↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対鎖国国家エルフの森  作者: 及川 正樹
PR
83/211

83


 町は至る所に火が上がり、争いの喧騒が絶えない。それでも戦火は広がるばかりだ。人より優れた者や裕福な者は既に町を去り、逃げ遅れた弱者達が強者に追い立てられている。


 町全体の人が減り、財が減った事で最初は見向きもされなかった価値の低い物まで略奪対象となった。略奪が煮詰まりつつある。するとどうなるか。弱者は駆逐されて、残ったのは強者だけとなる。


 すると強者同士の争いが勃発した。今まで奪ってきただけあってか、強者は多くの財を所持している。弱者を襲うよりも強者を襲った方が利益が出るようになった。すると強者の中でも弱者と強者が分かれてくる。


 襲撃者は最大人数を誇っていたので強者の中の強者として略奪した者達から略奪した。ここが普通の町ならある程度の成果が上がった時点で町を後にする。


 しかし砂漠のど真ん中にあるこの町では外へ逃げる事がとても難しい。砂船はもう全て逃げ去った後だし、今更まともな騎獣が残っている訳がない。


 徒歩で砂漠を移動するのは非常に危険で、砂賊の餌食になりかねない。それでも目端の利く者は隠しておいた砂船や騎獣を使って脱出した。


 町という半閉鎖空間で蟲毒が始まった。しかし襲撃者は質、人数共に最大で彼らの勝利は揺ぎ無かった。



 町から逃げる中型の砂船が一瞬で砂漠の中に吸い込まれた。砂漠の中を巨大な何かが蠢いている。それは大きな爆発と絶え間なく続く戦闘音に釣られて町へ向かっている。途中で不運な砂船が何隻もそれに飲み込まれた。そして遂にそれは戦闘が続く町へ到着した。


 砂漠の砂が大きく盛り上がるとその中から大きなエイの様な生物が町へ向かって飛び込んできた。エイのような生物は町の上空に到達するとヒレの部分が分裂して町へと降り注いだ。


 残った部分はまるで潰れたオタマジャクシのようだった。それは襲撃者の砂船へ一直線に襲い掛かった。しかし結界がそれを阻んだ。だが数秒後には結界に亀裂が入り、結界は破られると誰もが思った。


「撃てーい!」


 襲撃者の砂船から魔石砲弾が放たれた。再び世界が真っ白に染まり、鼓膜を破壊するような爆音が鳴り響いた。光と爆音、衝撃が収まると潰れたオタマジャクシの様な生物は町の城壁まで吹き飛ばされていた。


 しかしオタマジャクシが蛙に成長するように手足を生やすと猛然と起き上がり、再び砂船へと向かった。砂船は既に逃走を始めていた。


 略奪の為に降りていた襲撃者は必死に逃げる砂船に乗り込もうとした。しかし全速力で逃げる砂船に乗り込めたのは少数の運と実力に恵まれた者だけだった。


 エイのヒレが分裂した個体は正にマサモリ達が良く知っている小型の星外生物の形を取った。近くにいる人を手当たり次第に攻撃している。しかしこの状態で生き残っているだけあってか強い者は星外生物を倒している。


 一般人達は一方的に殺されている。軟体部分が人を包み込んで咀嚼するように伸縮した。伸縮を続ける毎に軟体生物は体積を減らしていって元の大きさよりも少し大きい程度まで圧縮された。


 すると再び人を襲った。どうやら生物を消化して自分達の体積を増やす事が出来るようだ。性が生物は生き残っている人へと襲い掛かり、吸収し体積を増やしていった。



 最初は生き残った男達の方が有利に戦いを進めていたが時間が経つにつれて散らばっていた星外生物が一般人を殺して、生き残っている男達へと殺到した。


 手足を生やしたオタマジャクシの様な星外生物は強度を回復しつつあった砂船の結界にかぶりついた。割れる寸前だった結界は再生が間に合わずに強度不足だったのであっさりと破壊された。


 星外生物は砂船の船体に飛びついて深く噛り付いた。砂船の三分の一を喰い千切ると星外生物は地面に降り立った。破壊された砂船の断面から人や集めた財宝が零れ落ちていく。


 その時、星外生物の内側から大きな爆発が起こった。たまらずに星外生物は口を開ける。爆発の余波は砂船を吹き飛ばした。


 幸か不幸か、砂船は星外生物に喰われて爆発した魔石砲弾のお陰で星外生物から距離を取る事に成功した。そのうえ、積み荷と船体が失われたので軽くなって運航速度が増した。


 砂船はそのまま吹き飛ばされて勢いを利用して逃げて行った。破壊された部分から火が上がっていたが鎮火され、徐々に船体が再生していく。再生は砂船全体の八割程度で急に遅くなったが、運航には支障がないようでそのまま進んでいった。


 大型のオタマジャクシに手足が生えたような星外生物は恨めしそうにそれを見送ると踵を返して町に残っている人を探し始めた。町は星外生物の餌場と化した。


 その頃には小型生物は数を減らし、倒された小型の殻を集めた中型が生き残った男達を押し返している。


 大型の星外生物は体を大きく膨張させて大口を開き、生き残っている男達を丸飲みにした。小型と中型はそれを確認すると生き残りを探して再び町に散った。


 すると大型は何かを探してうろつき始めた。人を追っていたような明瞭さはなく、当てずっぽうに探しているように見える。暫くすると大型は鍛冶屋を見つけて大きな顔を鍛冶屋に突っ込んだ。


 体が脈動しているので中にある物を食べているのだろう。鍛冶屋を喰らい尽くすと再び探索に戻った。次に防具屋や武器屋へと向かい中の物を食べ尽くした。


 最後に石畳と城壁の一部を食べると星外生物は集合して最初のエイの形になった。そして飛び上がると町の城壁を超えて砂漠へ飛び込もうとした。しかし見えない壁に阻まれて町に押し戻された。




『明るいが辺りの生命反応がほとんど無くなった。砂漠の中で戦ったら小型を逃す恐れがある。今倒すぞ!』


 マサモリ達は既に現地の遥か上空に待機していた。砂漠の中で戦うには星外生物を逃さないようにする為の囲いが必要になる。それには膨大な魔力が必要だ。


 星外生物が生物を食べ尽くしたので今なら周りに悟られる可能性は少ないだろう。エルフ達は結界に吹き飛ばされた星外生物に向けて移動用結界から打ち出されるように降下した。


 そしてエイのヒレ部分を切り離した。前回使っていた剣とは違って、石剣は簡単に星外生物の殻を破った。フレは小さく分かれようとするがそこへ一斉に氷魔法を放つ。


 エルフの攻撃でヒレの八割が氷に覆われた。再び中央部分が手足の生えたオタマジャクシの形状を取った。ヒレの部分は上部が殻で下部が軟体だったが中央部は全体が殻で覆い尽くされている。


 小型に分かれたヒレ部分と中央部分の二組に分かれてエルフ達は星外生物に襲い掛かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。