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Ⅰ3-15

 いくらともにマッチョでも、彼我で骨格のサイズ、ひいては筋肉の総量が違い過ぎた。何しろ捻じ伏せているテ○アイはまるで他と同様W◯Eのスーパースターが如しなのだから。

「貴様が今回手を組んだ地元の連中は、まさか貴様がそんなんだとは露とも思わなかったろうな。何しろ地元の大スター様主演監督の巨大イベントなのだからな」

「くそ!」

 全く振り解けない。

「『コンサートが無料ならば、どんな犯罪組織もコントロール出来ない』とでも考えていたってか? 『コンサートは無料のままで』てのがマントラで、それだけマジメに唱えていれば、『何もトラブルは起こらないし、誰も巻き込まるわけがない』と信じ込んで疑っていなかったってか?」

「カトリックとか、マントラとか、うるせえよ! 右と左に、宗教までもカラめんなよ!」

 再度踏ん張ってもやはり全然振り解けない。

「もっとも、それ以前に貴様の田舎の地元民ってのはヒッピーだからな。なんせ、カウンターカルチャーの聖地だもんな。SIGA。住民の半分は売人で残りの半分は常用者。役所とかでも職員どもどいつもこいつもみんながみんな、ハッパでらりってアッパッパーで働いてっから、クッソ治安の悪いイベントの片棒担いでいるなんて想いもよらねえか? 何もかもがしくじったんだよ! しくじるべくしてしくじった! 規模がデカくなり過ぎて、とてもじゃないが手に負えなくなったのさ! 具体的なヴィジョンなど持たず、何のノウハウもないような連中じゃあそんなもんだ! ざまあねえな!」

 貴教は改めてブチギレた。

「てっめえ!」

 オリジナルの筋トレの成果もあってか、自分よりも三十センチ以上も背の高いマッチョを、貴教は強引に振りほどいた。“甘える力”で少なからず部下に任せてきたところはあるが、それでも、貴教は全員とは言えないものの、それでも多くの人々に会い、いくつもの話し合いの場に赴き、思いの丈を述べてきた。皆が皆、有能で優秀、とても勤勉な人達だった。あの人達に任せて「規模が大きくなり過ぎて手に負えなくなった」――「しくじった」など有り得ない。

(それを…)

「ロクに何にもに知りもしねえヤツが!」

 そしてそれ以上に、共に汗を流し尽力してくれた関係者各位――協賛企業、地元・SIGAが、「いい加減な仕事しかしていない、いい加減に働いている」といういいぐさが、貴教には堪らなく不愉快だった。許せなかった。それが貴教にあったもう一つの逆鱗にも触れたのだ。

 「ほざくな!」と再度殴りかかろうとして、今度は両脇からスピアーをかますかの如く突っ込んできた新手のテ○アイに取り押さえられた。さすがに二人の大男を同時に振りほどけるだけの怪力は無い。

「くそ。修行が足りねえ!」

 貴教は己の非力を嘆いた。

「『私が最初にロックンロールの旅をスタートさせたのは、音楽が象徴する自己表現の精神に感動したからであり、理想という情熱だけに突き動かされて音楽の世界に飛び込んだ』とでも言いたいか! 嘗ての貴様は不良だったが革命家だったのかもしれんが、今の貴様は腐り果てた反動的資産階級の、ゴミの様な保守勢力だ! ただ単に物質的な豊かさを追求する現実主義の拝金主義者に成り果てた! それがデ○ープ・ステイトの狗たるブルジャワである貴様だ!」

 観衆のブーイングがより一層激しく貴教に降り注ぐ。

「ち、ちが…」


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