準備しといてねー』
『お、あれ使うのか?いいね、景気付けになりそうじゃねえか!頼んだぜ、マスター!』
『任しといてー』
ソーちゃんとの思念での会話を打ち切り、再び意識をみんなの方に移す。
「今、ソーちゃんに確認してきたよ。上限が3万℃で、下限が0℃だって」
「ソーちゃん、って誰だよ………」
「それ以前に、0℃じゃ燃やすって言わなくない?冷やしてるような気がするんだけど………」
「でも、炎の形はしてるからね。『操炎』って分類されてる」
まあ、『温度操作』でもよかった気はするけどね。元々の能力では低くすることはできなかったから、僕が所持しているとき限定の効果みたいかな。だから、『操炎』でいいらしいのだけど。
「ソーちゃんは『操炎』の超能力の本体の子だよ。豪快な性格で、何かに取り組むときは全力で、って感じかな?あと、ノリはいい子だよ」
「ふーん、性格とかもあるんだな」
「あるよ。みんなばらばらだから、結構面白いし。あ、能力見せるね」
すると、一斉に緊張が走った。そんなに構えなくてもいいのに。危なくないんだから。
パン、と両手の手の平を打ち付ける。そして、ゆっくりと開いていって……
「『不死鳥』」
その場に一羽の大きな鳥が現れた。その体は全身が炎に包まれていて、触れれば火傷をしてしまいそうだ。
『いやー、ほんと久しぶりだなー。どうよ、懐かしいか?』
「そうだね。久しぶり、フェニフェニ」
僕が頭に触れると、くすぐったがるように目を細めた。うん、今日もふわふわしてて気持ちいいや。
「……まあ、名前については放っておくとして、だ。熱くねえのか?」
「大丈夫だよ。今の設定温度は40℃だから」
「風呂か!?」
ジリアンさんが叫んでいた。ツッコミ役の人は大変だね。しみじみそう思った。
「精巧なものですね……普通の生き物だと言われても、信じてしまいそうです」
シルヴィアさんが近づいてきて、しげしげと見つめている。
「あ、触ってもいいよ?フェニフェニも構わないみたいだし」
僕の言葉に合わせて、フェニフェニも頷いている。それなら、と凛花さんとコルネリアさんが動いた。触れると同時に、驚いている。
「うわ、すごくふわふわしてる。本物の鳥を触ってるみたい」
「うわあ、とってもかわいいですー」
二人の女の子に触られて、ちょっと嬉しそう。かわいい、って言われたとき、温度も上がってるしね。
「……なあ、ユートよ。一つ聞いていいか?」
「ん?何?」
「こいつ、まるで自分の意思を持ってるように感じるんだが、気のせいか?どうも生き物くせえというか何と言うか、そう感じてな………」
「ふむ、それは私も感じたな。操っているには、少々自由過ぎる気がする」
おお、ジリアンさんは鋭いね。その通り、フェニフェニには秘密があるんだ。
「そうだよ。フェニフェニは自分の意思を持ってるんだ。だから、僕の指示がなくても、動くことができるんだ」
「おいおい、マジかよ………」
これがふざけてる、って言われる理由なんだよね。温度は自由に変えられて、呼び出せる炎の量も好きに変えられる。尚且つ、形も自由自在で、生き物の形にすれば意思が宿る。たぶん、これ一つでも十分に価値があるんだと思う。
カトレアやシルヴィアさんも撫でることに加わったフェニフェニを見ながら、いつ消そうかなと思案に暮れるのだった。
話が全然進まない……最悪、ユートの説明回で7話ほど潰すかもしれないです。
あと、ユートはネーミングセンスが壊滅的と言っていいほどにないです。




