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面白い。
「・・・何事もなくてよかった」
炎の中から姿を現した店主は独り言のようにそう言ってにこりと微笑んだ。
店主のその微笑みに雪が微笑み答える。
「私は貴方たちの味方ですよ」
店主は微笑みを湛えたままそう言うと雪と雨月とを交互に見つめ見た。
店主のその視線の先に居たのは幼い人間の子供と人間の形をした妖だった。
嗚呼、面白い・・・。
店主は心の内でそう呟き、目を閉じた。
さて、この人間の子は人間と妖、どちらの生き方を選ぶ?
「雪は人間と妖、どちらの生き方を望みますか?」