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彼らの知的好奇心

 次の日目が覚め着替えて部屋を出ると、

侯爵とアステスさんが僕が開けた扉の両側に

立って待ち構えていた。

何もないと思って扉を引いて出たら

気配がして固まった。


「あ、あの……何か」

「いいや別に」

「いいえ別に」


 ……そう言われると余計気になるんだけどなぁ。


「さて、康紀も目覚めた事だし、早速今日の日程について話そうか」

「はい」


 二人は両脇から離れて先を歩く。

なんか余所余所しいというか白々しいというか……。


「あの、なんで毎朝扉の脇で待ってるんですか?」

「お、中で待っていてもいいのかな?」

「と言う事は僕が朝起きるかどうかとか、寝ている間に何かあるとかそういう事が気になっているんでしょうか……」

「……凄い返し方をしてくるね康紀」

「いえ、問いに問いを返されたので、そこを避けたいのかと」


 食堂で侯爵は上座に座り、僕はそのわきに座って

アステスさんが入れてくれたハーブティを飲みながら

今朝の事について訊ねた。

例の内装がめちゃくちゃでアステスさんが休暇を取った日。

引っかかっているのはあれだ。

僕だけじゃない、二人もそう。


「嘘を吐いたところで意味が無い、と理解した。だが残念なことに我々は回答を持ち合わせていない」

「お二人が分からない……?」

「ああ。星の護りという御伽噺は知っている。だがそれは手に届かないもの。正直に言うが初めて私たちの身近にいる」

「なるほど知的興味が災いしてあの部屋の有様になったって事ですか?」

「アステスくん」


 侯爵がアステスさんに話を振る。

アステスさんは僕にハーブティのお代わりを

注ぎながらめっちゃ僕の顔を凝視している。

あれ、怒ってる?


「……分かっている事は君には生半可な方法では手を出せないと言う事だけだ。まさに星の護り。その担い手をして星を護る、故に倒すならこの星を滅ぼす気概で来い、という事らしい」

「いまいちピンときませんが」

「そう、私もそれについては伝承を知っているレベルでね」

「グルヴェイグさん!」


 扉を開けてグルヴェイグさんが食堂に入ってきた。

アステスさんは素早く駆け寄り、

手で席を指し示す。それに笑顔で答えるグルヴェイグさん。

僕と向かい合うように席に着くと、

アステスさんはハーブティを注ぐ。

確かに星の護りの言い伝えを教えてくれたのはグルヴェイグさんだ。

僕たちはその為に呼ばれたんだろうとも。


「魔女ですら分からないのではな。あの泉のもそうかい?」

「侯爵もあの人知ってるんですか?」

「ああ。ある程度のものは知っている。神秘のレベルで言えばトップだしねあれは」

「あの方も知らないでしょうね。アタシが知る限りあの方にとっても故あれば仇になる力」


 その言葉に侯爵は目と口を開き手を広げ天を仰ぐ。

アステスさんも目を見開いている。珍しい。


「なるほどね。康紀から嫌な感じがしないのはそういう事か」

「彼女たちに与するものや生まれたものでは無いからこそ、我らは共にあるのかと」

「いいね、実に良い。私はそれだけでも大満足だ。康紀期待して良いよ? 君が裏切らない限り私が君を裏切る事はこの星が滅びるまで無いと魂を掛けても良い」


 侯爵は口一杯広げて口角を上げ、

目を見開いて僕の方へ身を乗り出した。

何がそんなに喜ばしいのか……。

そう思い僕は距離があるのに仰け反った。


「侯爵、程々に。康紀様も困っておられますから」


 アステスさんは咳払いをした後、

侯爵と僕との間のテーブルの角に移動し

侯爵を嗜めた。


「おやおや君は冷静じゃないか。これで父上にも報告が出来るというもの」

「侯爵」

「良いじゃないか別に。彼は我々の敵にはならないよ。彼の負うべき使命はこの星。今の我々のする事はそれに至らぬようにするんだから」

「アステスさん育ちが良さそうですよね。何処かのお嬢様ですか?」


 と言うと侯爵はテーブルの上を這い

僕の顔の間近まで迫ると


「気になるかい?」


 とねっとりとした口調で言ってきた。

今日は存分に暑苦しい……。とても言えないけど。


「侯爵……!」


 子供を叱るようにアステスさんは言い、

侯爵の足を引っ張って元の位置まで戻した。


「ああ失敬失敬。私は知的好奇心が生まれるとじっとしてられなくてねぇ……。それが誰であろうとお構いなしさ。だもんで私はこの世界が崩壊することを誰よりも望んではいない。想定して準備も怠らない。が、何もないのが一番だ。小競り合いを繰り返すくらいが限界で良いんだよ」

「世界が崩壊する……?」

「そう。星が壊れれば世界も自ずと崩壊する。我々は生きていられないからねぇ」

「星が危機に瀕した時……」


 グルヴェイグさんの言い伝え。

一人のものによって蹂躙された星は、

防衛システムとして星の護りを与えた僕を

この世界に呼んだ……?

 というか僕はどうやってこの世界に来たんだ?

あの泉のは迷い込んだと言っていた。

何かゲーム的なものなら分かるけど、

生憎お腹は空くし筋肉痛になってるし

リアルすぎる。これ刺されたら死ぬんじゃないかな。

いや死ぬだろうなぁこれ。


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