第三十九話 僕
なんだか良くわからなくなってしまいました。
いよいよ明日は、収穫祭だ。
場所も確認したから、舞台と控室、閲覧席を準備だ。
聖女さんに席に着く人数を確認したら、属性の大神殿がある同盟国の人達で、12人だそうだ。
各国3人だそう。
これは、聖光国と同盟関係にある属性の大神殿は、土、水、風、火の大神殿だから。
魔族と付き合いがあるのは一部だけだし、闇の巫女は派遣されない。
世界樹の森の”世界樹の巫女”は、ハイエルフで人族と付き合いが無い。
玉樹さんに男性が仕えるとかは無いのか聞いたら、無いそうだ。
母性が必要となるからだって。
そりゃそうか、全ての植物の母であり父だからね。
聞いた後、大事になったけど。
玉樹 「太郎様が仕えてくれるなら、ウエルカムですよ!」
根田 「玉樹さん、何言ってるんですか?自分は神であって、地上の者じゃないですよ。」
玉樹 「冗談ですよ!私が太郎様に仕えてますから、王様ゲーム的な感じをしたかっただけです。」
根田 「何か欲しいものでもあるんですか?必要な物なら創生して出しますけど。」
玉樹 「太郎様との愛の結晶!」
根田 「収穫祭の準備しないといけませんね。光華さん、光の上位精霊呼んでもらえますか?黒乃さんは、他の大精霊達に来るように連絡して下さい。自分は舞台の準備します。」
玉樹さんが、ふざけたので無視だ。
ふざけるのは収穫祭終わってからにしてよ。
光華 「わかりました。ふんどしモードで呼んできましょう。」
ちょっと勘弁して。
根田 「光華さん、ふんどしモードは駄目ですからね!ふざけたら、お説教じゃなくて、お仕置きですよ!」
光華 「冗談です。お仕置きは止めてください!」
黒乃 「太郎様、皆に来るように連絡した。すぐ来る。」
黒乃さん、仕事早いな。
カッコイイ!
ハンサムとか言ったら怒るかな?
根田 「黒乃さん、ありがとうございます。」
玉樹 「太郎様、無視は酷いです。」
根田 「人の傷口に塩を塗るようなこと言うからです。」
性欲が残念なことになってるのに、何が酷いだよ!
ムッとして、睨んでみた。
玉樹 「ひっ!すみませんでした。太郎様、許してください!もう言いません。」
玉樹さんが平伏して震えている。
感情を出して睨んだりするとそれだけで、かなり影響があるようだな。
世界樹の森の植物が一気に枯れ始めてる。
フォローしないといかんな。
根田 「『世界樹の森、完全回復及び活性実行』」
言霊に神力をのせて世界樹の森に放った。
距離関係なしに、この程度は出来る。
伊達に、この世界の最高神エレー様より力があるわけでは無い。
世界樹の森が蘇り、活性化している。
これで問題ない。
根田 「玉樹さん、気を付けてください。私も怒ることはあります。何なら今から万年青に戻って、エレー様と交渉して高天原に行って、こちらでの仕事しないことにしますよ。そうすれば、お互いに影響ないでしょうから。ああ、先に”縁”を切りましょう。使徒にしておくのは問題でしょうから。」
感情を出さず、冷酷さをイメージして伝えた。
玉樹 「申し訳ありませんでした。私の失言です。”縁”を切らないでください!お願いします。」
玉樹さんが泣きながら懇願している。
玉樹さんの様子を見ていると呼び出した精霊達がやってきた。
光の上位精霊 「太郎様、世界樹の精霊様が何かしたのですか?これは普通じゃないですよ。」
玉樹さんの元へ光の上位精霊が駆け寄った。
大精霊達も困惑している。
根田 「皆さん、呼び出しに応じてくれて、ありがとうございます。玉樹さんは問題ありません。聖女さんと約束しましたから、収穫祭で奉納舞はきちんと行います。収穫祭が終わったら、自分は、この世界から去ろうかと考えています。力が大きすぎる自分がいるのは問題があるようですから。」
ここで何があったのか黒乃さんと光華さんが皆に説明した。
「藻埜随喜」による回春効果もね。
そして、少し感情を出しただけで世界樹の森が壊滅する状態だったことも。
話を聞いた精霊たちが、一斉に平伏した。
何だ?
光華 「根田太郎様、光の大精霊として、お願い申し上げます。”エンゲーイ”に留まり、ネタの神として存在下さりますよう、どうかお願いいたします。」
黒乃 「根田太郎様、闇の大精霊として、お願いいたします。この世界には、根田太郎様が必要なのです。どうか、この世界に存在して下さりますよう、お願いいたします。」
美土 「根田太郎様、土の大精霊として、謝罪いたします。我ら精霊は、根田太郎様の優しさに甘えておりました。我らが世界の上位世界である、日本の神族であられる根田太郎様に対する無礼をどうかお許しください。」
恵水 「根田太郎様、水の大精霊として、謝罪いたします。我ら精霊は、神の優しさに甘えてしまいます。精霊は、矮小な存在であり、神と同席するなど無礼極まる行為です。申し訳ありませんでした。お許しください。」
千風 「根田太郎様、風の大精霊として、謝罪いたします。神である根田太郎様に立場もわきまえず、無礼な行為を致しました。神の僕である精霊が、同等の立場であるかのようなふるまいを致しました。お許しください。」
火佳 「根田太郎様、火の大精霊として、謝罪いたします。我ら精霊の根田太郎様に対する態度は、神であり主であるお方に対するものではありませんでした。どうかお許しください。どうかご慈悲をお与えください。」
玉樹 「根田太郎様、世界樹の精霊として、お願い申し上げます。私の存在をお許しいただけないのなら、本体の世界樹を消滅して下さって構いません。そのかわり、この世界にご慈悲を!私の神に対する無礼は、本来、許される行為ではありません。自身の立場をわきまえず、根田太郎様の優しさが当然の物と勘違いしておりました。ですが、どうか、この世界”エンゲーイ”を見捨てないでください!お願いいたします。」
光の上位精霊 「根田太郎様、どうか、我ら精霊に、ご慈悲を!”エンゲーイ”を見捨てないでください。我ら精霊は、根田太郎様の僕としてお仕えします。どうかこの世界に存在してください。お願いいたします!」
精霊達は本心から自分を引き留めているようだ。
能力で嘘は分かるからな。
精霊達は泣いて震えながら懇願している。
自分がいない方が、”エンゲーイ”にとっては安全な気もするけどねぇ。
根田 「皆さん、優先すべきは収穫祭です。準備が先です。話は後です。」
精霊達を無視して、広場に舞台と控室、閲覧席を用意した。
席は多めに40席ほど用意した。
神殿の関係者もいるし、元老院の人も来るかもしれないしね。
音楽の魔人に司会進行もできるか聞いたら、出来るそうなので頼んだ。
後は、祭壇も作った。
祝詞をあげて加護を授けるから。
お供えは、当日だけど。
それから孤児院へ行って、考えていたことの手伝いを頼んだ。
お礼に金貨10枚渡したよ。
子供たちも院長さんも要らないって言ったけど無理に渡した。
仕事を頼むのだから当然の報酬だってね。
大神官に聞いて、農奴の管理をしている担当者に鞣しておいたウサギの毛皮を渡して、配るように頼んだ。
「収穫祭だから、農場や牧場の労働に対する感謝としての気持ち。」って言って渡したら、責任をもって配ってくれるって。
これから冬になるからね。
農家だった自分も農作業の大変さは知ってるから、少しでも温かく過ごしてほしい。
地上への介入になるかもしれないけど、手助けできる立場で力もあるからね。
この程度は良いだろう。
後、孤児院へ頼んだことに関係することを話して、協力してもらうようにした。
喜んで協力してくれるってさ。
後は、他の準備をしている責任者に立入禁止の付与魔法を掛けたから、舞台とかに近づかないように言っておいた。
それと聖女さんに話して、確認して貰った。
恐縮していたよ。立派な舞台だって。
もしかすると精霊達が使えないかもしれないから、魔人創造で対応できるか確認した。
ついでに酒の魔人が1万5千ポイントだから創った。
後、3万5千ポイントある。
根田 「えーっと、舞だから踊りの魔人いるかな?」
魔人のリストを確認したら、”舞踊の魔人”あった。
舞踏と舞踊って迷うよね?
まあ、舞で日本舞踊って言うんだから、これで良いだろう。
巫女舞できるよな?
頼むぞ。
3万ポイントか。高いな。
仕方ない。創ろう。
リストを選択して、創った。
根田 「舞踊の魔人よ、神楽舞や巫女舞は舞えるか?」
舞踊 「勿論できる。演目はなんだ?宮司舞もできるぞ。音楽の魔人同様、人の大きさになれるし、男にも女にもなれるぞ。衣装も小道具も用意できる。必要な人数に分身も可能だ。」
根田 「そうか。一応、俺の使徒の精霊に頼んではあるが、使い物にならない可能性があるからな。精霊がダメなときは頼む。演目としては、浦安の舞、八乙女の舞、鈴舞、剣の舞を頼む。朝日舞と人長舞は、俺が舞うよ。ご先祖様の祝福を貰ってるからな。」
舞踊 「了解した。控室から向かう形だな。魔人は連携できるから問題ない。」
根田 「よろしく頼む。」
準備が終わったので、部屋に戻った。
精霊達は平伏したままだ。
自分達で俺の僕として仕えるとか言ったけど、仕事放棄してるじゃんね。
自分はいい性格だが、糞がつくほど真面目なんだよ。
自分の発言に無責任なのは、嫌いなんだ。
根田 「皆さん、先ほど私は指示しました。僕として仕えるというのは、指示を無視することなのですか?収穫祭の準備は終わりましたよ。舞の打ち合わせの為、現場で説明をするつもりでしたが、これが皆さんの私への返答ですね。舞踊の魔人を創造しましたから、舞っていただかなくて結構です。自分の仕事に戻ってください。光華さん、黒乃さん、玉樹さん案内も不要です。収穫祭が終わったら”縁”を切りましょう。何なら紋章もお返ししましょう。」
精霊達は、無言で泣いている。
泣き落としは効かないタイプだ。
不愉快になる。
言い訳も嫌いだ。
行動には責任が伴うのが当然だからだ。
謝罪とかも要らない。
損失を与えたら、その補償をすることに全力を尽くすことだ。
言葉で謝罪した所で損失は回復しない。
たまに、正義とか善悪で話すご仁がいるが、ナンセンス極まりない。
相対的価値観で話してどうなる。
誰だって自身が正義で善である立場で自己保身するだろう。
そんなのは意味がない。
事実関係で判断し行動する必要があるだろう。
話が変にそれたな。
今の自分は、縁起神というより荒魂モードで疫病神だな。
藻埜随喜の瘴気発生要因を力として吸収し存在や神力が上がった影響もあって、厳しくなってたり、感情による力の調整が上手くできてないのかもね。
自分は神なのに不器用だな。
笑ってしまう。
根田 「ははっ。縁起神のネタの神らしくないですね。皆さん、泣いてますけど仕事に戻ってください。まだ私の使徒なんですよね?指示に従えませんか?縁起神だから泣かれると不愉快なんです。ここにいるのは構いませんが、明日まで時間があるので、聖獣でも連れてきますよ。現れると縁起がいいと言われてるようですし。確か光属性の竜がいるんでしたね。ここは聖光国ですし丁度いいです。」
この世界には、聖獣と言われるものがいる。
下級精霊と同じぐらいの立場だが、影響力と武力がある。
何せ獣だ。
妖精と同様、肉体を持ってるから、直接影響がある。
魔物にも竜はいるが、聖獣は魔物じゃない。
高い知能を持ち、地上の管理の一部を担当する。
神である自分は、当然、こいつらに命令できる立場だ。
精霊が使えないなら、案内役など別に用意しないといけないし、ついでだからね。
高天原に行こうかと思ったけど、日本の神族のメンツを潰すからな。
感情コントロール程度できるから、問題ない。
竜を探そうと外に出ようとしたら、精霊達が立ち上がり、邪魔をする。
ちなみに精霊達は平伏した時から本来の姿になってる。
根田 「何ですか?竜を連れてくるので、どいてください。」
光華 「太郎様、収穫祭で舞を舞うので、指示をお願いします。」
黒乃 「太郎様の指示に従わなかったことは謝罪します。収穫祭の指示をお願いします。」
玉樹、美土、恵水、千風、火佳 「太郎様、指示をお願いします。」
光の上位精霊 「竜なら私が連れてきます。太郎様、大精霊様たちに機会をお与えください!お願いします。」
光の上位精霊が頭を下げた。
…やれやれだ。
根田 「良いでしょう。でも覚えておいてください。”仏の顔も三度”ですが、自分は神ですからね。一度しか許しません。二度と怒らせないように。竜を連れてくるなら不可視モードですよ。」
精霊達 「有難うございます!全力でお仕えします。」
精霊達が跪いた。
我ながら大人げなかったな。
だが、収穫はあった。
少しの感情でも影響が甚大だ。
怒らないようにしないと駄目だね。
笑うのは良いけどさ。
この後、不可視モードで演目などを説明して、リハーサルしたけど問題はない。
収穫祭でおかしなことをする馬鹿者がいなければ良いけど。
説明が終わってから、光の上位精霊が竜を連れてきた。
別に探さなくても連絡取れるそうだ。
光の精霊の部下になるそう。
竜に小さくなるか人化できるか聞いたら、両方できるって。
目立たないように不可視モードで待機して舞が終わって少ししたら現れるように指示した。
俺の立場が竜からしたら、とんでもなく上になるので、緊張しまくってるよ。
大丈夫かな?頼むぞ。
あ、竜と言っても東洋的造形じゃない。
所謂ドラゴンって感じのだ。
トカゲみたいなの。
金ぴかだから、なんか怪獣映画の怪獣みたい。
思わずチャック探しちゃったよ。
背中触ったから、竜がビビってさ。
竜 「な、何ですか?自分の背中に気になることでも?」
根田 「中に人が入ってるんじゃないの?」
竜 「入ってません!生身です!」
根田 「ごめん、ごめん。見た目が、自分の故郷の怪獣の着ぐるみみたいだからさ。」
竜 「自分、本物ですから!」
悪かったよ。
ファンタジー世界だもんな。
後、竜に聞いたんだ。
ブレスとか吐けるかさ。
勿論吐けるってさ。
火じゃなくて、光属性だからレーザーみたいな奴だって。
ふーんだね。
一応、懸案事項を皆に話した。
その対策もあって竜を呼んだんだ。
任せてくれって。
頼もしいね。
俺が感情を出すわけにいかないからな。
まあ、収穫祭前にわかってよかったよ。
収穫祭で問題発生して、怒ったりしたらエライことになってた。
無事に収穫祭終わればいいけど。
真面目な人は怒ると怖いんです。
怒らせないようにしましょう。




