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違う。
「雪はこれから人として生き、人として死にたいか? それとも妖となり、長きに渡りに生き、妖として死にたいか?」
雨月のその問いに雪は瞬いた。
雨月の問い方だと自分はどちらとしても生きられる・・・。
そう雪は受け取ったからだ。
雪は雨月の言葉を何度も心の内で反芻し、雨月の言葉の真の意味を知ろうとした。
雪は迷い、戸惑った。
雨月様は何をお考えなのだろう?
「・・・雪、選べ。お前にはどちらの道もある」
雨月はその歩みを止めるとそっとその場に雪を抱き下ろした。
雪はゆっくりと辺りを見回した。
夜更けなので灯りは消えているがそこには何件もの人の家が建っていた。
ここは村と言うものなのかしら?
雪はその目の前の風景に戸惑った。
何故、自分は一瞬で人の村の中にいるのだろう?
いや、それよりも何故、雨月様はいきなりそんなことを言い出されたのだろう?
やはり雨月様は僕と一緒に・・・。
「・・・違う」
「え?」
雨月のその言葉に雪は瞬いた。
違う?