51/65
彼のモノ。
「人も妖も他と関わることでしか己を知れず、変われない」
店主は唐突にそう言うとにこりと笑んで座敷で寝ている雪を改めて見つめ見た。
これからもこの子は多くの波乱を乗り越え、生きていくだろう。
そして、その波乱は決して楽なものではないはずだ。
だが、その波乱を乗り越えるだけの力をこの人間の子は持っている。
そして、何よりもこの子には雨月がいる。
そして、いつか彼のモノと出逢うべくして出逢い、その彼のモノの運命をこの子は変えるだろう。
雨月がこの子の運命を変えたようにこの子も彼のモノの運命を・・・。
「・・・貴方のその目にはもう、雪の運命が見えているのですか?」
雨月の問いに店主は『どうでしょう』と答え、また笑んだ。
「選択一つで運命は変わりますから」
店主のその言葉に雨月は神妙に頷いた。
この店主は本当にキレる。
平生は気安い言葉で会話できていても改まった話をする時には無意識のうちにそれも遠慮してしまう。
それだけこのモノは力を持っていると言うことだ。
雨月は心の内でそう呟き、ゆっくりと席を立った。




