質拾玖話.全てが終わる場所
「シャーノ、出てこれるか?」
俺は自分の体に問いかける。
「うん!」
すると、元気のいい声が聞こえて、俺の体から出た光がだんだん人の形に変わっていく。
「精霊術......?だっけ?便利だね?どうなってんの?」
「あぁ、すごく便利だが、俺にそんなこと聞かれても困るな......。」
そして、1分ほど経つと、光は完全にシャーノになった。
「やっぱり、結界の中に入りさえすれば大丈夫だったんだよ!」
魔王様もまさか精霊が中に入ってこれるなんて思ってなかったってことか。
「さて、どうする?ちょっとだけ休むか、それともすぐにシャーノの妹の手がかりを探すか。」
「私はすぐ行きたいんだよ!」
「まぁ、そうだろうな。」
シャーノにとっては、やっとの思いで入った妹の手がかりが得られる可能性のある場所ということなのだから、気が急くのも無理はない。
「でも、どうするの?魔力を辿るぐらいはできたとして、城の中をウロウロしたら流石に誰かに見つからない?」
「それなら大丈夫なんだよ!“同化”!」
すると、目の前からクローフィーが消えた。
「え?メルトが消えた......?」
「俺からしたらクローフィーが消えた感じなんだが?」
「うん!この魔法は、精霊の固有魔法で周りの色と同調させてあたかもそこに何もないかのように見せる魔法なんだよ!」
精霊すごい......ってか犯罪し放題じゃないか?
「そういえば、シャーノ自身は使わないのか?」
「使えないし、使う必要もないんだよ!精霊は一部例外を除いて誰にも見えないんだよ!」
......その例外がここには結構いるんだけどな。
「使えないってことは、その魔法は自分で自分にはかけられないってこと?」
「うん!そういうことなんだよ!」
そういう制限があるならそんなに強くない......のか?この世界の魔法やっぱりヤバくない?
「まぁ、でもこれなら魔力を辿ってもすぐにはバレな__」
ドォォオン!
唐突な爆発音とともに煙が充満し、辺り一帯は何も見えなくなった。そして、何かが走る足音のようなものが聞こえ、大量の人の気配を間近に感じる。
「この階にも誰もいません!どうやらみんな上に避難したようです!」
「このバカが。精霊が居たらどうするんだ!キチンと奴隷に探させろ!」
「は、はい!了解です!」
よく分からないが、シャーノが危ないってことか?こいつらより先に見つけないと......!
『あー、魔王城のみんな聞こえるかぁ?』
どこかから聞いたことあるような声が聞こえる。
『俺の名前はブラッド。今ここを襲撃してる“血の民”のリーダーだ。』
血の民......?あの異世界人を襲う組織......?フウカを連れ去った組織......?クローフィーが在籍していた組織......?
『でさ、悪いんだが、ここを占拠させてもらう。』
くそっ、こいつらの目的は何だ!?
『さぁ、この全てが終わる場所で、最期の時間を始めよう!』




