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やり取り
「この辺りに脂取りが出るなんて噂を聞いたことは?」
雨月の問いに店主は握っていた包丁をまな板の上へと置くとゆっくりと自分の店の中を見回した。
「ここ最近です。そう言った話を聞くのは」
店主はそう言うと苦い笑みを浮かべ、優しい目で雪を見つめ見た。
それに応えるように雪が微笑む。
「他には何が?」
店主と雪から視線をそらしつつ雨月は無意識のうちに訊ねていた。
店主は『さて』と言葉を溢し、手放していた包丁を再び手にした。
よく手入れのされた包丁だと雪は幼いながらに思った。
「巷に白頭と頽馬が出たと耳にしましたがこれらはそう言うモノたちですし・・・。ああ、そう言えば港にはザンが出たようですが」
店主の言葉に雨月は頷き、目を伏せた。
「私でよろしければお力、お貸し致しますよ?」
そう言った店主の言葉に雨月からの返答はない。
そんな二人のやり取りを雪はただ黙って見守っていた。




