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第27話 ボルトン商会

「見えてきましたぞー!」


ボルトンの声が響く。


丘を越えた先。


巨大な城壁都市が姿を現した。


「うわぁ……!」


リナが目を輝かせる。


「大きい……!」


セイルも思わず見上げていた。


今までの街より、

明らかに大きい。


人も多い。


荷馬車も。


冒険者も。


門の前には長い列が出来ていた。


「ここがラグナス……」


レナが小さく呟く。


オークが出現する街。


そして——


Dランクを目指す場所。



街へ入ると、

空気が一気に変わった。


武器屋。


防具屋。


素材店。


露店。


そこら中から声が聞こえる。


「活気すごいね!」


リナがきょろきょろしている。


その横で。


ボルトンは胸を張っていた。


「ふっふっふ!」


「良い街でしょう!」


「私の商会もここにありますぞ!」


「ボルトンさんのお店?」


セイルが聞き返す。


「ええ!」


「小さい商会ですがな!」


なぜか嫌な予感がした。



数十分後。


「……大きくない?」


セイルが呟く。


目の前にあったのは——


屋敷だった。


普通に大きい。


三階建て。


門付き。


庭付き。


使用人までいる。


「おかえりなさいませ、旦那様」


使用人が頭を下げる。


リナが固まる。


「……え?」


レナも目を細めた。


「小さい商会……?」


ボルトンが汗をかいた。


「い、いやぁ〜」


「商売が少し当たりましてな!」


「少し?」


セイルが苦笑する。


どう見ても成功者だった。



「ささっ!」


ボルトンが屋敷へ案内する。


中も広い。


赤い絨毯。


大きなシャンデリア。


壁には高そうな絵。


「すご……」


リナが完全に圧倒されていた。


「なんか貴族の家みたい」


「よく言われますぞ!」


ボルトンは嬉しそうだった。



そして。


「皆さん長旅で疲れているでしょう!」


ボルトンが胸を張る。


「お風呂を用意させましたぞ!」


「お風呂!?」


リナの目が輝く。


セイルは苦笑する。


「助かります」


だが——


案内された先で、

三人は止まった。


広い。


広すぎる。


大浴場だった。


湯気が立ち込める。


石造り。


下手な宿より遥かに豪華。


「えっ」


リナが固まる。


「これ家のお風呂!?」


「商人は身体が資本ですぞ!」


ボルトンがドヤ顔だった。


レナが呆れ半分で言う。


「……もう貴族でいいんじゃない?」


「はっはっは!」


ボルトンは笑っている。


否定しなかった。



「では!」


ボルトンが指を立てる。


「今日はぜひ泊まっていってください!」


「部屋も余っておりますぞ!」


リナが即答した。


「泊まる!」


「早いわね……」


レナが苦笑する。


セイルも少し笑った。


「お世話になります」


ボルトンは満面の笑みを浮かべる。


「歓迎しますぞ!」


そして——


目がキラッと光った。


「それと今後!」


「もしオーク素材や珍しい素材が手に入りましたら!」


「ぜひ私に声を!」


やはり商人だった。


レナが吹き出す。


「結局そこなのね」


「当然ですぞ!」


即答だった。


セイルも思わず笑う。


この街でも——


どうやら、

面白い縁が出来たらしい。

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