ユグドラシルとの対話
「あ、あの……貴女は?」
僕は巨大な木と一体化している女性に問いかける。
―私はユグドラシル。この世界を司る者―
「僕は久遠康紀と言います」
―知っていますよ人の子よ。貴方もまた選ばれた人の子の一人―
「僕の力は一体」
―星の力。この星の護りを司どる力を貴方は継承しています―
「それが具体的にどういうものかさっぱり……」
―その言葉そのものですよ人の子よ。この星の存在の危機を回避する為の力です。その答えが知りたいのならその都度己で自問自答するのです。この星が壊れない為にその力はある―
「風で暴走したのは?」
―風は魔法が無くとも吹くもの。魔法を使い自然を無視して起こすものでは無い。故にそれを貴方に使って攻撃する事は風の怒りを買う―
「僕の体を通して怒りを?」
―シルフィードはとても慈悲深く懐深い者。故に好き勝手やっても叱られないので彼を思うものは居ない―
「風を皆があちこちで起こす事によって流れが可笑しくなる……そうすると自然のバランスが崩れるのかもしれませんね」
―そうです。エルフが閉じ籠っているのも、そうした事が原因の一旦としてあるのです。人の欲望というのは果て無いもの。一度芽吹けば際限無く咲き乱れ、やがて星を食い尽くす―
……確かに。アダガ王が暗殺されて国が乱れた事で、侯爵が統治する
この地域にまで手を出してきた。恐らくありのままである事が戦争をする
上では怖いのだろう。
「僕はどうすれば」
―国を何故貴方が作らなければならないのか、それをよく考えてください。そうすれば答えは見えてくる―
「何故……」
レイアさんを助ける為にもだけど、泉の人にも言われて
国造りを目指している。それ以外にも意味がある……?
星の護りの力が与えられているのにも使命みたいなものが
あるっていう事なのか。
―具体的な力については必要な時に明らかになるでしょう。人の子……いえ康紀、この星を私の子をよろしくお願いします。私は神によって破壊された大地を甦らせに行かねばなりません―
「出来るだけ頑張ってみます」
―それで充分です。自分に出来る事以上の事をしようとすると、それは歪みとなり星そのものを飲み込もうとしているのも気付かなくなる。貴方も忘れないで―
「気を付けます。ありがとうございました」
―では康紀、ご武運を―
眩い光が辺り一面に広がり覆い尽くした。
暫くしてその光が収まっていき目を開くと、
木と同化していた女性は消えていて
ユグドラシルの木のみがそこにあった。
「しかし凄い事になったわね……」
「ローズルさん」
「まさかユグドラシルと話せる人間が現れるとは。それにしても私たちってユグドラシルにもあんまり好かれてなかったとか衝撃過ぎて立ち直れないわ……」
ローズルさんはげんなりした顔をしながら、
僕と並んでユグドラシルの木を見た。
「ここまで連れて来てくださってありがとうございました」
「いえ無理やり連れて来たんだからお礼を言われるまでも無いわ。寧ろ私たちが言わなくちゃね。ユグドラシルを視認したなんてこの先無いかもしれないし」
「そんなに凄いんですか?」
「当たり前でしょ。この世界を形作り今も大地を支えている創造主の一人だもの。その人に会えるなんてありえないわ普通」
創造主って考えると確かに無いだろうと思った。
ゲームのような世界でも当たり前に神様は降りてこないんだな。
「さて爺や、どうする?」
ローズルさんと振り返ると、爺やさんは
土下座をしていた。目を丸くして見つめ合う僕とローズルさん。
「な、何してんの爺や」
「そ、そうですよ。顔を上げてください」
「まさかユグドラシル様に見初められたお方とは露知らず、無礼な態度を取りました事御容赦下さいますよう伏してお願い申し上げ奉ります」
もう敬語が凄過ぎて良く分からない。




