始めからやり直し
深い闇の中、瞼を閉じ、耳を塞ぎ、感覚を消し、アノンに喰い尽くされる瞬間を待っている。心の深層を譲ったお陰か、アノンの捕食速度が速く、既に過去の記憶の大半が思い出せない。このままなら、後数日もすれば俺は完全に居なくなるだろう。この状況に、恐怖も不安も無い。ただ、ミネの事が気掛かり。ちゃんと忘れてくれるだろうか? ちゃんと幸せになれるだろうか? 今はその事ばかり…。
「へぇ~、随分辛気臭い場所ね」
誰かの声が聞こえる。声質は……随分幼い。しかし、ミネとは別人。何処となく、大人びた雰囲気が感じられる。
「聞こえているんでしょ? だったら、少しは反応したら」
「……」
そんな事を言われても、俺の機能は全部アノンに渡っている。目を開ける事も、言葉を発する事はできない。本来は耳も聞こえない筈だが、何故か声は聞こえる。
「随分律儀ね。わざわざ全部譲らなくても、アノンはアノンとして生きて行けるわよ」
「……」
確かにその通りかもしれないが、これは気分の問題。今まで全部奪っていたのだから、全部譲るのが道理。それが俺の考え方。
「しょうがないわね~」
強烈な光が瞼の奥に広がり、強制的に視覚が形成される。それに伴い、声も、感覚も、疑似的に復活。真っ暗な世界に佇んで居たのは、声とは裏腹に大人の女性。波のさざめきが聞こえる青い長髪が特徴的。
「…何者だ? こんな事が出来るなんて…」
「私は、母神アクア」
神様……なのか? 失礼だが、俺にはそう見えない。無邪気な子ども、もしくは、子どもっぽい大人。威厳を感じるより先に、幼さを感じる。
「その母神が、俺に何の用だ?」
「あなたを助けるように頼まれたんだけど……どうしようかな」
俺の顔を凝視し、時折眉を顰めつつ、右頬に触れる。
「ねぇねぇ、人生は辛かった?」
「最初だけだ。直ぐに諦めた…」
急に始まった質問タイム。別に嫌ではないが、質問が質問なだけに意図を感じてしまう。望んだ答えを出せなかったら助けるのを止める…とか。
「親を恨んでいる?」
「ちょっと前までは恨んでいた。今は………どうでもいい」
「レイナに捨てられた事は?」
「仕方なかったと思っている。アノンと俺は、あまりにも違い過ぎる」
質問に悪意を感じる。心を乱す様を見たいのか、ただ単にデリカシーが無いのか、それとも何かの試練なのか。もし試練だったら、印象は良くない。
「ふ~ん、思ったより擦れていないのね」
「まだあるのか?」
「……じゃあ最後に、自分を可哀そうだと思っている?」
「いや、全然」
アクアは、俺の両頬を抓る。
「まぁギリギリ合格かな。産んであげるから、私のお腹に触れて」
今の言い方が無性に腹立たしい。
「断る!」
「どうしてよ? あなたにとって不都合は無いでしょ?」
「……その考え、親父と似ている。優秀か、不出来か、それだけなのか?」
合否を設け、子どもを選別。「今はどうでもいい」と言っていたが、やっぱり親父感覚の思想は腹が立つ。本当は、ミネの為にも是が非でも縋るべきだろうが……どうしても譲れない。
「やっぱり不合格ね。あ~あ、ミネ悲しむよ…」
「そうだな。ミネには何度謝っても足りない」
「だったら縋りなさいよ! ほらっ!」
あっさり帰ると思っていたが、意外にも粘る。腹を突き出して触れるように催促。
「嫌だ!」
「我がまま! あなたより辛い選択を迫られる者も居るのよ! ちょっとぐらい我慢しなさいよ!」
「だったら、その辛い選択を迫られている誰かにチャンスをやれよ!」
アクアの表情が曇る。
「良いのね? 私以外に救いは無いのよ?」
「…構わない」
今の俺は、少し変だ。いつもより頑なで、卑屈。我慢の必要性も分かっている筈なのに、「何が何でも」と激しく拒絶してしまう。まるで、昔の感情が蘇ったかのように…。
もう来ないと思っていたアクアだったが、翌日以降も頻繁に現れた。手土産を持ってきたり、柔らかい表情で話したり、俺が好むような態度を取るよう心掛けている。しかし、内心は嫌々、考え方も変化なし。これでは頷けない。
アクアが通うようになって一か月。本当なら既に存在消滅している筈だったが、何故か未だに意識が残っている。原因は多分、アクア……本当にどうしてこんなに執拗なのだろうか? アクアにとって、俺はただの不合格者。無理に相手する必要はない筈。
「また来たわよ~」
丁度良いタイミングに来たと、早速質問をぶつける。
「……アクア、どうして……毎、日……」
何とか捻り出したが、殆ど言葉が話せない。そろそろ限界かも。
「それを聞いたら産まれてくれる?……って、交換条件はもう止め! 正直に話すわ。私が固執するのは、ミネを見返す為。「あなたなんかにシンは産めない!」って言われたから、ついカッとなって……」
「そうか……」
「この私に逆らう者が居るなんて想像した事も無かった。だから、余計に腹が立った。「絶対何があっても産んでやる!」そう啖呵を切って引き受けた。ミネとしては、内心上手く行ったと考えた事でしょうね。しかし、持ち帰った結果は…失敗。あの時のミネの顔は一生忘れないわ。失望しつつも、「やっぱり」と納得する顔……母神としてのプライドが粉々に砕けた」
ミネの懐の深さに頭が上がらない。本当は寂しくて堪らないのに、俺の気持ちを察して怒ってくれた。
「でも、今にして思えば……砕けたのはミネの希望だったのかも。二度と愛する者と会えないと知ってしまったのだから……」
「酷い……男だな、俺」
「そうね、最悪よ。大事な存在を蔑ろにしたんだから……」
「………その気持ちが、理解出来るのに……どうして、子どもの優劣に……拘った?」
「う~ん、変わったのかな?」
確かに、随分柔らかく穏やかな表情を見せるようになった。最初会った時の小馬鹿にしたような雰囲気が感じられない。今のアクアなら、腹に触れても良かったかもしれない……。
手足の感覚が完全に途絶えた。意識も徐々にアノンに変わっていく。どうやら今日こそ、俺が消える日らしい。
「……最後に話せて良かった…どうやら、もう限界だ。ミネに、別れを………伝え…」
次の瞬間、心が闇に包まれる。
「ダメ! しっかりしなさい!」
「…………」
アクアの声に反応できる機能はもう存在しない。
さようなら、アクア。
さようなら……ミネ。
小鳥のさえずりが聞こえる? それだけじゃない。風が肌を撫で、潮の香が鼻を擽る。感覚が復活する事は無いだろうし、もしかして…死後の世界? 来た事が無いから断定できないが、納得できる答えはこれぐらい。他の情報を得る為に瞼を開こうとするが、何故か異様に重くて全く開かない。体を動かして見るが、思うように動かない。なんだか、体が縮んだような気がする…。
「シン……」
ミネの声、少し震えている。
顔を確認したい。だけど、瞼が重すぎて動かない。諦めずにゆっくり力を込めて行くと、僅かに瞼が開く。差し込む眩い光に目を慣らしながら徐々に瞼を抉じ開けると…涙で濡れたミネの笑顔が待っていた。
「だぁ~~……」
「ミネ…」と発した筈の言葉は、赤ちゃん言葉に変換される。もしかして、変換されたんじゃなくて、そうとしか話せないのかもしれない。体が思うように動かないのも、瞼が異様に重いのも、体が縮んだように感じるのも、俺が赤ちゃんだから?
「本当に大変だったんだからね」
隣から聞こえるアクアの声。呼吸が荒く、かなり疲れている。顔が見たくても、生まれたばかりで寝返りすら真面に出来ない。
「ばぶばぶ、だぁ、だうぅ……」
聞きたい事があっても、赤ちゃん言葉では上手く伝わらない。この何とも言えないモヤモヤ感の所為で、急に悲しくなってくる。このままでは、年甲斐も無く大泣きしてしまう。
「落ち着いて。火の種なんだから、心で話せばいいでしょ?」
深紅の夢が体内に? 極大の不安が噴出。
(………先ずは、産んでくれて……ありがとう)
「我が子に感謝されるって、こんなに嬉しいのね。ねぇねぇ、もう一回言って?」
(後でな、今は聞きたい事がある。深紅の夢の所為で心が分離していないか?)
「大丈夫。体は赤ちゃんでも、精神は立派な大人。深紅の夢の影響を十分抑え込めているわ」
取り敢えず最大の不安は消えた。だけど、一つ気掛かりな事がある。
(なぁ……元の体に戻れないのか?)
「残念だけど、赤ちゃんからやり直しよ」
ミネの顔に向かって手を伸ばす。
(ごめん、俺が勝手な事をしたばっかりに……)
俺の衝動的な行動の所為で、ミネとの約束は当分お預け。今度は俺がミネを待たせる事になってしまった。
「シン、良かったね。今度はお母さんに甘えられるよ」
(怒っていないのか?)
「うん。私は、シンが居てくれればそれで良いの」
「……あぅ、う……オギャアアアアー!、オギャアアアアアアー!」
ありがたい言葉に感極まり、とうとう赤ちゃんらしく大泣きしてしまった。赤ちゃんの衝動は感情で抑えられるものではないらしく、恥ずかしくても、申し訳なくても、全然泣き止む事が出来ない。ここまで赤ちゃんの本能が強いとは思わなかった。
「シン、泣かないで」
(と、止まらない……悲しみが勝手に暴走しているようだ……)
泣き止めずに困っていると、アクアが俺を抱きかかえる。
「赤ちゃんが泣く理由は、大体二つ。クンクン、臭いがしないから一つは除外。だったら、お腹が減っているのが原因ね」
アクアは服をたくし上げ、胸を……。
(ちょっと待った! 確かに体は赤ちゃんだが、中身は大人。それはダメだ!)
「中身が大人だからって普通のご飯は食べられないでしょ? 赤ちゃんは赤ちゃんらしく母乳一択!」
(だったら、森の便利屋に頼んで哺乳分と粉ミルクを用意してもらえ!)
「ダメダメ。母乳に勝る栄養食無しよ」
赤ちゃんの体では抵抗しても無駄、どんどん禁断の領域が近づいてくる。一縷の望みを掛け、ミネに「止めてくれ」と頼むが、返って来たのは笑顔だけ。とうとう……その時が来てしまう。
「さぁ、た~~んと召し上がれ」
唇を閉めて抵抗してみるが、またまた赤ちゃんの本能に負けてしまう。尋常じゃない強力な食欲に導かれ、禁断の食事に…。一滴喉を通ると、あまりの美味しさに勢いが止まらない。恥ずかしさも、背徳感も、飲んでいる瞬間は気にしていられない。
そして、満腹になると、途方もない眠気が襲ってくる。
(……ね、寝てしまう……)
「お腹一杯になったら、たくさん眠らないとね」
アクアに抱かれ、眠気に身を任せる。今の俺には、それしか出来ない…。
ふと目を覚ましたのは、真夜中。強烈な泣きたい気分が腹の底から湧いてくる。これが所謂、夜泣きなのか? 何が悲しいのか、悔しいのか、辛いのか、自分でも整理できない感情の渦が涙を励起させる。
「どうしたの?」
右隣からミネの声が聞こえる。寝起きの雰囲気は無い。
(まぁ…ちょっと、夜泣きを……)
「やっぱり、赤ちゃんなんだね」
ミネは満面の笑みで俺の顔を覗き込む。
「抱っこしようか?」
(………良いのか?)
ミネに抱き上げられると、急に心が落ち着く。赤ちゃんに戻ってもミネに対する気持ちが変わっていないと実感できる。
(なぁ、ここは何処なんだ?)
「ラッキーの背中だよ」
(戻ったのか……って、反対に遭わなかったのか?)
「シンがアノンに飲み込まれた日、皆……消えちゃった」
(そう言えば、俺の願望だったな…)
幼い俺が現実を憂いて生み出した幻想。初めから存在していなかったのは理解しているし、納得できている。でも、大好きだった父と母を失った悲しみは強い。顔を思い浮かべるのが……辛い。
(ジョインや神亀は、怒っていなかったか)
「ちょっとだけ。明日、改めて会いに来るって言っていたよ」
(真桜の様子は…?)
「…落胆していたよ。シンがシンじゃなくなったって…」
(その程度だったのか?)
本来の文明レベルを考えると、知性を持っていた真桜の母親も俺が創った幻影だったと思われる。だとするなら、当然、他の幻影と同じ結末が待っている。普通に考えると、大好きな母が居なくなったら激しく悲しみ、元凶となった存在に強烈な怒りを催す。真桜の性格なら、その傾向は顕著。例え運命の人と思っていても、有り余る怒りをぶつけるのは明らか。って事は、生きているのか?
「もう、赤ちゃんらしく夜泣きしてよ! 私、楽しみにしていたんだからね」
突如、怒ったアクアに抱きしめられる。
(気になるんだから、仕方ないだろ?)
「もう……じゃあ、疑問が晴れたら夜泣きしてくれる?」
(……まぁ、な)
「よし! ちゃんと聞いていてね。真桜の母親は、この世界が真桜の記憶に基づき生成した仮初。性格も、考え方も、身体的特徴も全く同じ。きっと真桜本人も気付いていないでしょうね」
(なんでそんな事に?)
「特異点だからよ。特異点とは、二つ以上の世界に存在する事が出来る生物や物の事。特異点を選定、担保しているのは、存在している、もしくは、存在していた世界。つまり、世界に選ばれた存在だから、特別に母親が用意されたって訳よ」
俺がこの世界に来たのは、仮初の体を失った事がきっかけ。つまり、向こうの世界に担保されていたのは、あくまで仮初の体だけ。って事は、俺は特異点ではない。しかし、特異点ではないのなら、どうして獅子面は俺の事を正しく認識できたのだろうか? 鈴森の件を考えると、担保された体を失うとそれに付随する記憶も世界から消える。覚えている訳が無い。
(俺は、特異点なのか?)
「違うわよ。特異点のように見えていたのは、深紅の夢のお陰」
良くも悪くも、深紅の夢に左右されてきた人生。きっとこれからも、そうなる。せめて願うのは、これ以上ややこしい事にならないで欲しい…。
「さぁ、もう良いでしょ?」
(まだ気になる事が…)
「ダメダメ! 赤ちゃんらしく、夜泣きの時間よ」
(……どうしても、か?)
「うん」
目を覚ました瞬間から、泣くスタンバイ状態。その気になれば簡単に大声で泣ける。だけど、抵抗がある。中身は大人、泣くのはかなり恥ずかしい。しかし、アクアの熱望の眼差しは許してくれない。
「オ、オギャアァァァーーーー!」
これは仕事なんだ…と、言い聞かせ一生懸命泣く。すると、泣き声に驚いて神亀とジョインも集まって来る。本気で心配している二人には本当に申し訳ない。
「よしよし、可愛い子ね~」
アクアは、心音が聞こえるよう優しく頭を抱え、適度なリズムで体を揺らす。あんなに泣きたくて仕方なかったのに、嘘みたいに心が凪いで行く。ふと見上げたアクアの顔は、すっかり母親の顔だった。未だに「母さん」と呼ぶ事に抵抗はあるが、この顔は認めても良いかもしれない…。
赤ちゃんからやり直す事になって、俺は全ての力を失った。この所為で、異世界からの介入を止める事が出来なり、恐獣の住処が徐々に奪われる事態に陥った。一応、ガーヴィスが代わりに奮起してくれているが、銃を携帯するようになったツアー客に大苦戦。いつまで踏み止まれるか分からない。非力すぎる俺に出来る事は、ラッキーの背中で事態を見守る事だけ。守りたかった世界が蝕まれていく様は、オギャーと泣き叫ぶほど心に堪える。
5年の歳月が過ぎた。
「兄ちゃん、こっちこっち」
鬱蒼と茂る森の中、声はすれど姿は見えず。一生懸命走るが、声の主の姿を捉える事が出来ない。
「はぁ、はぁ、はぁ……待ってくれよ、アノン」
そう、今追いかけているのはアノン。何故か俺の事を「兄ちゃん」と呼び慕っている。約15年間自由を奪っていたのに、どうしてこんなに懐いてくれたのか分からない。勿論、詳しい事情をレイナから聞いている。
「ダメダメ。兄ちゃんの為だよ」
ここはラッキーの背中。使わなくなった家屋を無くし、代わりに大きな森を作った。目的は、俺の特訓。アクアが科した試練を15歳になるまでにクリアしないと、永遠に戦う事を許可してくれない。許可が無ければ、深紅の夢の力、進化の力は封じられたまま。
「最初の課題は、森林クロスランニング3時間。この程度じゃまだまだ足りないよ」
森林クロスランニングとは、木々を左右に回避しながら全力で走り抜ける体力系の特訓。最大の肝は、絶対にスピードを緩めてはいけない事。僅かでも速度を落とせば、アクアが認めてくれない。
「ちょっとぐらい、手加減してくれれば……はぁはぁ」
「中途半端なまま戦場に送り出したくないんだよ」
俺の事を想っているのは間違いないが、戦場に送り出す事なんて全く考えていない。ただ単に、ずっと傍に居て欲しいから無理難題を押し付けているだけ。アクアを母親の鑑と思っているアノンには言えないけど…。
「御飯の時間だよ~」
ミネの声に反応し、アノンは足を止める。
お陰で、ようやく姿を捉える事が出来た。
「もうそんな時間?」
「はぁはぁはぁ……ミネが時間を間違える訳、無いだろ?」
「おかしいな~。まだ11時30分くらいだと思っていたんだけど……」
とある理由で、ミネには少し早めに知らせるように頼んでいる。12時までの30分が俺にとって最大の試練にして、チャンス。
疲労困憊の体を奮い立たせ、全速力で自宅に向かって走る。
自宅に帰りつくと、周りを警戒しつつ静かに扉を開ける。耳に意識を集中し、部屋の中にミネ以外に誰も居ない事をしっかり確認。どうやら、何とか間に合ったようだ。
「ミネ、ただいま」
腹を摩りながらキッチンに向かうと…。
「お帰り~」
アクアが待ち構えていた。
そして、最悪な事に、テーブルの上に昼食らしきものが見当たらない。
「……か、母さん、今日はちょっと早いな」
「そりゃそうよ。大切な我が子がお腹を空かせているんだから」
キッチンから現れたミネは、手を合わせて「ごめん」と口を動かす。
ここに残り続けるのは悪手、何とか口実を見つけて立ち去らねば…。
「そう言えば、神亀のところに用事が……」
すると、タイミング良く扉が開かれる。
「シン、俺もご馳走になって良いか?」
万策尽きた。もはや、最悪を受け入れるしかない。俺が避けたかったのは、アクアの授乳。5歳になったと言うのに、何度も嫌だと言ったのに、決して授乳を止めてくれない。アクア曰く、「一人前の男になるまで永遠に乳離れさせない」…との事。一人前認定に必要なのは、試練の突破。どう考えても、最低でも15歳まで授乳をするつもりだ。
授乳が終わりアクアが居なくなると、外で待っていたアノンを引き連れ直ぐに特訓に出掛ける。世界を取り戻す為にも、出来るだけ早く試練を突破しなければならない。
勿論、乳離れの為にも…。




