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夏を起こしに
穀雨。
夏鳥は突然、
「今日、
夏の神様の元に挨拶しに行くね。来る?」
と言う。
もう、夏鳥の事には慣れきっていたので、
いつものように頷いた。
夏鳥は少しつまらなさそうな様子だった。
神様とまた話した。
春風と共に朧彦葉命へお会いしてから、
少ししか時間が経っていなかったために、
「そのまま頑張ってね〜。」と
しか言われなかった。
それにしても、話し方が夏鳥と似ていた。
もしかしたら、
この神様に影響を受けたのではと思った。
なぜなら、挨拶が春風の時と違い、
「霧ちゃん起きて〜。夏だよ〜。」
こんな感じだった。
神様も、こんな貼り付けの笑顔の奴に
畏って挨拶されても、気持ち悪いからと
こんな感じになったらしい。
これを春風や秋月に伝えたら、
夏鳥はどうなるのやら。
一応、
良かったと思うところを付け加えると
農作物が育つように他の神様と
根回ししてほしいとか、
そういう要望を伝えていた事だった。




