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メルシュ博士のマッドな情熱  作者: 京衛武百十
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メイトギア人間の量産化

メルシュ博士の実験、いや計画に興味を覚えたメイトギア達を使い、彼女はさっそくメイトギア人間の量産に取り掛かった。


しかし、どうしてこんな計画に興味を覚えるようなメイトギアがいるのだろうか?。博士の計画は、何度も言うがCLS患者の頭部を切開してCLSウイルスが形成したコロニー様の組織を取り除き、代わりに人工脳を移植、その人工脳をメイトギアとリンクさせて操ろうという、およそ正気の沙汰とは思えない行為なのだ。普通の人間ならそのおぞましさに激昂するだろう。


だが、メイトギアには心がない。故に、人間であればどんなに生理的嫌悪感を覚えるようなものであったとしても、与えられた指示や情報に齟齬がないと判断してしまえば、それを合理的に受け入れてしまうのがロボットであり、人間との大きな違いだ。


メイトギアにとって<CLS患者は人間ではない>のだから、その肉体を再利用するのは、動物の皮を使って革製品を作るのと同じことという程度の認識しかできない場合があるのだ。心がある人間にはその辺りを簡単に割り切ることはできないが、ロボットであるメイトギアにはそれができてしまうのだった。ましてやメルシュ博士が行おうとしているのは、ある意味ではそれこそ検体を用いて医科学的な実験を行おうとしているようなものとも言えてしまうだろう。メイトギア達は、そう判断したとも言えた。


もちろん、人間の情動をどう学ぶかによってその辺りの受け止め方は変わってくる場合もある。だから賛同しないメイトギアが出てくるのも当然のことだった。


とは言え、この初期段階で三十体も集まったことはむしろ博士にとっては望外の結果でさえあった。なにしろ素体にできそうな状態のいいCLS患者の数が三十もなかったからだ。仕方ないので足りない分は順次補充され次第、処置を行うという形で対応することになった。


そして、メイトギア人間を作る為に使われたCLS患者のDNAも採取し、コーディネートを行った上で不顕性感染者としてクローンを作ることとなった。クローンの脳には、メイトギア達の意識をコピーしたものをベースに博士自身の意識も混ぜ合わせ、十歳程度の知能に調整してインストール。それからはメイトギア人間が育てることで人間として完成させることを目指すことになった。


そこに更に、コラリス、コライン、コルツェウィ、コルドレイ、コレルフ、コルトロイス、コルシックスを母体として不顕性感染者を妊娠、出産させ、それを養育することで充実を図ることになる。


加えて、メイトギア人間も母体として利用できる。計画は着々と進んだのであった。


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