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計画通り?

 三号店が破壊され、本来ならば様子を見るつもりだったのだが、二号店にまで手を出すという言葉を聞いた瞬間に、耐えれなくなってしまった。


 二号店に関しては、長く営業してきて、愛着のある店だし自宅もある。

 商人だから冷静にと考えていたが、二号店には譲れない一線があったみたいだ。


 あの兵士達は、この町は完全に敵地となってしまったため、すでにこの町を離れている。

 町の人間に袋叩きにあってもおかしくない状況だし、すぐ逃げたのは懸命な判断だろう。


 私はサドタの街へ行きギルド長へ状況を報告して、ドワルドの出張を取りやめサドタの街での作業を一旦、作業停止の報告をした。


「あの、貴族やりやがった。

 ワシらに、泥被せやがって!!」


 今にでも文句を言いに行きそうなレクターさんだったが、それを制止した。


「ちょっとまって下さい、引き続き作業をやらないとは、言ってないので安心して下さい。

 文句を言わなくていいんで。

 このギルドは、あの貴族を見捨てて下さいよ」


「具体的にどうすれば?」


「ギルドに、二つお願いがあります。

 あの貴族がセカンタの町に出兵した際、ギルドを通して私に連絡を下さい。

 もう一つは、あの町への出兵への為の人員を、ギルドから出さないで下さい」


「ワシらが止めても、勝手に参加した場合は?」


「俺が相手になりますよ……。死体が増えるだけですよ。

 すでに、町の大事な施設を壊した極悪人なんです、この街は。

 [大義名分]が出来てしまった以上、結果がどうなろうが知りません。

 この街に住むあなた方、は被害を出さない努力をするそれ以外ありませんよ」


「人死には、回避できんのか?」


「それは、貴族様に言ってあげたらどうですか?

 私が動かなければ、確実にセカンタの町が滅びますよ?」


 続けて言った。

「私はあの町の町長で、町を守る義務がある。

 敵と判断したら、容赦はしませんよ。分からず屋どもは、【一度】、死んでもらうと思いますけどね」


「全力でギルドからの出兵は回避する。それでいいな?」


「はい、もともとからギルドと敵対する気ないですし。

 それじゃ、今日から忙しくなるんで、ドワルドを連れて帰ります」


 その後、サドタの街にいるドワルドを連れてセカンタの町へ戻った。

 時間は夕方を過ぎていたが、三号店の飲食スペースに全社員に集まってもらった。


「社員はみんな集まってるかな?」


 社員以外にも、テナントの社員や、ギルド職員、ミルコさん、スミス神父なども集まっていた。


「ハイ、全員揃ってます」と、キャリーが報告した。


「ご存知のように、サドタの街のクソ貴族の横暴で、私達の大事なこの施設が壊されてしまいました。

 主な被害は、浴場のみですが主要部分が壊された為復旧の為臨時休業となります。

 復旧作業を急ぐため、橋の設置の作業班と治水班も一度復旧班に合流して作業にあたって下さい」


「ん? なんじゃ社長? 被害は浴場だけか?」と、ドワルドが言った。


「いやいや、その浴場がボロボロなのが問題なんだが」


「あー、それなら大丈夫だと思うぞ。

 ホレ社長、ワシについてこい」


「ちょっとすいません。

 ドワルドさんから物言いが入りましたので、しばらくお待ちください」


 ドワルドについて行き、浴場を見てみる……。

 ボロボロじゃないか、何が大丈夫なんだ?


「なんか、不満そうじゃの?」


「そりゃ、この有様だし。

 どう見てもボロボロじゃないか」


「そうか、社長にはボロボロに見えるか。

 ここの整地と壁の大元を、作ったのは誰だ?」


「ん? 大元って意味なら私か?」


「そう、社長のありえないくらい強化した魔法で作られている、基礎や壁がそうそう壊せるものとは、思わないぞ、どうせ壊されてても、表面やら飾りの部分じゃろ」


 と、言って。壊されたタイルをめくって、俺に見せる。


「ほれ、社長の作った部分は、壊れとらんじゃないか。

 これなら、人数が増えた今なら1週間もあれば営業再開できるぞ……」


「みんなに、どう説明しましょうかな……」


「ははは、そりゃ社長が考えることじゃ」


 と、二人で笑いながら。

 みんなの前に、戻っていった。


「さっき、ドワルドさんと話して見たけど、修理自体は一週間もあれば終わるらしいです」


 と、報告したら。皆が唖然としていた。


「元々から1ヶ月以上は、かかると想定してたので、リニューアルオープンして皆にお披露目しようと思います。

 飲食スペースは、解放したままでいいので、お風呂施設だけお休みという形になります。

 今度追加する、お風呂は、サウナ、水風呂、壺風呂、薬草風呂の4つを追加します」


「もしかして、社長このタイミングで、リニューアルするつもりでいたんじゃ?」

 と、ドワルドが聞いてきた。


 ニヤリ。


「あのクソ貴族が。破壊活動してくれたおかげで、堂々とお店を休んでリニューアルができるんだ。

 この機会を、活かすに決まっているだろう。

 全ての悪感情は、あのクソ貴族に被ってもらおうじゃないか」


 準備しておいた設計図をドワルドに渡す。


 設計図を見た、ドワルドが、

「屋上に金樽増やして。

 配管室の外の壁を壊して、熱調整用の金樽を増やすんだな。

 新浴場の配管は、野外から浴場に入れるわけか。

 これなら、お客に見えずに、風呂を増やせるな」


「お店は、臨時休業しますけど、スタッフは勤務してもらって構いません給料は出します。

 後程、貴族に倍以上請求しますので……皆さんは、遠慮なく働いてください」


「こりゃ建築班は、忙しくなるワイ」と、ドワルドが言った。


「ハジメ君、ギルドからも支援金としてお金を集める予定なのでそれも使ってくれ」


「町長、町からも支援金集めれると思うぞ」


「教会からは、何か出来ますかな」


「スミス神父、無理は、されなくて大丈夫ですよ。

 例の子達の件も、お願いしちゃってますし。

 ここまでは、未来のあるお話です」


 続けて、悪い情報を皆に伝えることにする。


「ここからは、少し残念な話になると思います。

 サドタの街の貴族は間違いなく、出兵してこの町を襲おうとすると思います。

 私は、町長として全力で阻止しますが、万が一阻止できなかった場合は、この町が終わるということです」


 少しだけ、周りがざわついた。


 その後、


「ギルドをあげて、あの貴族を追い払おうじゃないか」


「これは町長だけの問題じゃない、町の問題だ全員で対応に当たるべきだ!!」

 と、ギルド長兄弟が言ってくれた。


 熱くなっている二人の発言を制止し、皆に自分の考えを伝えた。

「正直に言います、勝算はあります。

 北の森入口の地面が、入れ替わってる場所ありますよね。

 あれが、私の魔法の範囲です。

 初期の建築班は見たことあると思うが、町で解体に使ったあの魔法だよ」


「あれかぁ……」と、建築班が納得していた。


「テナントの皆さんのお店を1日で、撤去した魔法です」


 皆が、魔法の規模を理解してくれた。


「なので、まず戦闘になりません……。

 だから皆さんは、自分の日常を過ごしてください」


「いざという時は、ギルドが動くからなハジメ君」


「ハイ。その時は、お願いします」


 ……。

 …………。


 予定通り、一週間で浴場の修復が終わり。

 そこからは、浴場のリニューアル作業が始まった。

 その3日後の事だった……。


 夜間にもかかわらず、自宅の扉がノックされた。


「夜分遅くに申し訳ありません、サドタの街のボルグ様より事づてを承っております」

 と、言われたのでボルグが再び投獄された事を理解した。

 そして、ドアを開けて執事風の男を部屋に招き入れた。

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