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狂人の追手
結界はそのままに歩き続ける。
あの、アトリという者もついて来る。
安心できないような、
自分の速さで行けない違和感があった。
森の木の葉が音を立てる。
「悪い、俺の刺客だ。そこに隠れていろ。」
私は少し離れたところから、
その戦いを息を飲んで覗く。
アトリが短刀を茂みに投げ込む。
二人が囲む様に現れ襲い掛かる。
一瞬だった。
アトリが紙を広げた瞬間、
二人は氷漬けになっていた。
「またか。」
「こいつらは
俺を休ませないことが目的だ。」
「魔眼を奪う奴らの存在は知っているか。
あいつらは、
俺の眼を簡単に奪えないと分かると
こんな風に
刺客を寄越してくるようになった。」
「どいつもこいつもザコばっかで
つまらないが、
おかげでいつでも安心して休めないし、
行動を制限される。」
「全く、面倒だ。」
「お前の近くにも魔眼を持つやつがいたら
十分気をつけるように言っとけよ。」
「おっ、見えてきたな。」
鳥居が見えてきた。




