紀行・舞鶴/機雷艦艇・掃海艇「すがしま」
「終戦後。大陸から引き揚げ船が舞鶴に殺到したとき、そのうちの一隻が、港湾内で謎の爆発事故を起こして沈んだという事件がありました。米軍筋によると、港湾封鎖のため、B29爆撃機をつかって多数の機雷を投下しており、どうもそれに触れたのではないかとしています」――自衛隊OBが運営する港湾内遊覧船「あさなぎ」の解説員がそう話した。
そういう機雷が日本中の港湾一帯に大量にあったわけだが、海上自衛隊は撤去する作業技術を発展させた。作業につかう艦艇を掃海艇という。……軍港・東舞鶴港の奥まったところにある古びた倉庫の桟橋に、こぶりな護衛艦が接岸されていた。
機雷艦艇・掃海艇「すがしま」。
基準排水量五一〇トン、全長五四 メートル、全幅九・四メートル。英海軍サンダウン級の情報処理装置・機雷探知機・機雷処分具一式がそのまま導入されている。機雷処分具はフランスが開発したものをライセンス生産している。本艦船をもっとも特徴づけるのは木造船だということだ。機雷は、金属製艦船が近づいたとき磁力の方向が変り爆発する。掃海艇はそうなるのを防ぐために木造にしているというわけだ。
昨今、掃海艇は戦闘が終結した海外に派遣されることがあり、活躍が期待されている。
ノート2015.04.07/取材2015.04.05
掃海艇「すがしま」右舷側から
掃海艇「すがしま」後方から




