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第3話 転生?ではなく《転死》です

沢山の感想ありがとうございます!(о´∀`о)



すぐにコメントを返信したかったのですが、

時間がかかりそうだったので先に第3話を挙げさせて頂きました!



最後にブクマ、pt評価もポチポチとするだけで簡単ですので、是非宜しくお願いします!

  伏見 一生が天馬に刺され、

 落とし穴に落とされた後、自分がまだ死んでいないことに気が付く。


 しかし、何故まだ生きているのか…

 自分自身でも理解することができていなかった。



(………あれから…どれくらい…時間が経ったんだ…。)



 目を覚ましてから僕は、

 何も見えない暗闇の中…手探りでただ何かに向かう訳でもなく、

 歩き続けている。


 何かをしていなければ、

 本当に死んでしまうんでは無いかとどこかで恐れていたからだ。



 ふと、頭上を気まぐれに見上げてみると自分が落とされた時の穴はもう見えない。



 あるのはただ闇ばかりで、

 ここがどれだけ深いかを示していた。




(……一体…どれたけ落ちたんだろう…しかし…この深さで良く生きていたなぁ……。)



 そんなことを呆然と考えるが、返事をするものはいない。



 それから一生に静寂と暗闇が長い時間訪れる。

 常人なら耐えれないような孤独も、

 元々孤独だった一生にとっては、

 良きパートナーであった。



 彼らは僕に憎しみと対話する時間を与えてくれた。



 それは一生の穏やかな心を復讐の鬼と変えるには充分な程の時間であった。




 そして永遠に続くと思われた彼らとの共同生活にも終わりが見える。




(…………ッ光…ガ…!光ガ見エルゾ!!)


 このダンジョンの地下深くで初めて見た光である。

 僕は無我夢中で光の元へと駆け抜ける。






(!……ココハ…ソトデハ……ナイ…カ。)


 残念ながら、僕が見たのはダンジョンに入る前に見たあの美しい光景ではなく、

 輝く鍾乳洞の光がダンジョン洞窟内の湖に反射して起こる景色だった。



(シカシ…水トハアリガタイ……シバラク飲ンデナカッタ…カラナ…。)



 そう思って湖に顔を近づけると、

 骸骨の化け物が僕の方へと迫って来るのが見える。


(ッウオオオオ!!!!)


 僕は思わず叫び声を上げ、尻餅をついて仰け反る。


(……ン?)


 叫び声を上げて僕は妙な違和感を感じた。

 そう叫び声を上げたのに、声が出てないのだ。


 おかしいと思って喉の辺りを抑えると、喉の感触がおかしいことに気がつく。



 より正確に言えば、確かに触ろうとしたはずなのに触った感触が全く無いということだった。



(……首ガナイ?!イヤ!手ガナイノカ?!)


 僕は慌てて手を見ると、手はあったのだが骨の手だった。






 自身の変化した身体の状況を飲み込むまでに半刻程の時間を要した。


 どうやら僕は下級魔族のスケルトンになっていたのだ。



 僕は何故、どうしてという疑問が頭の中で何度もよぎるが、

 心臓を剣で貫かれ、確実に即死する高さから落とされというのに、

 身体が普通に動いていたのだ。


 少なからず何かが起きていると何処かで自覚はしていた。



 そのせいか自身に起こっている事態に疑問はあったが、恐怖や悲観と言った感情は微塵も感じない。



 むしろどんな形であれ生きてーいや、死んで…?いたことに喜びと感謝を感じれる程には余裕があった。




(…ククク、ソレニシテモ…湖デ見タ……骸骨ノ化ケ者ハ…ボク自身ダッタトハナ……。)



 僕は自分の間抜けさに苦笑いをする。


 と言っても骸骨の面相では、

 笑っているのかいないのか区別はつかない。



(フム…シカシ、コレカラ……如何シタモノカ……。)



 僕が何故スケルトンになったのか今考えても仕方がないことだし、

 答えが出そうにも無いので俺は今後の身の振り方を考えることにする。



 この奈落で平和に独り暮らすことも悪くないことのように思えたが、

 今の僕に復讐をしないという選択肢はあり得なかった。



 思い出すだけで存在しない腹わたが煮えくり返るようだ。

 草薙天馬、

 狐野優香、

 毒島巳理愛、

 大河勝信、

 そして裏切ったレミール王国。



(……タダノ殺シカタデハ…スマサンゾ…!!

 ……ヤツラニ地獄ヲ見セテヤル!!!)



 僕はそう心に誓って、奴らの悶え苦しむ姿を想像する。


 それだけで己のナイモノが達しそうだった。




(…フゥー…フー………ソノ実現ノタメニモ現実的ナ策ヲ考エネバ………。)



 僕は心を落ち着かせて中身のない頭を必死に回転させる。



 そして人であった頃の最後に起きた出来事を思い出す。


(…勇者ノチカラダ!ボクハ勇者ノチカラニ…確カニ目覚メタ筈ダ!!)



 俺はすぐに、レミール王国で教わった称号の調べ方を用いて自分の中にある勇者の力を探す。



(……勇者…勇者…勇者…!!アッタゾ!

 勇者ノ称号ヲ…確カニ得テイル。


 …ククク…皮肉ナモノダナ…

 オレヲ殺シタレミール王国ニ…教ワッタ知識デ助ケラレルトハ……。)




 脳裏に称号 勇者の力が記される。





 称号 勇者


 世に悪が蔓延りし刻、遣わされし神の御使い。


 ・光属性の上位、神聖属性の使用を可能とする。

 ・光,神聖属性の強化

 ・光,神聖属性の魔法攻撃を無効化、吸収

 ・状態異常軽減

 ・魔力回復速度上昇

 ・体力回復速度上昇

 ・成長速度超上昇

 ・窮地に立てば立つほど限界を超えた力を引き出し、成長することができる。

 ・仲間や隷属するものへ永続的なバフと成長補正





(…概ネ…予想通リダッタガ、一部知ラナイモノモ…アッタナ…。シカシ素晴ラシイ!)


 勇者の力には復讐の為に理想的な効果がいくつもあった。


(ダガ…マダ足リヌナ……。)


 そう確かに素晴らしい力だ。

 しかし、あの4人も同じ力を持っている。


 更に早くからスタートしているアドバンテージと王国の保護。

 この差は簡単には覆らない。



(アトモウ…ヒトツ…ナニカガ足リナイ…カ。)



 僕は歯痒い思いをしながら、一から再び考え直す事にする。

 しかし、現状を変える起死回生の案などそうそうは出てこない。



(クッ…!責メテ……コノ見タ目サエ…ナントカナレバ…。)



 人間社会に溶け込める見た目なら、

 正攻法以外で殺すことも可能だった。



 僕は水面に映る自分の姿もう一度立ち上がって覗き込む。



 顔の目と鼻の部位にはポッカリと穴が空いており、

 剥き出しになった歯がカタカタと音を立て、見る人に恐怖を覚えさせる。


 肋骨の隙間からは向こうの景色が見え、本来臓器を守るという役目を持ちながら、既に臓器が無いせいで実に歪で滑稽だ。


 更にバランスのとりにくい今の身体では足が立つだけで不自然な方向へと曲がり異質さを強調している。



 …己のおぞましい姿を直視して思わずため息をつきたくなる。



(…コノ姿デハ……人ノ社会ニ…戻ロウトトシテモ、

 オソラク…魔物扱イサレテ討伐サレルノガ…関ノ山ダロウ……


 ……魔物扱い?)


 僕は今自分の考えていた言葉にふと何かひっかかり、疑問に思う。

 とても重要な何かを見落としている気がする。



(………ソウカ!コノ身体ナラ…コノ魔族ノ身体ダカラコソ!デキルンジャナイカ!!)



 僕はこの世界で学んだことの一つをもう一度思い出す。


 多くの魔獣や魔族は戦闘の経験値によって進化し、

 そして魔獣や魔族は進化することによってより強力な肉体や力を得ることができるとを。



(……勇者ノチカラニ加エ……進化シ人ヲ超エル強大ナ…チカラヲ…得ルコトガデキレバ…。)



 閉口していた復讐への手立てに一縷の光明が差し込む。



 しかし、元人間だった僕が他の魔獣や魔族と同様に進化できるのか、

 自分でも分からなかった。




(…ダガ…試ス価値ハアル。)




 そう決心すると僕は、骨の足でぎこちない足取りを浮かべながらダンジョンの探索を開始する。










 10数分ほど探索すると僕と同じ武器を持ったスケルトンを何体か発見した。


 相手は自分と比べ、武装をしていることも考慮し、

 迂闊に襲い掛かるのではなく、

 最初は行動パターンや弱点がないか見極める為に少し離れた所から観察をすることを専念する。



 僕はそこでいくつかの大きな発見をする。


 まず、スケルトンたちは同じようなルートをグルグルと回っているだけで、

 僕のように明確な自我があるわけでは無かった。



 更にネズミなどの命あるものには反応すれど、

 死体や同じスケルトン同士がすれ違っても全く反応を示さなかった。


 どうやらスケルトンが敵とみなすのは生者のみらしく、

 同じ死者を敵とは認識できないようだった。



 そして何よりものその事実は僕にも当てはまる…という事だ。



(…ヤハリ!…スケルトンノ戦士ハ…オレヲ敵ト…認識シナイ。)



 僕はスケルトンの側に近寄り、そのことを確認すると近くにあった大きめの石を手に握りしめた。




 …ガァンッ!!



 敵スケルトンの背後から後頭部にかけて思い切り石を打ち付ける



 スケルトンは自分の頭に石が打ち付けられたというのに全く抵抗するそぶりを見せ無い。



 その後もスケルトンの頭に何度も何度も石を打ち付けた。


 スケルトンの頭蓋にヒビが入り、ミシミシという音が鳴る。



 その内、「…バキャアッ!!」という大きな音と共に頭蓋が粉々に砕け散ると、

 スケルトンはピクリとも動かなくなった。



 嬉しい誤算のおかげで僕は初めての戦闘だったが、

 敵のスケルトンを撃破することに難なく成功することができた。


 …ドクンッ!スケルトンを倒した瞬間、僕の中へ熱いものがドロドロと注がれるような感覚を味わう。



(…カンジルゾ!コレガモシヤ…経験値トイウモノカ?

 …イズレニセヨ……確実二効果ハ…アルヨウダナ。)



 自分の仮説に確かな手ごたえを感じた僕は、

 それ以降、スケルトンを見つけては狩る。これを徹底して行った。




 そうして何体ものスケルトンを狩っていく内にスケルトンとは違うタイプのアンデット系の魔物と遭遇をするが、

 どうやらスケルトンに限らず、

 アンデット系の魔物は同じアンデット系の魔物を敵とは認識できないようだった。


 その事実に僕は思わず心の中で笑いが込み上げてくる

 快進撃は止まらない。



 スケルトンの戦士、


 ゾンビのような怪物、


 獣の姿をしたアンデット、


 皆、目の前で仲間が倒されてるというのに反撃もせず、

 僕に狩られるのをただ待つばかりである。





 …ズバッ!ザシュッ!!

 倒したスケルトンの戦士から奪った剣で棒立ちになっているアンデット共を次々と屠り、切り裂いていく。




 …………198,199,200,201,202……

 僕の背後には膨大な数の動かなくなったアンデットの死骸が積み重なっていた。




 ………300………400……

 倒したアンデットの数が400を超えた辺りで僕は数えることをやめ、

 我を忘れて狩りに熱狂する。



(…クククッ!!ハーッハハハッハハハッ!!ハーッハッハッ!ハハハハハッ!)



 余りの痛快さに声のない笑いが止まらない。




 そこにはかつての一生の面影は既に消えており、

 完全な獣と化した一匹のモンスターが立っていた。
















 ・ー個体名伏見 一生の進化条件が満たされたことを確認しましたー・


 ・ー個体名伏見 一生を種族 スケルトンから種族 スカル・狂戦士(ベルセルク)への進化を開始しますー・




種族 スケルトン


E級脅威度(但し武装内容によって脅威度E〜E+)の下級魔族



《備考》


骨の身体で彷徨い続ける下級魔族。



骨だけでどうやって動いているのか諸説あるが、

生前抱いていた強い怨みや現世への執着が動力源であると言うのが、一番の通説である


その為、殆どのスケルトンは生者に対して強い敵対心を持っているとされている。




《強さ》


スケルトンに限らずアンデットの最も恐ろしい特徴だが、

彼らには疲労がなく、食事や休養を(吸血鬼などの一部を除いて)取る必要が無いとされている。


しかしスケルトンはモノを考える脳を持ち合わせていないせいか、

非常に攻撃パターンが単調である。


力もそれ程強く無いので駆け出し冒険者でも1対1の戦いならまず負けることはないだろう。

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