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Ⅰ 1-5-2

 籐で編まれた何かが担がれ運ばれてくる様を見て、此の一場面を想い出したのは、「い…いや…、体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが………。あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ! 『おれは奴の前で階段を登っていたと思っていたら、いつの間にか降りていた』」という、其の後のセリフも込みでの印象だったのは確実であろう。 だって、今何が起こっているのか、貴教にとってみれば、「理解を超えている」のだから。

 黒服の壁の向こうで大きな籐製品が縦に置かれると、其れを運んできたのも後ろから加わり、連中の壁は六人から八人に増えた。ここで“テ〇アイ”は姿勢を更に正し、暫し勿体つける様に静止した。

(何がしたい? じらしやがって)

すると“テ〇アイ”が四人ずつに左右に別れ、巨大な籐編み(其れが椅子なのは既に察しがついていた)に座る人物に侍る様な立ち位置を執った。“テ〇アイ”が左右に分かれ引く瞬間、思わず、

(エ、エ〇ニエル夫人)

 に、一瞬でもお目にかかれるのではないかと感じてしまった煩悩を貴教は大いに恥じた。彼の世代に於いては、デカくて立派な籐で編まれ椅子に座っている人物といえば、何と言ってもあのセクシーな裸婦なので致し方無い事ではあろうが。「お世話になった」とは敢えて言わない。ただその直後に激しく幻滅したのは籐の椅子に頬杖をつき足を組み深々と腰かけていたのが、

「か、和也!」

 丸〇というよりは兵〇だったという現実との落差であった。丸〇でもガックリとはきたであろうが。「行〇ができる法律相談所」繋がりで謂うならば、丸〇和也というよりは出演当時の橋下〇の方が遥かに似ているーーというよりそっくりだったのだが、其れよりもやはり、今、貴教の目の前にいるのは帝〇グループの御曹司・兵〇和也と表現するのが余りにもしっくりき過ぎていた。

(えええええ! 俺、ギャンブルはしねえぞ。それとも何? 取り立て? 俺、めちゃくちゃ借金してたとか? いやいやいや! めちゃめちゃ健全経営してるって。だいたい借金するとしても帝〇になんか借りる訳ないやんけ! 連帯保証人とかにだって…)

 ここで、貴教のネガティブ思考に一筋の光明が差し込んだ。

「ははーん。」

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