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朧命
「初めまして、朧と言う。」
やはり、私に声が向けられた時だけ、
聞き取ることができた。
「君の事は、霞姫から聞いている。」
「君の今の考えを聞かせてほしい。」
「私はこの役目の為に必要であるならば、
この身を捧げます。」
「今は、それだけです。」
「正式に決めるのは冬。」
「決断は実に難しい。」
「よく自分と向き合うこと。」
「一度、決断を疑ってみて。」
「一つ、
霞姫が君を確かめようとからかった。」
「訂正する。」
「お役目はいつでも辞められる。」
「けど、厳しい条件がある。」
「人生の決断において、
一度決めた重大な決断を返すことは、
それ相応のものが必要。」
「役目を全うする気のない者に
行って欲しくはない。」
「何より、気まずい。」
「それだけ。」




