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青年。
ひらりひらりと舞い散る桜の花弁を雨月はその桜の樹の幹に寄りかかり、ぼんやりと見つめていた。
暖かな春の日差しに鶯の恋歌が木霊する。
また季節はいつの間にか春だ・・・。
あの寒く、厳しかった冬はどこへと行ったのか・・・。
雨月は心の内でそう呟き、小さな溜め息を吐き出して切れ長のその目をゆっくりと閉じ、腰に差した愛刀をスッと抜き放った。
雨月の刀は春の日差しを浴び、その刀身をキラリと輝かせると次の瞬間には鋭い音を立て、火花を散らした。
「・・・まだまだだな」
雨月はそう言うと閉ざしていたその目をうっすらと開け、自分と刀を交えている青年を刀越しにそっと見つめ見た。
「まだまだこれからですよ? 雨月様!」
青年はそう言うと力一杯に刀を押して後ろへと跳び、雨月との間合いを取って刀を構え直した。
青年は細いその身に濃紺色の着物を纏っていた。
雨月はふっと笑むと刀を構えたその青年を凝視した。




