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冬花  作者: 忘憶却
第一章 出会い
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霞命

 張り詰めた沈黙。

 あたりに響く、いかめしい声。

 私の身体は固まったように動かなかった。


春霞命はるのかすみのみことへ、お願い申し上げます。

わたくし四季崎しきざき春風はるか御身おんみ言霊ことだまに従いて今年このとしを過ごして参りました。しかるに、我が身を捧げることを以て、みなの望む春の訪れをもたらしたく願います。」


 彼女は背負っていた箱からことを取り出すと

 音合わせをし、演奏を始める。

 春の始まりを告げる音。

 暖かな陽気が広がっていく。


 演奏を終える頃にさ

 彼女の影が薄れていた。


「––––––––––」

 少しの沈黙の後、

 やしろの向こう側から声が聞こえた。

 しかし、聞き取ることはできなかった。


 だが、彼女は答える。

わたくしの隣に居る者は、山麓さんろくに倒れておりました。冬の神へ仕えるかんなぎすすめたく此処へ連れて参りました。」


 何となく分かっていた。

 此処ここへ連れて行った理由は、

 私がそれ以外の道は選ばないことを

 見越していたからだ。

 

 覚悟を確かめるよう、目をつむった。

 

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