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冬花  作者: 忘憶却
第二章 家族(秋)
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紅姫

「おい、そこのお前。顔を上げろ!」


 顔を上げると辺りは夜となっており

 秋月の姿もあの大樹も見当たらない。


 そして、声の主と目が合う。

 その瞬間、頬を刃がかすめる。

 私は咄嗟とっさに反対側へ

 倒れ込んで受け身を取り、立ち上がる。


「早く刀を抜け。死ぬぞ。」

 紅葉の衣をまとう女性がたたずんでいた。

 構える直刀の先には、

 私を狙う鋭い眼差しが有った。

 本気の目だ。


 刀を抜き、構える。


 雲が月を隠す。


 何時仕掛けるのか、仕掛けられるのか。

 気が抜けない時間が永く続く。

 その間、相手のことを考える。


 相手の刀から、構えから、

 突きを中心に攻めてくる。

 ならばと、刀を振るう。


 だが、すでに刀は弾かれ、

 右肩を刺されていた。


 鋭い痛みにうずくまる。


「神具もろくに使えず、

 自分の身すら守れないとは。」

「そんな奴に何ができる。」

 現れた月が彼女をあかく照らした。

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