第四十話 収穫祭
気付いたら四十話です。
お客さんが来ます。
収穫祭当日だ。
例年だと、広場で吟遊詩人や旅芸人などが大道芸をしたりするそうだが、今回は自分たちが奉納舞を披露する。
早朝、神殿で祈りを受け取って、聖光国の同盟国から来る人達と昨日用意した舞台前の祭壇へ。
神具も早朝に用意してある。
お供えもね。
樽酒のお神酒も用意した。
中身は酒の魔人の創った甘口と辛口の純米大吟醸の日本酒だ。
悪酔いせず二日酔いしないよう効果を付与してある。
これの酒かすも出してもらって、甘酒を作った。
話がそれたな、日本の神社の作法を説明して、そのようにしてもらう。
儀式の一種であるので、参加者から不満はない。
何せ半年とはいえ無病息災の加護を授かることができるのだ。
文句は出ない。
神聖さをイメージして、神様スマイルで対応しているしね。
自分のことも知られているみたいだし。
強くて優しい聖人と思われているみたい。
そうそう、同盟国の方から国賓の書類を貰ったよ。
何でも水あめの作り方を教えたのが、自分だっていうのを知ってるみたいで、各国の王が、お礼をしたいそうだ。
お礼はいらないから、国へ行った時、自由に見聞させてくれって頼んだよ。
神託で民の様子を見るように言われているからって言って、納得してもらった。
元老院の議長さんとか有力貴族も挨拶に来たよ。
自分達の領地に来たら、是非、屋敷に寄ってくれってさ。
大神官で特級冒険者なのは、知られているみたい。
まあ、これは隠していないからね。
後、エルフ国とドワーフ国の関係者は、エルフとドワーフだったよ。
エルフが幼児体型って聞いていたけど、別に小さくは無くて、スレンダーって言うのかな?
男女ともすごい美形で、すらっとしている。
体に凹凸が無いって言うのが、適切かな。
非力なのかと思ったけど、森で暮らしてるから、普通に力持ちだ。
目に見える形で筋肉ムキムキにならない種族特性があるみたい。
ドワーフは背が低いけどがっしりしている。
子供みたいに小さいわけでは無いけど。
背丈は男女とも150cmぐらいだ。
男性は髭もじゃだけど、女性は背が低いだけで普通だ。
体つきもがっしりしているわけでは無い。
種族特性で魔法は苦手で力持ちで手先が器用だそうだ。
孤児院と食堂にあげた包丁とかを見せて貰ったようで、名工が作ったものより品質が良いって驚いていたよ。
特殊な種族で錬金術師でもあるからって言っておいた。
自分が授けたものだけど神が作ったものだからね。
そこは突っ込まないでよ。
ちなみに今の自分は、宮司装束だ。
狩衣ではなく正服にした。
国のお偉いさんが参加するお祭りだからね。
席に付く参加者は、これで全員かな?
聖女さんに確認しよう。
根田 「聖女様、儀式に参加する方は、これで全員揃いましたか?」
ベラ 「少しお待ちを。騎士団長と副騎士団長が参加しますので。」
確認していたら、騎士団長たちがやってきた。
アカメ 「根田様、お待たせしました。警備も問題ありません。儀式を始めてください。」
根田 「わかりました。それでは皆さん、説明したようにお願いします。」
起立してもらい、祝詞を唱えて、大麻を振って、お祓いをして無病息災の加護を授けた。
神聖さをイメージして、儀式を行ったので、全員神秘的な儀式を受けた認識を持ったみたい。
根田 「皆さん、私が仕える神から加護を授かったと思います。ステータスを確認して下さい。」
参加者がステータスを確認し、加護を得たことに驚いている。
まあ、普通は加護を得るのは、特別な者だけだからね。
今回は特別サービスだ。
”ネタの神の加護(無病息災6か月)”が、参加者全員に追加されている。
一応注意しておこう。
根田 「我が神の加護は、病気はしなくなりますが、怪我とかは駄目ですよ。加護があるからって無茶して怪我したら、最悪死にますからね。怪我するのは原因があるのですから、気を付けてください。」
注意したら、全員納得していた。
病気と違って、怪我は注意すれば避けれるからね。
加護は授けたから、祭壇は仕舞った。
お神酒も仕舞ったよ。
振舞うかは状況次第だな。
さて、奉納舞だ。
根田 「それでは、奉納舞を行いますので、控室へ行きます。聖女様これをどうぞ。奉納舞や自分の装束などの説明を書いておきました。それを見ればどのような物かわかると思います。舞を見た後、確認してください。」
舞や装束、道具の説明を書いた本を聖女さんにあげた。
魔法のある世界だから、渡した本は、飛び出す絵本じゃないけど魔法で立体映像で見れるようになってる。
演奏とか歌も聞こえるようにしてある。
見た目は和紙で作った本だけどね。
劣化防止の付与魔法も掛けてあるから、問題ないだろう。
ベラ 「根田様、有難うございます。この本は、神殿の宝にします。よろしくお願いします。」
笑顔で控室へ向かった。
精霊達が待機している。
音楽の魔人を呼び出して、準備してもらう。
最初は浦安の舞だ。
司会進行も問題ない。
精霊達出番だぞ!
根田 「皆さん、よろしくお願いします。」
頭を下げた。
精霊達 「完璧に舞います。太郎様行ってまいります。」
光の上位精霊の先導で向かっていった。
舞台の様子は分かるからな。
周囲の一般の者もおかしなことはしていないようだ。
色々気を配って、自分が担当する舞も無事終わった。
舞踊の魔人には、せっかくなので最後に、石井の七福神と田植踊を披露してもらった。
これは、福島県二本松市に伝わる民俗芸能の田楽だ。
七福神や田植え、注連縄などが出てくるので都合がいい。
いろいろ説明するのにね。
奉納舞も披露したので、舞台を撤収した。
神聖なイメージと雅なイメージの演出効果を持たせたので、みんな感動しているようだ。
精霊や魔人は控室で待機している。
根田 「聖女様、これが自分たちが神に奉納する舞です。最後のは、田楽と言って少し違うものですが、神に祈願するものです。参考になりましたか?」
神様スマイルで聞いてみた。
ベラ 「根田様ありがとうござます。素晴らしい舞を見せて頂き、感動しました。」
聖女さん他、皆感動してくれたみたい。
ちゃっかり、不可視モードでエレー様と芸能の神が来てるけど、万年青で見るんじゃないのかよ。
まあ、いいや。
自分としては、これからが本番だ。
根田 「それでは着替えて来ます。舞姫や楽師は、転移で我々の聖地に戻ります。孤児院の者が準備すると思います。協力お願いしますね。」
聖女さんに、これからすることは話してある。
ベラ 「お任せください。我々もお手伝いします。」
舞台のあった場所に土魔法でテーブルと椅子を作り出してある。
孤児院の子供と神官が準備を始めてる。
控室へ向かった。
根田 「皆さん、協力ありがとうございます。完璧な舞でした。音楽の魔人も舞踊の魔人も有難う。さあ、お祭りです。収穫の功労者を労いますよ!」
そう言って、いつもの作業着・前掛け姿になって、子供たちの元へ。
精霊達は、案内役の三人以外は、不可視モードでエレー様の元へ合流だ。
根田 「皆準備有難う。さあ、収穫祭です。収穫の功労者を労いますよ!」
皆笑顔で頷いた。
農奴たちにウサギ肉の煮込み、クスクス、ソッカ、バッタ肉の網焼き、フライドポテトを振舞った。
最初は戸惑っていたけど、ウサギの毛皮を配って、その時に話はして貰ってるから、恐縮しながら食べている。
遠慮しなくていいよ。
自分も農家だったし、農作業の大変さは分かるから、これは俺の気持ちだ。
それに奴隷は本来、財産だし大切にするほうが、長い目で見て良いんだよ。
元気に働いてもらう方が収穫量も増え品質も良くなるだろうし。
ちゃっかり、エレー様と芸能の神、属性の大精霊も俺が調理したのを食べてる。
口に合ったのか、美味しそうに食べてるよ。
さて、問題が起きないうちに竜を呼ぶか。
あ、竜って呼んでるけど、来てるのは光属性の竜の責任者だ。
…竜に責任者って言うのは違うかもしれないけど、適当な言葉が思いつかない。
聖竜王って役職だ。
ビックリしないように地上の者に伝えてから呼ぶか。
根田 「皆さん、今日はお祭りですから、私の僕を呼びます。こちらでは現れると縁起が良いとされてるようですので。聖竜王!現れなさい!」
大空に黄金色の巨大な竜が現れた。
根田 「大きさを人と同じぐらいにして、降りて来なさい。」
竜がゆっくり降りてきた。
地上の者がびっくりしている。
根田 「皆さん、安心してください。私の僕ですから危険はありません。そうですね?聖竜王。」
竜 「はい。自分は、根田様の僕です。根田様や自分が攻撃されなければ、地上の者に危害は与えません。」
竜が跪いて答えた。
地上の者が俺と竜を交互に見て、大口を開けている。
正体を知っている者は、頷いているけど。
竜は、自分の横に待機して貰って、料理を継続した。
驚いていたけど、農奴たちは嬉しそうに食べている。
同盟国の人や元老院の人にも振舞ったよ。
美味しいってさ。
皆満腹になったみたい。
屋台の営業妨害になったかな?
冒険者とかが物欲しそうにしてたけど、君たちは屋台で買ってよ。
俺がもてなすのは、聖光国の関係者だけだから。
あ、ギルド関係だとアカマツさんとアサガオさんが参加している。
一応関係者だからね。呼んでもらった。
冒険者ギルドの方は監察官がいるから、問題はない。
まあ、エレー様も自分もいて、魔物は聖都に近寄れないようにしてるから、問題は馬鹿者ぐらいだ。
今のところ、いない。
収穫祭が無事終わればいいんだけど。
今日は、自分たちの出番は終わったから、後は例年通り大道芸人たちの出番だ。
食事の後片付けをして、広場を元に戻した。
孤児院へ行って明日の仕込みをしないとね。
聖獣を見れたって、農奴たちだけでなく神殿の者や元老院、同盟国、冒険者や街の者に感謝されたよ。
今は人の大きさで、後ろ足で歩いてるから、思いっきり着ぐるみ状態なんだけどね。
流石に触ったりする者はいないけど。
エレー様たちは、いつの間にかいないし。
ちゃっかりしてるよな。
竜と精霊に甘いものでも出してやろう。
昨日、きつい態度で対応したからな。
優しくしないとね。
……何となく調教みたいだけど違うからね!
一緒にいるのにビクビクされてるのも嫌じゃんか。
ふざけたりしないで、普通にしてくれれば別に怒らないからさ。
そういえば、ドワーフが酒欲しがらなくてよかったよ。
まあ、神様にお供えするものって説明したから、我慢したのかもね。
国の代表だし、竜を従えてる俺に無理は言えないだろう。
後二日は、要望があれば舞を舞うけど、基本的には、農奴に食事を振舞うだけだ。
こちらの大道芸も興味はあるんだけどね。
ま、洗い物と仕込みをしないとね。
子供達には祭りを見に行って構わないって言ってあるから。
買い食いとかしたいだろうしさ。
こっちは、サクッと片付けよう。
あ、今回思いっきり目立ってるけど、見た目で目立つから開き直ったよ。
どうせ目立つなら知られる方が良い。
その方が厄介ごとから解放されると思ってね。
聖獣を従えてるのが知られれば、おかしなことをする者はいないだろうから。
これで性欲があればなあ。
モテるかも知れないのに。
でも目立つといやらしい店とかいけないね。
まあ、性欲無いから行かないけどさ。
雰囲気だけでも感じたいんだけど、それは不可視モードでいいや。
何かと不自由だね。
竜と精霊を労うから、考えるより片付けしよう。
まあ、一瞬で終わるけど。
神様だからね。
ちゃっかり来てました。
グダグダで、すみません。




