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絶対鎖国国家エルフの森  作者: 及川 正樹
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 市場では葉物やカブ類はすぐ収穫できるので量が多く、安かった。超大陸の食生活を支えているのはこれらの野菜なのだろう。それでもこのまま保存性の良い穀物類の保存期間が減っていったら超大陸はどうするのだろうと不安になる。


 そこまで行くのにまだまだ時間があるから大丈夫だろうとマサモリは思う事にした。それに保存期間が危なくなれば抑制栽培魔法を生み出せるだろうと思う。何故なら切った張ったの超大陸の住民はエルフの森の住民よりも環境適応能力が高そうだからである。


 北東へ向かうと次第に流民が増え始めた。隠れて移動していたので彼らを迂回する事になり面倒が増えた。しかし流民の密度から一行が向かう先が見えてきた気がする。


 流民達もマサモリ達と同じように街道を避けて移動している。何故なのか、その答えはすぐに出た。流民を襲う盗賊が居たからだ。流民も反撃して辺りは戦場になった。


 離れていても音や血の匂いから彼らの存在を簡単に発見できた。同じような戦闘跡が所々に残っている。流民かと思ったら盗賊になっていた集まりも見つけた。



 マサモリは思っていたよりも酷いと思ったが既に免疫が出来ていたのでそこまで気にならなかった。今の所はヒデヤスの言の方が確実に正しい。特に追い詰められると人は本性が出る。ここに広がっている光景が超大陸の人々の本性なのだろう。


 流民達に話しかけると戦闘になると判断したヒデヤスは移動を優先した。マサモリは食料が補充できなくなるのではないかと心配した。マサモリの心配は現実の物となった。


 黒々と上がる煙が発生元の町を見なくても町の状態を如実に語っている。町に入ると多くの亡骸が町を埋め尽くしていた。マサモリ達は数組に分かれてまだ火の手が上がっている町を捜索した。


 町は人から攻め落とされたようだ。星外生物の移動跡が見つからなかった。小型なら軟体部分が地面を這った跡が残る。中型なら重量から出来た足跡、痕跡が残るはずだがそれもない。


 大型の痕跡もない。人と人が争っただけのようだ。壊されている建物も無造作に壊されている訳ではなく、奪う為に知能ある生物が壊したのが分かる。


 そうなると魔物の可能性も出てくる。しかし町を破壊するには数か質かどちらかが必要だ。ゴブリンなら相当の数が居ないと町は落とせない。オーク、オーガなら痕跡からすぐに分かる。


 そして魔物だった場合は魔物の死体が辺りに散らばっているはずだ。しかしそんなものは一切ない。それに魔物なら大切な食料を地面に放り捨てたままにはしないだろう。


 しばらく捜索したがマサモリ達は大した成果を挙げられなかった。勿体ないので散乱している果物や野菜を拝借した程度だ。


『ここは隣町に滅ぼされたようだ。星外生物の襲来で多くの町が滅ぼされている。それに乗じての犯行のようだ。肝心の星外生物の情報は得られなかった。とりあえず北東方向へ向かおう』



 破壊された村や町を多く見かけた。ここまで来ると流民の数が減ってくる。町が滅ぼされてから時間が経った証拠だ。その分、マサモリ達は邪魔されずに距離を稼いだ。


 夜になると忍者エルフが空に飛んで四方を観察した。本来なら昼にしたいが隠蔽魔法をかけていても見つかる可能性があるのでせめて夜間にしている。


 昼は式神やテイムした獣を飛ばしているが未だに星外生物は見つかっていない。よく考えてみると砂漠に落とした白ごまを探すような行為なのかもしれない。


 軍師が着いて来ているので方角だけはそれなりに合っていると思いたい。星外生物の情報が少なすぎて軍師の力が効き辛い。星外生物が人と争っていれば音や光、魔法の跡で追跡が出来る。


 最初の一歩となる情報が不足している。マサモリはテイムした駒鳥と視覚を共有して食べ物を探している。大きな鳥は大人のエルフが使役しているがマサモリは使い勝手の良い小さい鳥にした。


 樹海のエルフは小食なので食事は少なくても十分だがマサモリ達は子供なので大人に比べると腹が減る。大人達が星外生物の痕跡を必死に探している中、マサモリとシラギクは食料を必死に探した。


 テイムした駒鳥を飛ばしていると同じように飛んでいる駒鳥を見つけた。テイムした駒鳥に話しかけるように念じる。マサモリの駒鳥が別の駒鳥に話しかけた。


 鳥達の話しの意味は全く分からないが意味もなく話しかける事がマサモリにとっては面白い。二匹が囀り合ってくれないかなと思いながらマサモリは様子を見た。


 しかし別の駒鳥は完全無視を決め込んでいる。意地になってもっと話しかけるんだと念じる。一生懸命話しかけるマサモリの駒鳥だったが相手からは一切の反応が無かった。マサモリは肩を落として食料探索に向かうように命じた。



 情報が集まらないのでこのままだと超大陸の中央部にある星外生物の落下点に着きそうである。超大陸の現地で情報が得られれば落下地点から探るよりも効率的だと思われたが現実はそう上手く行く物ではない。落下地点まで向かった後に星外生物を追う事になりそうだ。



 超大陸に落ちた流星は二つ。超大陸の中央部と北東部だ。エルフの森からは中央部に向かった方が近いので中央部、北東部という順番で討伐する予定だ。


 人に会わないのでエルフ達は素早く大地を移動した。そして特に情報も得られないまま流星の落下地点に到着してしまったた。落下地点には吸い込まれそうな底が見えない大穴が空いている。


 落下地点の周りには放射線状に着陸時に飛び散った土や岩が散乱している。忍者エルフがそれらを回収している。マサモリは鳥で周囲を観察した。そして分かりやすい移動跡が見つけた。


 多くの個体が小型のまま這うように移動した痕跡が残っている。樹海ではすぐに彼らを排除してしまったので彼らが向かう場所の優先順位が未だ不明である。これから星外生物を追う事で彼らの目的が読めてくるだろう。


 軍師の計略が発動しないという事はここに来た意味があるということのだろう。マサモリ達は賢明に探したが有力な情報は見つからなかった。



 落下地点での採集が終わるとすぐに追跡を始めた。相当時間が経っているので場所によっては痕跡が残っていないかもしれない。ただ、星外生物は雑に移動しているので痕跡が分かりやすい。


 知能が低いかそれとも気を付けて移動する必要がないのどちらかなのだろう。星外生物はかなり高度な知性を持っていたので前者はない。つまり星外生物は常に勝利し続けてきたのかもしれない。


 時折、僅かな戦闘跡が見つかった。星外生物に襲われた生物はほとんど抵抗が出来なかったようだ。死骸は残っていなかったので食べたか、別の利用の仕方をしたのかもしれない。


 死体が残っていれば攻撃方法等が推測出来たのだが星外生物の移動跡からは大した情報は得られなかった。

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