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原住民の族長との対話

族長は神妙な面持ちで僕にそう言った。見た目では分からないんだけど、僕より年下に見える。その年齢で族長を務めているのだから、苦労もあるだろう。


「ではオルゴさん、改めて頼みがあります」

「何でも言って欲しい。我々は挽回出来るのであれば何でもしたい」


 その顔は真剣そのものだった。それを言い終えた後頭に付けていた羽飾りを取り地面に置いた。族長としてではなく一人の男として請け合うという意思表示だと思うけど、僕より年下で族長を務める覚悟があるのにその族長の誇りを捨ててでも部族の為に尽くす姿勢に少し動揺する。


今の僕に彼と同じ覚悟がキチンとあるのだろうか。異世界から来てチート能力を得ているからこうして偉そうに出来るだけで、それが無ければ本当は何もできないヒキニートだ。


「康紀様」

「あ、ああすまない」


 能力や状況、立場があって忘れがちだけど、元々そういう部分がある事を忘れないようにしないといつか足元を掬われてしまう。まだこの世界で死ぬ訳にはいかない。ここに来た事の答えを知りたい。


シェンリュさんや趙さん、ジャンさんは分かるけど、何故僕みたいなヒキニートがこの世界に呼び出されしかも星の力なんていう凄いものを与えられたのか。オルゴさんのような年下で優秀な人も居るのに……。それを知りたくなってきた。


「オルゴさんたちに出来れば薬草の知識を教えてほしい。その代りと言っては何だけど、現在の僕たちの屋敷の周辺の薬草を取って行っても構わない」

「康紀様」


「良いのか?」

「勿論知識をしっかり教えて貰い、皆に薬草をキチンと使えるようにしてもらうのが条件だけどね。オルゴさんたちの部族が長年掛けて得た知識を何の代償も無しに教えろというのは虫が良すぎる。知恵や知識はそれほど尊い。何よりこれから戦になれば一番重要になる”生き延びる”という事に直結するものだから」


 アステスさんはそれを聞いて頷く。オルゴさんは神妙な面持ちで僕を見つめている。


「永遠に許可をするという訳じゃないけどね。ただ当面は持って行って構わない。そちらと違う感じなら是非研究に役立ててほしい。後これは提案なんだけど、今僕たちは戦場で戦う以外の方法でも戦うことを模索している」

「それはどういった事で?」


「経済としての戦争。こちらの特産品を首都やそれ以外の地域に売り込む。独占状態の品が多ければ多いほど領地の価値は高くなる。それによって攻撃目標として最優先となる可能性もあるかもしれないけど、どの道向こうはやる気だ。だったら首都に居る反対派やそれ以外の領主と取引できる材料が一つでも多いほど良い。個人的には南側を拓いて船を作り海洋に出る事も考えている」


 僕は考えている事を一気に話し終えて一息吐き、アステスさんのお茶を飲み干す。どうせターゲッティングされているんだから気にする事も無い。特にこの戦いは攻め気を起こさせるには時間がかかると思う。動揺と混乱も起こせるはずだ。未開の地域が経済に食い込もうとしている、と。


「あ、貴方の考えは頭の中に入れて皆と相談させてもらいたい」

「それで構わない。強制ではないし、オルゴさんたちの薬草など良質の物を市場に出せれば、オルゴさん達も潤う。最初は開拓するのに時間もお金もかかるだろうけど、いずれはオルゴさん達で管理して貰えればと思う。国として成り立った時は税金として数パーセント貰うと思う。オルゴさん達は生活環境を潤う事で変化してしまうと危惧するだろうけど、それなら稼いだお金で土地を買ったりする方法も考えられる」


 オルゴさんは頷き、そのまま席を立った。居ても立っても居られないのか直ぐに食堂を出て行った。僕らもそれに続く。そしてオルゴさん達を見送った。

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