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僕は捨てられた。けれど、僕は幸せだ。  作者: 小鳥遊 雪都
雪と妖。
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涙声。

「何があったかは知らんが少し落ち着け」


雨月《うげつ》はそう言いつつ雪《せつ》の細い背中を片手で撫で、もう片方の腕で雪《せつ》を抱いていた。


「ッ! ごめんなさいっ! 僕・・・」


雪《せつ》は涙声で謝りつつ、雨月《うげつ》から離れようと身動ぎをしたがそれもすぐに諦めた。


雨月《うげつ》はしっかりと雪《せつ》を抱いていてそれを振りきれるほどの力を雪《せつ》は持っていなかったからだ。


「何故、謝る? 雪《せつ》は何も悪いことなどしてはいないのに・・・」


二重に聞こえていた雨月《うげつ》の声はいつもの声に戻っていた。


恐らくは妖《よう》の姿の時だけ二重の声になるのだろうと雪《せつ》は了解した。


雪《せつ》は今まで雨月《うげつ》の妖《よう》の姿を見たことがなかったし、雨月《うげつ》が獣の姿になれることも知らなかった。

なので、二重に聞こえる雨月《うげつ》の声を聞くのも必然的に初めてのことだった。


「僕・・・もうこれ以上、雨月《うげつ》様にご迷惑をお掛けしたくありません。だから・・・だから今日でさようならをしなくちゃと思ったんです」


雪《せつ》のその言葉に雨月《うげつ》はひゅるりと息を呑み込み、僅かに身動いだ。

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