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願い続けた人を護り続けて
大樹の幹の元の根は浮いており、
石碑と骸を円蓋状に囲んでいた。
あの二人を優しく包み込む様子は、
此の場所だけ永遠に時が止まったかの様な
印象を受けた。
永遠の時、静かな平穏。
其れが、此の森が護りたかった物。
此の二人が森の核。
今回の任務、
二つの骸を壊せば其れで終わる。
だが、木々は許さない。
木々達の根は、
二人に近づく私の道を遮る様に動き回る。
「こんな事、もう終わりにしましょう。」
「貴方達の思いは、十分伝わりました。」
私は刀を置き、敵意が無い事、
此の場所を無碍に扱わない事を示す。
木々達は私の行為を理解した様で、
石碑までの道を空けた。




