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紅姫
「おい、そこのお前。顔を上げろ!」
顔を上げると辺りは夜となっており
秋月の姿もあの大樹も見当たらない。
そして、声の主と目が合う。
その瞬間、頬を刃が掠める。
私は咄嗟に反対側へ
倒れ込んで受け身を取り、立ち上がる。
「早く刀を抜け。死ぬぞ。」
紅葉の衣を纏う女性が佇んでいた。
構える直刀の先には、
私を狙う鋭い眼差しが有った。
本気の目だ。
刀を抜き、構える。
雲が月を隠す。
何時仕掛けるのか、仕掛けられるのか。
気が抜けない時間が永く続く。
その間、相手のことを考える。
相手の刀から、構えから、
突きを中心に攻めてくる。
ならばと、刀を振るう。
だが、すでに刀は弾かれ、
右肩を刺されていた。
鋭い痛みに蹲る。
「神具も禄に使えず、
自分の身すら守れないとは。」
「そんな奴に何ができる。」
現れた月が彼女を紅く照らした。




