笑み
「・・・雨月はあのガキには何もしないさ。もし、するとすれば、あのガキに危害を加える妖か人間にだ」
店主の言葉に男は頷き、愛刀に手を伸ばした。
「あの化け猫の餌食になるのは脂取りか?」
男は愛刀の長刀の刃を僅かに鞘から抜き放ち、その刀身に目を向けた。
よく手入れのされた刀身は鋭い光りを自ら放ち、男の姿を鏡のように映しだした。
「脂取りは人間の子供の脂を好む。雪はそれに目を付けられた。だが、雪には雨月がいる」
そう言って店主は意地の悪い笑みに口元を歪ませた。
「・・・危害は受けていないが今後、危害を受ける可能性がある。だから先に潰す・・・と?」
男のその言葉に店主の笑みはより一層濃くなった。
「そう言うことだ。用心深い雨月らしいだろう?」
店主のその言葉に男は鼻で笑い、刀身を鞘に収め、ゆるりと立ち上がった。
男のその様子を見た店主は意地の悪い笑みを引っ込め、今度は妖しい笑みに口元を歪ませた。
「ようやく追う気になったかい?」
「馬鹿言え。家に帰るだけだ。大体、何かあれば雨月が動く。俺もお前も無駄なことはしない主義だろうが」
男の言葉に店主はニヤリと笑みを浮かべただけだった。




