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魔法使いメルトの物語  作者: 奈々宮 紬
夢干渉の精霊
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参話.ギルド

「メルト!ここがギルドっていう場所だよ!」

「ふむ。」


シャーノについていくと荘厳な雰囲気を放つ大きな建物が現れた。入り口と思われる場所では多くの人がいそいそと出入りしている。


「ここでは冒険者が依頼を受けたり、冒険に必要な装備が買えたりするんだよ!」

「ほう。」


入り口に立っていた門番のような屈強な男に軽く会釈して、俺たちは中へ入る。......軽く睨まれたような気がするが、気のせいだろう。


「あそこが受付!で、こっちが素材買取で、そっちが酒場になってるの!」

「......。」


シャーノが指差した方を順番に確認する。色々な設備があるらしいな。右側に階段もあるし、2階も何かあるんだろう。


「メルト、あそこで冒険者登録して来てね!そうしないと自分のステータスが確認出来ないから!」

「あぁ。」


どうも受付にいる女性に声をかければいいらしい。


「すいません、冒険者登録って出来ますか?」

「はい、10歳から出来ますよ。確認しますが、年齢は?」

「11歳です。」

「では、問題ありませんね。この紙に必要事項を記入して持ってきてください。」

「分かりました。ありがとうございます。」


この紙に必要事項を記入......何を書けばいいんだろう。



名前:

種族:

年齢:

性別:

出身国:

希望職業:



「シャーノ、希望職業ってなんだ?」


これだけ分からないんだよなぁ。


「希望職業っていうのはそのまま、希望する職業って意味だよ!剣士とか魔法使いとかだね!」


......他にも色々あるんだろうが、めんどくさいし、魔法使いでいいや。魔法ってなんか浪漫あるし。


「あ、言い忘れてたけど、この世界で名字がある人は少ないから下の名前だけの方がいいと思うよ!」


ふむ、そうなのか。じゃあ、これをこうして......これでいいか。



名前:メルト

種族:人間

年齢:11

性別:男

出身国:日本

希望職業:魔法使い



「これでお願いします。」

「分かりました。ちょっと待っていてください。」


受付の女性に渡すと、その紙を持って奥へ行ってしまった。


10分ほど待っていると、女性がカードのようなものを持って帰ってきた。


「ここに人差し指を置いてください。指紋登録を行います。」

「はい。」


カードの裏面に指を置くと、カードが軽く光ったような気がした。


「これで大丈夫です。ステータスが記録されたのでまた後ほどご確認下さい。ギルドの仕組み等の説明は必要ですか?」

「私が説明するから要らないよ!」

「......大丈夫です。ありがとうございました。」

「そうですか。では、いい旅を願います。」


......。

うん、これ幾らでも詐称できるやつだ。最初、受付でも軽く年齢を聞かれただけで、嘘ついたとしても気づかれなかっただろうし。紙を確認した様子もなかった。


「メルト!ギルドカードを見て!」

「あぁ。」



名前:メルト

性別:男

種族:人間

属性:火・水・木・光・闇・無・共鳴

体力:65/68

魔力:54/54

攻撃力:78

防御力:65



......これは強いのか?弱いのか?全く分からないな。


「うーん、やっぱりこの世界線の人間みたいに子供から鍛えてるわけじゃないからかなー?弱いね!でも属性は5属性全てと無属性、それに加えて特殊属性まで使えるなんて......」


まぁ、シャーノが何か言ってるけど、よく分からないからとりあえず無視で行こう。まず、シャーノに聞きたいことがある。


「シャーノ、とりあえず寝泊まりする場所が欲しいんだが、どこかいいとか知らないか?」

「......それなら、こっちだよ!」


シャーノの案内で10分ほど歩いた場所には民宿のような建物が現れた。


「ここだよ!」

「ふむ......ちなみになんていう名前の宿なんだ?」

「ここは“名前の無い”宿なんだよ!店主がわざと名前をつけなかったんだよ!だからさ、みんな好きなように呼んだるんだ!」

「そうなのか。」


俺はゆっくり歩いて中に入ろうとする。


「あ、ちょっと待って!私の紹介状がないと......えーと、これ!」


シャーノが魔法か何かを使って手の中に白い紙を作った。......意外と魔法を使われても驚かないもんだな。前の世界の小説や漫画、アニメなんかでよく見た展開だからだろうか。


「この紙があればいけるんだな?」

「うん!そのはずだよ!」


今度こそ、俺は中に入る。すると、犬の耳のようなものが生えた男が座っていた。


「うん?兄ちゃん新規さんだね。紹介状はあるか?無いのなら悪いが出て行ってもらおう。」

「あぁ、これでいいか?」

「ん?これは......聖女様の紹介状!?いや、こんな子供が......いやでもどう見ても本物......?疑っちまって悪かったな。聖女様の紹介ならきっちりもてなすぜ!俺の名前はゲイル、狼の獣人族だ。兄ちゃん、よければ名前を教えてくれるか?」

「......メルトだ。」

「メルトか!わかった!どれくらいの滞在を予定している?希望すれば朝、昼、夜いつでもご飯を食べれるサービス付きで一泊7フィロだ。」


「メルト、とりあえず10日って伝えて!」


「とりあえず10日だ。その後は未定だが、更に連泊する可能性もある。」

「わかったぜ、兄ちゃん冒険者だろ?なら予定が決まらないのはしゃーないよな!部屋はこいつに案内させるからな!」


ゲイルがいつのまにか居た女の子の頭を掴んだ。この女の子も狼の獣人なのか、耳が付いている。


「こいつは俺の娘のアンナだ!アンナ、部屋を案内してやれ!」

「あいあいー。わかったよ、父ちゃん。じゃあ、行こっか、お客さん。」

「悪いな。」

「仕事だもん、気にしなくていいよ!」

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