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悪魔は異世界で禁断の恋をする  作者: サボり魔大学生ソニ
1章 フィリス極刑裁判編
9/21

熾天使の加護

《9話》

【ナハス裁判所2階】

俺はフィリスと二人きりで仮にフィリスが極刑になっても生きていけるよう"契約"の話をした。正直な話多少どころかかなり不安ではある…。


「ところで、少し聞きたいんだが大丈夫か?」


「ん?どうしたの?ディガル君」


「さっきフィーゴからは、この裁判所内では能力は基本的に使えないって聞いたんだけど…その契約は出来るのか?」


「あー…兄は意外とそういうとこ適当だからね。使えないのは本番の法廷内だけだよ、あ~…でも、裁判所内では相手を攻撃するような魔法や能力は使えないね。」


「なるほど…。ところでフィリスはあの鎖での縛り上げる他にどんな能力が使えるんだ?」


「そうだねー、時間がないから後で説明しっかりとするけど…こう見えて私幼い頃から兄に鍛え上げられてるし熾天使の加護強いから天界では大抵の事出来るよ?流石に万能って訳ではないけどね…。ま、ディガル君が大怪我したら完全回復したげるから頼ってくれて構わないからね?」


「リザレクションが使えておまけに前線でも戦えるのか…」


ゲームだったらインフレの象徴だなこりゃ…自己完結してて他者のサポートもしてまうぶっ壊れって言われるヤツだ。


「フフーン…まぁね?私の凄さに気づいちゃった?」


うーん…普通なら世界に優遇され過ぎだろと文句の一つも言いたくなるが…可愛いとこうも怒りが湧かないものなんだな……。


「最初出会った時からなんとなくオーラで分かってたよ。とにかく…時間もないし、俺に力を預けられるのか試してみて欲しい」


「うわ…適当にあしらうなんて悲しいなー?私結構幼少期から頑張って来たのになー?ま、いいけど……じゃあ、おでこ出して?」


なんだろうこの一気に知能が落ちたみたいな感じは……可愛い…。


「あぁ…!分かってる、後でちゃんと褒めるからさ…。ん?おでこ?何するんだ?」


俺は言われた通りに髪を掻きあげて額をフィリスに見せる。


「ホントはさ、力を移すときにはもっと手順とか方法はあるんだけど……今はあくまで私の力の受け皿になってもらうってだけだから……。」


そう言いながらフィリスは俺の額に手を当ててくる。何か呪文のようなものを小声で呟き始め、その最後に"この者に熾天使の加護の翼を与え賜う"という声が聞こえたような感じがする。その瞬間、額に魔法陣が浮かび上がり、俺の中に強大な力が一気に流れ込んでくる。


──これがフィリスの熾天使としての加護と存在の力。悪魔になってから生命力が溢れる感覚というか…絶好調を維持している感覚みたいなものを感じたが、ハッキリ言ってその比じゃない…身体の奥底からエネルギーが湧き上がり、それを使い切る前に常に満タン分が補充されて上乗せされる感覚と言えば近いだろうか…。


というより…フィリスの力が俺の身体の中に…ってなんかエロくね?いや、分かってる。そんな事で興奮すんのは正直終わってる。だけど、実際これ間接キスみたいなものじゃないか?この世界に来て一目惚れした相手と間接キスもどきかー…生きてて良かった。いや違う違う、そんな状況じゃないだろ今は。


俺が生きてて良かったみたいな恍惚とした表情をしていたからだろう。フィリスの表情が一瞬「え?何コイツ」みたいな顔した気がする。


「ディガル君…今なんか私の熾天使の加護もらった瞬間にすんごい幸せそうな顔してたね?なんかエッチな事考えてない?すでに天界だけど天に召されるんじゃないかな?」


とクスクス笑うフィリス。


「ちょっ!違う違う、ただフィリスの力は凄いなぁって感じただけで…」


「アハハ、そういう事にしておいてあげる。とにかく、私の熾天使の力の一部はディガル君に移ったから。使おうと思う時には私の姿を想像してくれたらきっと反応してくれるはずだから…」


そう言いながら、フィリスは身だしなみ用の手鏡を俺の方を向けて、確認してみなよっと声を掛けてくる。


「薄っすらだけどフィリスと同じオーラを纏ってる感じがするし、目の色が片方だけフィリスと同じ青色だな…」


目の色やオーラだけではなく、いつもなら俺の翼の色が右は黒と左が白だが、明らかに右の黒色の翼の色がグレーがかっている。逆に白の翼にはフィリスのように艶が出ているように感じる。


「うん、しっかり成功したね。流石私が出来ると見込んで言っただけはあるよ。」


「だから最初、出来るかできないかは不安ではないって言ってたんだな?」


「まぁ、私もディガル君と同じ目(オーラを見れる目)持ってるからね。普通に悪魔相手にだと反発されるからこうも上手くはいかないんだけど、ディガル君みたいに両方の要素を持ち合わせてると反発される可能性が低いから。」


と言いながらニッコリと笑いながら、じゃ…もしもの時は頼んだぞ?私の"救世主"っと言って下の階へと先に降りていくフィリス。


───救世主、か。


この授かった力を使わず何事もなくフィリスが無罪になれば良いんだけど……。


俺もフィリスに続いて階段を降り始める。



《9話完》

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