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その高みに届くことはなく
これは何度目だろうか。
痛みに必死に耐え、
必死に刀を振ろうとするが
既に弾かれ、刺されている。
だが、どれも右の肩や腕ばかりで
利き腕は一切刺されていない。
お前の剣技など、
何時でも捌けると。
そう言っているように思えて仕方がない。
力の差は歴然としている。
この勝負には負ける。
だが、何としてでも認めさせなければ、
帰ることすらできないのだろう。
ならば、純粋な剣技で戦う事は止めよう。
自分の力を刀に流し込むようにして振る。
だが、放たれた一閃は一瞬で消え、
私は再び刺されていた。
「違う!」
意識を失う中、その女性の声が聞こえた。




