表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
JK戦記(前編)  作者: 石屋さん
誕生! 国王軍の白い悪魔
23/49

アビラ砦攻城戦3


 月が隠れ空も地面も見分けがつかないほど真っ暗の中、城門前では戦闘が続いていた。時折、命を落とす者もいたが、数日間続いている戦闘は、もう茶番でしかない。


 ドン! ドン! ドン! と撤収の太鼓が鳴り響くと、城門に捕りついていた兵達は、やれやれと言う感じで、自身の身を守りながら下がって行く。


 そこへ梯子を降りる兵を乗り越えて城壁へ登って行く影。


 交代の時間だと知ってる守備が油断している隙に、その影は、あっと言う間に城壁を登り切った。


「うひょー! 白い悪魔さん、もう登り切ってしまったぞ! やっぱ隊長が先頭に立って戦わないと士気があがらんわ!」

 ガイヤは、自分とは逆の右翼から攻め入っている結衣の様子に驚嘆の声を上げた。


「俺達も急いで上るぞ! ダイヤ邪魔者は撃ってくれ!」

 と、ガイヤが城壁を登る。


「新参者に武功を独り占めはさせん!」

 サイヤが長槍を突き立てて、ガイヤに続き城壁をよじ登っていく



 結衣に続いて、サナ、リナ、ヨナの三姉妹も城壁を登り切り、結衣の部隊の者達もそれに続き既に数十人が城壁の上で剣を振っていた。


 油断していた守備兵達も、左右両端に昇って来た敵兵へ襲い掛かるが、漆黒の闇の中、敵味方の区別が付かず混戦となった。


 すると、城門正面に大木を抱え突進して来る集団が勢いよく城門を叩き、どーーーん と腹にくる音が鳴り響いた。その集団が大木を抱えたまま一旦下がると、今度は、ボルディ万人長を中心とした大男達が、大斧で、ドン! ドン! ドン! と城門を叩きつける。


「よ~し、もう一度、大木で突っ込め~ あと二、三回で門は破られる!」

 と、ボルディが大声を張り上げた。



 城壁の上の狭い場所で、敵味方入り乱れての戦いでは、薙刀を振り回すことができず、結衣達は敵の数に押されて行く。

「降りるわよ!」

 と、言いながら結衣は、城壁からひとっ飛びし、砦の内部に独り落ちて行った。


「………、普通の人間じゃ怪我するんだけど」

 ヨナが呆れ顔で言い放つ


「私達は階段で降りるわよ。付いてきなさい」

 と、サナが階段を駆け下り、リナ、ヨナが続いた。


(ユイ、周りに敵はおらん、全部敵じゃ)

 真っ暗闇の中、結衣は敵兵のど真ん中で薙刀を振り回す。

(コンサありがと、ヨナ達は?)

(いま、右側の階段で降りて来ておる)


 反乱軍の兵士達は、暗闇の中で、次々と薙ぎ払われ、突き刺されていった。


 結衣の周りだけ、ぽっかりと空いた空間に、ヨナ達が入って来た。

「ユイ千人長、後ろは任せて下さい!」


 結衣、サナ、リナ、ヨナが綺麗に四方に向かって、薙刀を振り回し、反乱軍が次々と倒れていくなか


 どどどーーーーん! バリバリバリ と大きな音を立て城門が破られた。


「突撃! 反乱軍を制圧せよーーー」

 ボルディの掛け声と共に、大勢の兵が砦になだれ込んで来た。


 結衣はサナ達を見て

「私達は、もう休んでてもいいみたいね。」

「そうですね。あとはお任せしましょう。」


 勢いよく砦内部へ進軍していった兵達が、じりじりと後ずさりしてきた。


「ん?」と、ヨナが首をかしげる。

「休んでられないみたいね。」とリナが呟く

 奥の様子をみたサナが

「狂戦士……」と、絶句した。

 結衣は

「どうしたの?」


「帝国の秘薬で狂戦士になった反乱軍が押し寄せてきてる!」

 リナが続けて

「狂戦士は、痛みを感じないんです。あの黒騎士と同じです。」


「手強い相手ね……、人数も多いようだし」

 と、言いながら結衣は、数百人の狂戦士達へと向かった。


 結衣は、三姉妹と連携して国王軍の先頭に立ち次々と狂戦士を倒して行く、痛みを感じないとはいえ心臓を突き刺せば死ぬし、足を斬れば動くことはない。

 結衣達以外にも、ボルディ万人長や疾風のトロイカ三兄弟も最前線で奮闘していた。

 しかし、狂戦士は剣を合わせればその重圧は雑兵のそれとは桁近いであり、結衣達の疲労はピークに達していた。

 その中で、ヨナの疲労は酷く、既に戦える状態には見えなかった。

「ヨナ! 一旦下がりなさい!」

 と、結衣は指示を出すが

「千人長まだまだ行けます!」

 と、ヨナは強がりを見せる。


 結衣が大男に剣を抑えつけられている時、ヨナは囲まれてしまい、背後から槍を持った狂戦士がヨナへ向かった。

「ヨナ! 危ない!」

 結衣が槍を持った狂戦士をなぎ倒すが、結衣の無防備な背中に、大斧が振り落とされた。


 ……結衣は、薄れて行く意識の中で、ボルディ万人長が大斧を振り落とそうとする狂戦士に体当たりし、その喉元に剣を突き刺した所で、安堵感からか、妙な心地よさを感じながら意識は消えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ