第二十七話 バッタ実食!
こ、この味はエビだ!
ウキウキしながら神殿に戻ってきた。
騎士団長のアカメさんは、飛蝗の後処理で騎士団の詰め所に行くそうで別れた。
広場まで来たら、大神官が騎士や神官を集めていた。
何だろう?ちょっとお願いあるから、話してみよう。
根田 「大神官殿、物々しいですが、どうしました?」
大神官 「あ、根田様。実は魔物の集団が近づいていると連絡がありまして。」
もしかして飛蝗のこと?
根田 「魔物ですか?飛蝗なら退治しましたけど。」
大神官 「えっ。根田様が対応されたのですか?」
根田 「ええ。冒険者ギルドにいたら、丁度連絡が入ったので、実績作ろうかと思いまして。」
大神官 「よろしかったのですか?地上への介入。」
根田 「大丈夫ですよ。こちらの都合もありましたので。あ、捕ったの見せましょう。」
ジャイアント・メタルトノサマバッタの外殻を取り出した。
大神官 「ジャイアント・メタルトノサマバッタですか。厄介な相手ですが、被害はありましたか?」
根田 「被害は無いですよ。耕作地に来る前に対応しましたから。あ、発生場所から移動した場所の確認はしてませんでした。すいません。」
大神官 「いえ、確認は騎士団や神官の仕事ですので、謝らないでください。退治して下さり有難うございます。」
根田 「いえいえ。ちょっとお願いがあるんですが、よろしいですか?」
大神官 「お願いですか?聖女様や大神官長を呼びましょうか?」
根田 「いえ。呼ぶほどのことでは、ありません。調理をしたいので、場所を貸してほしいのです。」
大神官 「調理ですか?何か変わったものでも料理されるのですか?」
根田 「こちらでは、食べる習慣は無いようですが、ジャイアント・メタルトノサマバッタの肉を調理しようと思いまして。」
大神官 「ええっ!蟲の魔物を食するのですか?大丈夫なのですか?」
根田 「肉に毒も無いですし、食用可能ですよ。ジャイアント・メタルトノサマバッタは、初めてですが、味見をしようと思いまして。」
大神官 「場所をお貸しするのは構いませんが、何人か同席してもよろしいですか?」
ん?食用可能ってことで興味がわいたのかな?
根田 「構いませんよ。貸していただける場所まで、案内を頼んでよろしいですか?」
大神官が了承して、神官達の詰所の食堂を貸してくれることになった。
食堂には、結構人がいる。交代制だし人数多いから、仕方ないね。
食堂自体広いから問題ないけど。
邪魔にならない場所を確保して、調理開始だ。
珪藻土があるか調べてないので、ジャイアント・メタルトノサマバッタの外殻を使って、水冷式七輪を作り出した。網もセットでね。
魔蟲鋼は錆びないし、丁度いい。あ、包丁も作っておこう。いっぱいあるしね。
まな板は木製で創生した。
炭も創生しておこう。
神族の時空間収納は、中で創生などの作業もできるから、アイテムボックスから出してるみたいにしか見えないだろう。
ちなみに、保存物は時間停止状態になってるけど、時間を進めたりもできる。
ジャイアント・メタルトノサマバッタの肉は1匹5kg程度ある。魔石は1kgぐらいなんだけど、ゴミになる部分は、魔素分解して空間に戻した。
闇の精霊さんの仕事の手助けだ。黒乃さんに協力してもらってるしね。
水を七輪に入れ火皿をセットし、炭に火をつけて網をセット。
ジャイアント・メタルトノサマバッタの肉は、外殻の内側に薄い腸みたいなので包まれてる。
まあ、自分のは解体してチューブに入った肉状態だけど。
うーん。小さければバッタは、串焼きにするんだけど切った方が良いね。
切り分けて、網に乗せて塩を振って焼いてみた。
この塩は、魔人が作ったものだ。昨夜OPで作ったんだ、基本の調味料の魔人はさ。後、音楽の魔人があったから、作ってみた。
魔人を作った時の話は、また今度にする。あまり思い出したくないけど。
バッタは加熱すると赤くなるんだけど、魔物でも同じみたい。
さて試食だ。
根田 「焼けたようなので、試食してみましょう。」
神殿関係者は、大神官、騎士、錬金術師、植物などの研究をやってる神官、食堂のマスターだ。
交代制の仕事に食堂も対応してやってるそうなので、食堂の従業員は神殿で雇ってるそうだ。
100gずつ皿に盛って、試食だ。
日本で食べた時は、エビみたいだったけど、どうだ?
一口食べてみた。
根田 「美味い!エビみたい。ジャイアント・メタルトノサマバッタの肉は、当たり食材ですよ!」
光華 「いけますね。」
黒乃 「美味しい。」
玉樹 「美味しいです。」
神族が食べたので、神殿関係者も恐々、口に運んだ。
大神官 「美味しいですね。」
騎士 「美味いです。」
錬金術師 「今まで廃棄してましたが、食用できて美味だとは知りませんでした。根田様でしたか?調理器具も後で見せてもらっても良いですか?素材は魔蟲鋼ですね。」
研究の神官 「廃棄するしか無かったのに、こんなに美味とは驚きです。」
食堂のマスター 「美味い!魔物の肉は肉体強化の効果もあるから、需要はあるけど美味いのは、それほど出回らないんだよな。冒険者は自分で食ったりするし。でもちゃんと料理してないから勿体無いんだよ。少量でも満腹になるし。」
へー。そんな効果あるんだね。
俺は美味ければ良いんだけど。
根田 「そうなんですね。沢山あるので、良かったら提供しますよ。お世話になってますしね。」
大神官 「よろしいのですか?神殿としては有難い話ですが。」
根田 「構いませんよ。暫くは聖都にいる予定ですから、その間部屋を都合して貰ってよろしいですか?部屋代は、払いますから。」
大神官 「それは構いませんが、宿屋でなくてよろしいのですか?」
宿屋だとセクシー攻撃で、からかわれそうだしね。
根田 「ええ。宿屋だと目立って、厄介ごとが心配なので。」
やれやれのポーズだ。
大神官 「確かに根田様は、目立ちますね。わかりました。家族向けの官舎を用意します。」
根田 「有難うございます。お手数をおかけします。」
とりあえず拠点は確保した。
言い忘れてたが、エレー様が用意してくれたお金は、各種類の硬貨が100枚づつある。
白金貨とか国家間取引しか使わないんだけど。
あ、通貨のことで思い出した。
大金貨とか通常の硬貨より一回り大きいけど、作るとき圧縮と重量軽減の効果を付与してるので、価値分の金属は使われてる。
白金貨もこの効果を与えて作られてる。
ミスリルの武器ならショートソードが作れる程度の金属が使用されてる。
硬貨は、付与魔法を使って作るので偽造は困難というか手間をかけるだけ損である。
全ての通貨は劣化防止の付与魔法が掛けられてる。
永続効果を持たせるので、専用の魔道具を使用する。
付与魔法が使える者なら各国に高額で雇われるので、偽造などそもそもする必要が無い。
この世界の人は、魔法を使うには適性があるけど、魔力は感覚的にわかるので、偽造したらすぐわかる。
そんなことを考えていたら、試食していたテーブルの周りに人が集まってる。
何だろう?
大神官 「何だ?お前たち。何か問題でも発生したか?」
周りの神官・騎士 「問題発生です!大神官様たちだけ美味いものを食べるのは、ずるいです!」
何だよ。食いたくなったか。
根田 「皆さん食べますか?食べるなら切り分けて焼きますけど。」
そう言ったら、皆頷いてる。
じゃあ焼きますか。
作った七輪は四角いやつで、一度に結構焼けるからね。
時空魔法で時短も出来るし。時空魔法は無属性魔法だ。
時間の管理やってる神もいるそうだけど、万年青に戻ったら挨拶するかな?
?『根田さん、日本の話を聞かせてください。万年青に戻ったらお会いしましょう!』
何だ?時間の管理の神様か?万年青に戻ってからことで、よろしく。
地上で考えたから、神は自身が関係することは分かるから連絡してきたんだな。
根田 「じゃあ焼きますので、皿をお願いします。」
食堂には50人ぐらい人がいるんだけど、魔法を併用して処理した。
とりあえず食堂にいる人の分は良いかな?
根田 「マスター、ジャイアント・メタルトノサマバッタの肉は、100個ぐらい置いておけばいいですか?時間停止機能付きのマジックバッグをお貸ししますよ。」
この世界には、ダンジョンから出るマジックアイテムがあって貴重品で高価だ。
冒険者ギルドで監察官が使った鑑定の魔道具みたいなのとか。
あれは、見識さん管理のダンジョンの品だけど。
確か見識さんのダンジョンって魔族領の奥地だったから、魔族からギルドが買ったのかもね。
魔族は、人族の上位種でアイテム無くても知識で鑑定十分できるから、いらないんだろう。
おっと話がそれたな。
マジックバッグもダンジョンから稀に出るものだが、時間停止機能付きは、更に稀だ。
まあ、俺は、自分で創れるから関係ないけど。
食堂のマスター 「マジックアイテムじゃないですか!しかもレアの時間停止機能付きって。良いんですか?」
根田 「そのままだと痛みますし、私のアイテムボックスは、時間停止能力があるので、別にいいですよ。神殿の神官や騎士が出入りする食堂に泥棒は入れないでしょうからね。ああ、容量は、特大ですので麻袋大が500個入ります。」
ちなみに麻袋大は60cm×100cm程度の大きさだ。
物によるけど50kg程度入るかな?
食堂のマスター 「ははっ、違いねぇ。しかし、時間停止で特大って、レア中のレアじゃないですか。商人ギルドや冒険者ギルドが喉から手が出るほど欲しいもんですよ。あ、大神官様、孤児院の子供にも食わせても良いですか?」
大神官 「私は別に構わないが、根田様よろしいですか?」
根田 「蟲の魔物を食べるのが嫌でなければ。調理器具もお貸ししますよ。塩は大丈夫ですか?」
食堂のマスター 「塩はありますから大丈夫です。炭が無かったかな?普段は薪か火の魔道具だからなぁ。」
根田 「じゃあ炭も置いておきますよ。」
炭は30kgもあればいいだろう。
ジャイアント・メタルトノサマバッタの肉の入ったマジックバッグと炭を創生して厨房に置いてきた。
あ、錬金術師さんに七輪見せて欲しいって言われたんだった。
丸いタイプ作って渡すか。網と五徳付きで。
魔蟲鋼って薄くても強度があって、大きめの四角い七輪と網も1匹分で済んだし。
包丁作った残りあるしね。
根田 「錬金術師さん。これ、形が丸いだけで機能は同じです。中に水を入れて、下が熱くならないようにしてるんですよ。魔蟲鋼は錆びないですから。網をのせて使うか、五徳を乗せて使います。」
そう言って水冷式七輪を渡した。
あ、この世界にも火の魔道具はあって、火加減の調整は出来ないけど五徳はある。
この辺は、薪の延長で考えてるみたい。ちなみに動力は魔石だ。
錬金術師 「おお。参考になります。お借りしても?」
根田 「差し上げますよ。役立つようなら、神殿で広めてください。道具も使われる方が幸せでしょうから。」
錬金術師さん、火加減できるようにするとか魔石動力にするとかは工夫してね。
そこまでは介入しないよ?
さて、官舎を用意してもらって、移動だ。
明日は、冒険者ギルドか。
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後年、根田が万年青に戻ってから、神であったことが神殿から公表された。
根田が伝えた七輪と網で焼くという技法から一部の者には、ネタの神ではなく、調理の神と思われている。
根田が技法を伝えるまで、フライパンなどで焼くか鍋で煮るか串焼きの技法しか無かった。
笊や網はあったが、網焼きという発想は無かったようだ。
水を切るかハーブティや生薬などを濾す使い方のみだった。
網焼きを伝えた時の食材が、蟲の魔物というのも強烈だったようだ。
光の大神殿には、根田が授けた水冷式七輪が残されている。
それは、神殿の宝として大事にされている。
『道具なんだから使ってください。後、私はネタの神であり、調理の神じゃないです!縁起神で運気を司ってるんですよ!間違えないように。』と根田が神託を下ろしたのだが、授けた七輪は使ってくれなかった。
その時、神託を受けた神殿関係者は、皆、笑顔だった。
根田が伝えた蟲の魔物が美味だったこともあり、笑顔になるのだ。
根田が笑顔を作る神と広く知られている。
根田は、”エンゲーイ”で広く信仰を集める神である。
神殿には、作業着に前掛け姿の神像が祀られている。
ネタにされるコンクリ像っぽいので、根田は祀って欲しくないのだが、皆が祈るとき『お約束』と唱えるので、諦めている。
「誰だよ、お約束とか教えたのは!」と根田はむくれたが、当然、光の大精霊の光華である。
万年青の神々は、そんな根田を見て、みんな笑顔だ。
根田は神として地上を見守っている。
笑顔を作る神として。
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残念バッタです。




